MQA、Roon、SA30、OPPO205

日記・雑記
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MQA、Roon、SA30、OPPO205

今回は、表題のキーワードのいずれかに関心がある方であれば、多少は有意義な情報を含んでいるかもしれません。

PCハイテク系には疎いので(汗)、これまで全く気にもしていなかった、「MQA」という形式の音楽ファイルですが、ここの皆さんであれば聞いたことぐらいはあるかと思います。私は、先日、全く「MQA」など意識せずにARCAMのSA30というプリメインアンプを買ったのですが(笑)、Tomyさんに「これはMQAに対応している」と教えていただき、「へぇ、じゃあ一枚ぐらい買ってみるか」と思って、CDを購入したあとの顛末はすでに日記にしましたので、「MQAとは何か?」についてはこちらをまずはご覧ください。
「MQA CDの再生について教えてください!」

今回、数多くのMQA-CDをflac形式でリッピングしてみて改めて、このMQAの最大のメリットは、ファイルサイズがCDと変わらない点にあるということに気がつきました。もし掛け値なしに「352.8kHz 24bit」の音質がCD「44.1khz 16bit」と同じサイズのファイルに「畳み込まれている」とすれば、それはものすごい技術ですね。ファイルサイズが小さいということは、スト―レージを圧迫しないことは言うまでもなく、NASからLANで転送して再生するシステム構成の場合、それほどのスピードが出ない環境でも音が途切れたりノイズが入ったりしにくい(Auro3DのWAV=1曲で数ギガ=なんかだと、転送速度の遅いLAN環境ではこのような問題が頻発する…汗)というメリットがあるのは、重要な点だと思います。

次に、二つ目のキーワードについても一応、ここでおさらいですが、「RoonはイギリスのRoon Labs社が開発した音楽再生ソフトウェア」だそうで、詳しくは、ここのサイトにあります。

このソフトウェアもTomyさんの手ほどきで(笑)、私も昨年PC
にインストールしており、その後全然使っていなかったので削除しようと思ったらもう年間会費を課金されていて(笑)、やむなく(汗)使うに至ったのですが、このソフトも実は「MQA」とやらに対応しているらしいことにこのSA30を導入したことで気がつきました(笑)。

このRoon とMQAの関係については、このサイトを参考にしてください(私はほとんど理解しておりませんが=笑)

そして最後に、今は亡きOPPO205ですが、アップデートによりMQA対応を果たしております。

さて、今回の記事の「登場人物」の簡単な紹介は以上で、ここからが本番です。

MQAに対応しているSA30は東京の書斎にあるのですが、実は偶然にも伊豆の拙宅にあるOPPO205というユニバーサルプレーヤーもMQAに対応しているらしいことに今さら気がつきました(笑)。さらに、ソフトウェアとしてMQAに対応しているというRoonはノートPCにインストールしてあり、幸い、SA30もOPPO205もRoon Readyなので、これは当然ながら持ち運びして両方の環境で使用可能です。

ということで、一応(社会)科学者のはしくれとしての実験精神ににわかに火がつきまして(笑)、二つのハードウェア(SA30&OPPO205およびそのNative アプリ)と1つのソフトウェア(Roon)で、それぞれMQAというのがどのように作動するのかを検証してみました。

MQAのソフトも、急遽大量に買い込みまして(笑)、ダウンロード版を含め、現在19タイトルあります。その中で今回実験の対象のメインに選んだのは、若かりし頃コンサートにも足を運んだ、The Police 『Ghost in the Machine』です。

さて、このGhostのCDのジャケットには、「2021年DSDマスターを352.8kHz/24bitに変換して収録(ハイレゾ未配信)との表記があります。つまりこのアルバムをハイレゾで聴けるのは、MQA-CDだけということらしいです!(ファンとしては、Policeの全アルバムがハイレゾで聴けるというだけでもMQAを自分のシステムに組み込む意義はありますね。これまで、Synchronicityだけがハイレゾ化されていて、昔、e-onkyoで買いました)

実験1.<SA30によるファイル再生>
東京の書斎のCDプレーヤーはMQA非対応なので、リッピングしてNASにいれたものをSA30のネットワークプレーヤー機能で再生した(詳細は、前述の「MQA CDの再生について教えてください!」日記参照)。

