Compassion and her:ノラ・ジョーンズ『ライヴ・アット・ロニー・スコッツ』

日記・雑記
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まず最初に、この度の大阪北部地震の被害にあわれた皆様に
お見舞い申し上げます。
まだまだ一息つくというところまでは復旧が進まれていないかとは
思いますが、天候も不順がちな季節ですので
くれぐれも体調にはお気をつけください。

さて、先日、家族ぐるみでお付き合いのあるお家に
初孫が誕生ということで、我が家を訪ねてきてくれました。
赤ちゃんを抱かせてもらいながら
そのお母さんとの思い出が呼び起こされてきたのですが
彼女が高校生だったころ
あまりお母さんとの折り合いがよくなかった頃が少しあって、
そんなときに私が部屋で聞いていたノラ・ジョーンズの2ndを
彼女が貸してほしいと言ったので貸してあげました。
そのアルバムは結構長い間借りられていたように思うのですが
返してくれたときに、
「このアルバムはずっとかけっぱなしにしていつも聞いていた。。。」
と言っていたことをふと思い出したのです。
疾風怒濤というと大げさですが、そんなような精神的な苦境にあって
ノラの音楽が傍らにあったことが
彼女にとってどんな意味を持っていたのかがうかがわれたので
妙に記憶に残っていたのです。
そんな彼女もお母さんになった。。。
歳をとるのも悪くないなと思わされた瞬間でした。

ノラ・ジョーンズが、昨年9月に
ロンドンの老舗ジャズ・クラブ=ロニー・スコッツで行われた
ライヴを収録した映像作品『ライヴ・アット・ロニー・スコッツ』が
先日リリースされました。
「Norah Jones – And Then There Was You (Live At Ronnie Scotts)」
https://www.youtube.com/watch?v=rJYQ5jWHSeM

メンバーは最新作『デイ・ブレイクス』でも共演していた
クリス・トーマス(b)とブライアン・ブレイド(ds)で
アコースティック・トリオでの演奏が収録されています。
共演の2人については、このコミュの日記で以前にご紹介しました。
http://community.phileweb.com/mypage/entry/4053/20180415/59190/
とにかく気になる3人のライブだけに
リリースを期待して待っていましたが
その甲斐はありました。
すばらしい演奏でした!
毎晩、仕事を終えてから一通り見るのですが
寝ちゃうかな~と思っても
見るたびに演奏に引き込まれてしまい
結局、最後まで見通してしまいます。。。

まずはこの3人のインタープレイに魅了されたということでしょうか。
収録されているインタビューでノラ自身も述べているところですが
『デイ・ブレイクス』がジャズ回帰の作品と評されていることに
自分では特にジャズというカテゴリーにこだわっていないし
ただ曲を演奏しているだけだ、
ただし演奏しているときにジャズだと感じることはある、
とのことで
彼女が感じていたジャズとは、
おそらく3人のインタープレイという側面なのでは。。。と思ったのです。
3人ともお互いの演奏をよく聞いていることがわかるし
それを各人の演奏にうまく反映させている。
特に3曲目のAfter The Fallあたりから
ポロンポロンとコード中心にシンプルに弾くノラのピアノの背中で
ヴォリュームを絞りながらも
細やかにグルーヴを送り出すブレイドのドラムスの存在感が
いや増してきます。
そしてそのドラムスの意図を感じたトーマスのベースが
ちょっとだけユーモラスに彩りを添える。
件のインタビューで、ノラは
このライブがミニマル志向であることを認めていますが
確かに別に強く演奏するだけが熱い演奏だとはいえないことが
よく伝わってきます。
弱音でのやり取りの中に、ほの白く燃え立つ熱気を
みなさんにもぜひ味わっていただきたいな~

加えて述べておかなければならないのは
ノラのヴォーカリストとしての成長についてです。
彼女の歌声というと、なんとなく癒し系っていうイメージがあります。
確かに以前からファニー&キュートな魅力もありましたし、
冒頭で紹介したAnd Then There Was Youのようなバラッドは
変わらずに彼女の十八番って感じはします。
でもこのライブでは、骨太で安定してきた側面を感じます。
そうでなければ、バックのリズムセクションの作り出す
音楽のうねりに対抗できないものな~と感じたのです。
それは次のようなことにも表れていて
ジェシー・ハリスの作ったおなじみのDon’t Know Whyや
I’ve Got To See You Againをライブの終盤で演奏しているのですが
アレンジがかなり変わっています。
ノラのヴォーカルも坦々と詠唱する感じではなく
バックの立体的な音に呼応して、
彼女が敬愛するアリーサ・フランクリンや
ビリー・ホリデイの精神的面影を感じさせる
跳ねるような・よりブルージーな色彩を帯びたものとなっています。

世界同時発売となったこのライブ映像作品。
世界中の人がいろいろな人生のシーンでこの作品を見聞きして
さまざまな感慨を抱くことになるのでしょう。
Compassion。。。
彼女の音楽について、ひとつ私がずーっと心に抱いていた言葉です。
この人のパーソナリティーとも分かちがたく結びついている
ようにも思うのですが、誰かの苦しみや困難に寄り添うという意味では
今日、冒頭で述べたノラの2ndを高校時代に愛聴していた
お母さんとなった彼女には、一度ノラのこの映像を見せてあげたいな~
なんて思った私でした。。。

付記

このライヴ映像ですが、リビングで視聴しています。
当方の「マイルーム」に詳しいですが
オールドCelestionの Ditton 120(スピーカー)と
これまたオールドSANSUI AU-555(プリメインアンプ)は
いずれも1970年代初頭のもので
BDプレーヤーから光出力で
FN1241使用(16bit8倍オーバーサンプリング)の
自作系DAコンバーターをかませたシステムが
まだまだ何ともいい音を聞かせてくれています。。。

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