鮮烈な緋色:ロトとツァイーデ四重奏団&ドルプレールの新譜によせて

日記・雑記
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                     2020年11月14日

車でよく通る近所の楓の並木道
今朝の澄んだ空気の中で、紅葉が美しく燃えるようでありました。
その緋色の鮮烈さは何か不思議な情感を
見る者に湧き起こすような気がします。
今日はそんな鮮烈なものを欲する気分にぴったりな2枚をご紹介です。

1枚目はフランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
ケルン・ギュルツェニッヒ管弦楽団の演奏による
『シューマン: 交響曲第1番「春」、第4番 (1841年初稿)』です。
「Robert Schumann⎮Spring Symphony⎮Gürzenich-Orchester Köln
François-Xavier Roth」
https://www.youtube.com/watch?v=fRoI96nf910

何となくですが巷の印象として
シューマンのシンフォニーっていうと
マイナーなイメージがあるような気がします。。。
シューマンはオーケストレーションがあまりうまくなかっただとか
晩年の非業な最期を予感させる重々しさがあるだとか
くすんだ音色が似合うとか。。。
(私の勝手なイメージだったらすみません)。

でもこのロトのシューマンは鮮烈です!
情熱的ですらあるイメージは
若書きのエネルギーを感じさせる
黄味を帯びた緋色が似合います。
管の咆哮が弦を颯爽と引っ張っていく感じは
従来の演奏のイメージとはずいぶん違うと思います。

聞いているうちに私の中では
最近の新しい世代の指揮者の顔が浮かんできます。
クルレンツィス、エラス=カサドをはじめとして
マチュー・ヘルツォークやリッカルド・ミナーシなんかの顔も。。。
ロトもラヴェルなんかに取り組むときとは
ちょっと違うモードなんじゃないでしょうか。
むしろマーラーに取り組んでいるときの感じに近い。
このシューマンの演奏では
彼のパッションをグッと身近に感じることができる気がします。
殊に、いたずらにテンポを上げることなく、堂々たる音で
これだけの躍動感を感じられるのは、かなりの驚きでした。

加えて録音も秀逸です。
超ハイレゾともいわれるDXDレコーディングは
352.8kHz/24bitのPCM方式なんだそうで
ライヴ収録とは思えないクリアで迫力のある音です。
SACDと192kHz/24bitのPCM音源の両方とも聞き比べてみましたが
CD音質でも充分なぐらいの高品質でした。
興味を持たれた方は、ぜひぜひご一聴ください!

2枚目は、出たばかりの
ツァイーデ四重奏団&ブリュノ・ドルプレール(チェロ)による
『ルートヴィヒ』です。
「Beethoven Kreutzer Sonata by Quatuor Zaïde & Bruno Delepelaire」
https://www.youtube.com/watch?v=13VsqT4NHvM

収録されているのは
弦楽五重奏版の「クロイツェル・ソナタ」と
ツァイーデ四重奏団のみによる
弦楽四重奏曲第3番ニ長調OP.18の3

先日のベルウッドさんとのやりとりでとりあげられていた
エベーヌ四重奏団の妹分的な存在の彼女たちだけに
これもまた「ロール・オーヴァー・ベートーヴェン」的な
チャレンジングな演奏と録音!
「クロイツェル・ソナタ」は、
血しぶきを上げているかのような
やはり緋色のイメージ。
もうこれはこれ以上ないくらいに鮮やかな猩々緋といったところ。
ベルリン・フィルの若き第1ソロ・チェロ奏者
ブリュノ・ドルプレールとともに、
猛烈に弾きこんでいる様子が伝わってきます。
五挺拳銃のたたみこんでくるような気迫というか
だんだん演奏者たちの何かが覚醒していく感じを
目の当たりにしているかのような感覚にとらわれていきます。。。

録音エンジニアは
新進レーベルNoMadMUSIC(彼女たちのCDはすべてこのレーベル)
創立者のHannelore Guittet(アンロー・ギテー)。
キアロスクーロ四重奏団のアルバムもずっと手がけています。
鬼気迫る演奏のライヴ感をよくとらえていると思います。
ギテーも含め、今後の彼女たちの活躍を予感させるようなアルバムです。

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