Roonを使うと最初、SA30の表示画面には「44.1khz」(つまり、普通のCD)と表示されるも、その後、一曲ずつ、徐々に「352.8kHz」と表示が変わっていく(写真1.[:image1:]Roon Ready MQAとの表示がある)という現象が起きる。上記サイトの情報によると、これはRoonがファイルを解析していくからとか。この写真は、Roonのアプリの情報画面(写真2[:image2:])。「MQA full decoder」との表示があり、RoonがSA30にフルデコード機能があるのを認識しているらしい。

MQAのタグを処理(詳細前々回日記、プーさん、風変りさんとのレス欄を参照)したファイルをMusic Life(SA30のNativeアプリ)で再生すると、「Streaming 352.8kHz」と表示される(写真3[:image3:])が、MQAタグ未処理のファイルは「Streaming 44.1khz」(写真4[:image4:])。一方のRoon経由の場合はどちらのファイルも「352.8kHz」と表示される。

オラフソンの新譜、『Mozart&Cotemporaries』では、このCDパッケージには、「MQA 88.2khz 24bit」と書いてあるにもかかわらず、Roonが表示する情報ではその倍の「176.4khz」となっており、実際にRoon経由で再生するとSA30では「176.4khz」と認識する(写真5[:image5:])。同様にSA30のアプリを使ってMQAタグ処理済みファイルを再生しても、「176.4khz」となる。

ただし、MQAの初期段階でのアルバムなのか、このBill Evansの作品は、Roon 経由でも88.2khzに留まっている(写真6[:image6:])

実験2.<OPPO でのファイル再生>

GhostのMQAタグ処理済みのファイルをOPPO205のアプリ「Media Control」で再生する(写真7[:image7:] MQA Studioとの表示が見える)と、ISP側で「88.2khz」と認識された(写真8[:image8:])。
Roon経由で再生すると、Roonのアプリ画面に表示されるデータ的には「352.8kHz」となっている。Signal Pathというのを表示させてみると、「MQA Core Decorder to 88.2kHz」とあり、OPPO205側で「88.2khz」にデコードされたように読めるが(写真9[:image9:])、受け手のISP側ではなぜか「44.1khz」と認識されている(写真10[:image10:])。

これはオラフソンの新譜、『Mozart&Cotemporaries』でも同様で、これはRoonアプリが表示する情報では「176.4khz」となっているが、これをISPは普通のCD(44.1khz)と認識。OPPOのアプリを使ってMQAタグ処理済みファイルを再生すると、このCDパッケージに、「MQA 88.2khz 24bit」と書かれてある通り、「88.2khz」となる。 

ただし、MQAタグ未処理のファイルは、OPPOのアプリを使っても「44.1khz」と認識される。ちなみに、RoonではMQAタグ処理済みファイルでも処理なしファイルでも、ISP側の表示は「44.1khz」のままであった。

<実験結果のまとめ>

まず、現状、MQA-CD(ダウンロードファイルも同様か)と一口に言っても、その解像度(?)は折り畳み回数の違い(?)によって、<88.2khz、176.4khz、352.8kHz>の3種類があるようだ(もっと上もあるかもしれないが、今回の実験のために集めたMQAソフトはこの限りであった)。

しかし、高解像度の「352.8kHz」や「176.4khz」のソースであっても、それをデコードするソフトとハードによっては、MQAのベースグレードである「88.2khz」へデグレードされることがわかった。

つまり、上記二つの実験から明らかになったことは、「352.8kHz/24bit」とパッケージに書かれてあるMQA-CDを使っても、このQualityで再生できるのは、SA30を通したときのみであったということである。OPPO205では最高で「88.2khz」でしか再生ができない。Roonを使った場合は、ソフトウェア的には、このファイルが「352.8kHz/24bit」であることを認識は出来ているが、実際にRoon経由でハードから出力されるのは、SA30では「352.8kHz/24bit」であるのに対し、OPPO205からは「44.1khz」でしか出力させられない。

