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ケチケチな天国と地獄のウィーン18(絶望の淵から)

日記・雑記
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17番目の日記(天国と地獄へ)のつづきです。大望のミュージカル”カルメン”観劇を終えた後は、急いで夜行バスの停車駅であるブダペスト ケレンフェルドに戻りました。到着時に、どのチケットを買えばよいのか確認が出来ていなかったので、いち早く夜行バスのチケットを入手しておきたかったので夕食も食べずに来ています。ケレンフェルド駅には22時40分ごろに到着しました。夜行バスの発車時間は23時30分ですので、残り50分でした。

 

ケレンフェルド駅に到着してから、即座に午前中に確認したバスの自動販売機売り場に向かいします。どのチケットを買えばよいのだろうと探し始めたのですが、やはりわかりません。行先を入力すると購入可能なチケットが表示されるシステムとなっているのですが、「ウィーン」と入力しても「ビエナ」と入力しても、英語でもハンガリー語でもチケット表示が出て来ません。次第に焦りが出てきましたので、食料の調達と落ち着きを取り戻したくて駅の売店に行ったのですが、先ほど開いていた店もすでに閉店していました。晩飯は抜きになるかもしれない予感をいだきながら、午前中に行ったバス会社の事務所のような場所に行ってみたところ、夜行バス待ちの人が数人いました。どこの国の人かもわからなかったのですが、わらをもつかむ思いでバスのチケットの買い方を尋ねてみたところ、インターネットで買えると教えてくれました。教えてもらったURLで夜行バス(flix Bus)のチケットを買おうと試みますが、どうしても精算の画面まで到達できません。焦りはさらに増してきました。

 

もうだめかと思いながら、夜行バスのバス停に人が並び始めたので最後尾につきました。

夜行バスが早め(出発の15分前)に到着し、皆が荷物をトランクルームに入れて乗車している中で、焦ったように飛び込んできた人がいました。様子を伺っていると、「一本前のバスに乗る予定だったが電車が遅れたので乗れなかった。このバスに乗せてくれ。」と申し入れているようです。ですが乗務員からは、「電車が遅れたのは我々のせいではない。だからダメだ。」と断られていました。並んで待っていた人たちが乗車した後で「ウィーン行きのチケットを買いたい」と申し入れると、「25ユーロ、現金かカードで買える」とのことです。「カードでお願いします。」と言って発券をしてもらおうとしたのですが、「電池がないので発券できない。現金はあるか?」との回答です。ここで青ざめました。明日は帰国なので、市場で現金は使えるだけ使ってしまい残りは15ユーロしかありません。「現金はこれしかありません。ウィーンに到着したらユーロを降ろすではではダメですか?」と懇願しますが、・・・バス乗務員からは「NO」の答えでした。・・・「でも、このバスに乗らないと明日の飛行機に乗れなくなります。」しぶとく粘ったのですが、答えは「NO」ばかりです。そんなやり取りをしていると、先ほどの「電車が遅れたので乗り遅れた人」が「金を払うから乗せてくれ」と横から入ってきました。もちろん乗務員は「YES」です。こちらを「ニヤッ」と笑って乗車したように見えたのは気のせいでしょうか。ここでもう一度、「クレジットカードを試してくれ」と頼んだのですが、ドライバーの上役らしき人が割って入ってきて、「時間だから出発する」と言い、ドアは閉められてしまいました。

ブダペストからの最終バスが発車してしまい、もう明日の朝までにウィーンにたどり着くことは出来ないし、昼の飛行機に乗ることは出来なくなった、と諦めました。「絶望する」とはこう言うことを言うんだなと実感します。しばらくの間、もうろうとしていたでしょうか。ウィーンに戻れないし、ブダペストの片田舎の駅で、お腹が空いても食べるもののもない、お金もない、5月でしたが真冬のような寒さも襲ってきます。もうどうにもなりません。<100ガックリ>

 

このままケレンフェルド駅にいても、翌日の昼までウィーン行きの電車は来ないです。それなら、ブダペストのメイン駅であるケレティ駅まで行っておいた方がいいと思い、鉄道駅に向かいました。ところがケレティ行きの最終電車は20分遅れでしたので、寒い駅でガタガタと身を震わせながら待ちます。そんな時に思いつきました。「同じハンガリーでも飛行場に行けば交通手段があるかもしれない。」すぐにインターネットで調べたところ、ブダペスト・ネプリゲット駅まで行けば4時15分発のウィーン行きのバスがあるとの表示が出ました。ですが、すでに夜中の1時になるところです。ネプリゲットに電車で行くことは出来ません。ならばタクシーで行けばどうだろうと考えて駅を出ました。「15ユーロしかないが、ネプリゲット駅まで行けるか?」タクシーの運転手に訊いたところ、「OK」の回答です。ここで希望が見えてきました。4時15分発の夜行バスに乗れば、7時30分にはウィーン空港に到着します。そこからホテルに向かい、朝食をしてからバッキングしても、12時30分発の飛行機に乗れるはずです。先ほどは電池切れでチケットを買うことが出来ませんでしたが、そうそう同じことが重なることはないだろうとふみます。20分くらい走ったでしょうか、タクシーのメーターは現地通貨のフォリントでしたが、有り金全部の15ユーロを払って降りました。もう現金はありません。

 

ネプリゲット駅に到着して、flixバスのインターネット予約を試みたところ、決済画面まで進めるではないですか。うれしい気持ちと、さっき予約できなかったのはなぜだろうという疑問が同時にわきました。ですが今考えると、出発時間の1時間を切るタイミングではインターネット予約は受け付けてもらえなかったのだろうと想像しています。

 

交通手段は何とかなったと安心したら、急にお腹が空いてきました。お昼を食べてから何も食べていなかったのですが、自動販売機で何か買おうとしてもお金がありませんし、通貨もフォリントです。ウィーンに到着するまでは我慢するしかなくなりました。しかも夜中のブダペストは真冬のように寒いのです。最初はバス乗り場のベンチに座っていましたが、徐々に寒さに耐えられなくなってきました。この寒さを何とか出来ないかと考え、地下鉄の入口にある階段下で、寒さしのぎをすることにします。

地下鉄入口のシャッターの前で丸まっている姿は、まるで浮浪者のようでした。食べるものもなく、泊まる場所もなく、お金もない。本当にみじめな気分です。浮浪者のような3時間でしたが、どれだけ長い時間に感じたかわかりません。

 

ですが、この苦境に耐えた後にウィーン行きのバスが来た時には天の助けが来た気分でした。バスに乗り込んだ直後には疲れ果て眠りについた気がします。目が覚めたのはウィーン空港に到着する直前でした。絶望してからは写真を撮る気力もなくなり、スマホのバッテリーも底をついていましたので全く写真はありません。ですが、バスの中では充電が出来たので、ウィーン空港に到着した時にブダペストから乗ってきたバスの写真を撮りました。この写真を見ると、今でも安らいだ気持ちがわいて来ます。

 

ウィーン空港からは一旦ホテルに戻り、朝食とバッキングをして再び空港に向かいしました。空港に向かう途中では、古式路面電車で祝う走行会が準備されていてウィーンは平和でした。

朝帰りからの慌てての帰国したので、この先も若干のトラブルはありましたが、無事に帰国し自宅に戻ることが出来ました。今回は上がったり下がったりの起伏の激しい旅でした。

 

 

しめて ホクホク:14 ガックリ:108 となりますが、

今となってみれば、苦難の道もよい想い出となるものです。<100ガックリ>も<1ガックリ>としてカウントしてもよいかなと思いました。失敗は成功の元です。

「旅先での交通手段とチケット購入は念には念を入れて準備しよう!」

「旅先の現金は、何が起こるかわからないので、早めの使い切りに注意しよう!」

ということで、

今では ホクホク:14 ガックリ:9のケチケチな旅でした。

 

おわり

コメント ※編集/削除は管理者のみ

  1. こんにちは。
    ハラハラとドキドキで旅行記を拝見しました。ウィーンに無事に到着でき何よりです。一つの路線がダメでも他の路線を試していく現場の対応に、旅慣れている雰囲気を感じました。が、ここまでの緊迫感は現地ではあまり感じたくないものですね。
    無事に予定の帰国分に乗れたと思いますが、ご無事で何よりでした。

    • sonnenblueさん、コメントありがとうございます。

      本当に何とか翌朝までにウィーンに到着して、飛行機に乗れてよかったです。でなければ、ケチケチにしてきた努力は水の泡ですし、帰国の翌日からの仕事にも行けなくなるので、本当に絶望の淵に立たされていました。

      旅慣れた・・・は自分でも過信していました。ウィーンには何度も行っていたので、市街や郊外の交通にも通じていました。ですが、隣国のブダペストでは様相が全く異なりました。通貨も違いますし、言語も違う。この点を甘く見ていたと思います。スキャンダルは起きませんでしたが、スロバキヤでも同様な感覚でした。

      教訓その3
      「ヨーロッパでの1時間や3時間程度の遠征でも、国が違えば通貨や慣習や言語も異なるので、諸々の注意をはらうべし!」

      さらなる教訓が生まれました。ありがとうございます。

  2. ヒジヤンさん、お帰りなさいませ (^^)

    超大作をハラハラドキドキしながら楽しませて頂きました。ヒジヤンさんの文章能力の高さも手伝って現地の情景やヒジヤンさんの感情までもがリアルに伝わってきました。

    最終日の100ガックリが今考えると1ガックリでもいいというのは本当によく分かります。最大のピンチを乗り切ったヒジヤンさんは本当に素晴らしかったですし、時が経てば最後のウィーン旅行での大切な思い出になりますね。

    今回のウィーン旅行がヒジヤンさんの音作りに影響するのかしないのか今後もヒジヤンさんから目が離せません!

    • genmiさん、コメントありがとうございます。

      長~い日記を楽しんでいただけたようでよかったです。せっかくなら記録しておきたいと思い、コツコツと書いていました。思えば、もう8月になりますね。日記を書くのに、足掛け4か月かかっています。

      >今回のウィーン旅行がヒジヤンさんの音作りに影響するのかしないのか今後もヒジヤンさんから目が離せません!

      これですね。今回はラストウィーンとして楽しむことを目的に向かいましたので、今は思い浮かんでいないのですが、せっかく12日間も滞在し、本番の公演を14公演も楽しんできたのですから、音作りに対しても得たものがないのでは<ガックリ>になってしまいますね。これは、<ホクホク>に昇華させなければと思いました。頑張ってみます。

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