<考察>

ここから先は、Philewebのお詳しい方のお知恵をお借りしたいのだが、素人的に考えるとまず、SA30とOPPO205には5年ほどの発売時期のずれがあり、この間にMQAの規格そのものが発展したため、それぞれが対応できる規格の上限が異なっているのではないだろうか。MQAというのは「折り紙」のようなものらしく、88.2khzはCD(44.1khz)を「二つ折り」にした原初的な規格で、その後、「四つ折り」(176.4khz)、そして「八つ折り」(352.8kHz)が登場したと想像する。OPPO205もSA30も、開発時点の最新のMQAの規格に対応した、ということなのだろう。ということは、比較的古いMQA対応DAC(CDプレーヤ―含む)を入手した場合は、再生できる解像度が下がる可能性があるということを意味する。

次にRoonであるが、こちらはネット経由で随時最新版にUpdateしているので、現行のものは「八つ折り」(352.8kHz)まで<ソフト的には対応している>はずである。しかし、送り出す際に、受け手の「能力」を判定する機能があって、それにあわせて、適宜ダウングレードするのだろうか。いずれにせよ、Roonを使いさえすれば、ハード側が何であれ最高解像度で再生できる、というわけではないようである。

<残された疑問>

上記の考察では、以下の2点の現象が説明できない。

1. Roon→OPPO205によるHDMI出力が、なぜOPPO205の能力上限と考えられる88.2khzではなく、44.1khzに留まってしまうのか?Roonを使うと、SA30との組み合わせでは、MQA処理の有無にかかわらず、上限のレゾルーションまでデコードできるのに?。つまり、SA30の時はRoonはNative再生ソフトより優れた働きをする(Nativeソフトは、MQAタグ処理をしてないリッピングファイルはMQAと認識できない)のに、OPPO205との組み合わせだと逆にNativeソフト(「88.2khz」までデコードできる)より劣った作動をする。これは、Roon側で出力側の機器の性能を「必要以上に」低く評価しているのだろうか?それとも単なるISP側の「誤認識」なのか?

ちなみに、聴感上では、OPPO205→HDMI→ISP MK2(44.1khz表示)より、OPPO205→RCA→ISP MK2の音の方が「質」が高い感じがする。ただしこの場合は、ISP MK2のDACの音(前者)と、OPPO205のDACの音(後者)を比べてもいるので、比較の対称性が取れていないことに留意する必要がある。しかし、これまでの私の経験則(ISP MK2のDACの音=高音優位・空間表現優位と、OPPO205のDACの音=低音優位・ボーカル実体表現優位)で得られている「DACの違い」を超える、「音質の違い」があるように私の駄耳には感じられた。

2. SA30だと、なぜオラフソン・グラモフォンのパッケージに表示してある88.2khzを上回る、176.4khzで出力が出来るのだろうか?Roonなどの再生アプリに「アップグレード機能」があるのか?それとも単純なパッケージの「表記ミス」なのだろうか?

上記2つの現象にRoonが深く関与しているとすれば、Roonは<再生機の能力を下回るダウングレード>と<ソースの記録密度を上回るアップグレード>という、正反対の機能を果たしていることになるが、どのような条件下で「それらのどちらが」発動されるのかは、今回、明らかには出来なかった。

最後に番外編ではあるが、同じリッピングソースの再生でも、OPPOのアプリだと、最初の曲の頭が切れる(HDMI入力の場合、AVアンプ側で処理(?)に時間がかかりこのような現象が出るのか?回避策をご存知の方はご教示ください)のに対し、Roon経由の再生だと切れない。ただし、どちらのアプリを使っても、OPPOのHDMI出力ではなく、アナログ出力(XLR, RCAどちらでも)の場合は、曲の頭が切れずに再生できたことを付言しておく。

今回いろいろな組み合わせを試して分かったことは、Roon もMQAも、使用するハードウェアやソフトウェアの違いで、不可解な(=少なくとも素人の私の眼には=汗)動きをする部分が残っているということだった。まだまだ発展途上の技術なのかもしれない。ただ、Roon もMQAもどちらも「他の再生アプリやCDよりは音が良い」気がする(笑)ので、今後も生き残って行って欲しい技術ではあるのだが。

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