Auro-3D友の会のフォッサマグナツイアー参加と2ch再生の大御所ヒジヤンさんの訪問・評価を通し、donguriのオーディオ経験値は上がった気がします。ヒジヤンさんには2Dオーディオ(トップ/ハイトSPを用いない通常の2chおよびマルチチャンネル)再生については比較的良好な評価をいただきました一方、SACDマルチチャンネルのAuro-Matic再生について、あるいはAuor-3D nativeソフトについては、それほどの好評価は得られず残念な思いが残りました。以前にAuro-Maticで聴いた方が良かったはずのベルリオーズのレクイエムを聴いた印象が変わったという自分の今回の体験、ヒジヤンさんのMagnificatなどがAuro-3D再生で音声が上に上がってしまい不自然、Polarityも違和感があるとの感想を受け、どうもこの1年のdonguri部屋の環境の変化が、2Dオーディオ再生の質アップには良かったもののAuro-3D再生の環境にとっては不変あるいはかえってマイナスになったのではと思い始めたのでした。ヒジヤンさんがお書きになった訪問記に対して、部屋をデッドからライブに調整した影響ではないかというコメントを残しましたが、そういえば今年5月にサラウンドおよびサラウンドバックスピーカーが B&W 706S2から805D3に変化し、フロアレベルの再生音の質がアップしたという点も無視できないと後で思いだしました。フォッサマグナツアーの(ウルトラ)ハイエンドの機材が導入済みの複数システムについて、様々な比較試聴させていただいた中からの気づきもありました。
Aruo-3Dの再生環境にはこれまでの2Dオーディオで言われてきた標準的な対策(donguriがこの1年やってってきた事です)では足りない部分がある気がしてきました。限られたdonguriの経験からではありますが、今感じているAuro-3DやAuro-Maticが2Dオーディオより魅力的に再生できない原因に関する仮説を立ててみました。それに関連して考察、対策も考えてみました。
【仮説】
フロアレベルのスピーカーの質が向上するにつれて、Auro-Maticの効果やAuro-3Dネイティブが2Dオーディオ再生より良いと感じる閾値は高くなる。そのような状況でAuro-3D効果を発揮するためには、ハイトスピーカーに関する質と部屋上部の音響について対策が必要である。
【仮説を思いつくに至った主な根拠】
donguri部屋の昔の音に比べ、スピーカーをグレードアップし各種フロアレベルの音響対策をした結果、2chおよび 5.1chマルチの音は向上したと思いますが、それで十分いい音と感じられている状態では、Auro-Maticを作用させた場合に良いと思える機会が減ってきた。フロント3本のB&W 800D3、サラウンドに同 803D3を配置してあるM1おんちゃん邸でも、SACD 5.1 chを聴いてすでにすごい!となっている所にAuro-Maticにしてさらにすごいとまではならなかったこと。しかし、JBLの巨大スピーカーをハイトに4台がっちり配置した軽男GT4邸でのAuro-3D再生には感服せざるを得なかったことなどから思いつきました。
【考察および考えられる一般的な対策】
ハイトスピーカー群の質を上げる。フロアレベルがブックシェルフなら完全同一が理想だが、フロア型を利用している場合はそのシリーズのブックシェルフ型を用意する。同一シリーズでない場合でもメーカー、シリーズをなるべく近づける。ハイトスピーカー群は同一シリーズで統一する。
検証が必要なこととして、ハイトスピーカー配置の高さより上方の壁および天井の音響特性について何が適切なのかはほぼ未知数である点。donguriの部屋の状況から行くと、フロアレベルの壁を吸音主体から拡散主体に変えて2Dオーディオの音質は良くなったと感じられた経験はあるが、ハイトスピーカーの音の背後や天井の対策はほとんどしてこなかった。吸音するのが良いのか拡散するのがよいのかそれらをどのような配置にするのか検証が今後必要と感じている。
さらにX1おやじさんの経験などを聞くと、ハイトスピーカー周りの配線やアンプの質についての影響も検討すべきかもしれない。
ソフトウェアでの音響調節の手段として、AudysseyはたぶんAuro- Matic及びAuro-3D再生の最適値を見出すには不十分な可能性が高い。理想はDirac Liveの導入だろう。物理的対策を高所や天井に徹底して施すのは難易度が高く、時には危険でもある。さらには見た目もどんどん醜くなるという欠点もある(感じ方の個人差も激しいとは思う)。多数のスピーカーから音がでて、複雑な反響の問題がある場合の解決策としては実測データに基づく電子式な音響補正を試してみる価値は大いにある。しかし現在のハードウェア状況によってはコストの問題が立ちはだかるのも事実。
【donguri部屋で当面実施可能とおもわれる対策】
・センターハイトの位置が前過ぎるのを修正する。
・フロントLRスピーカーとハイトLRスピーカーの絶対的・相対的位置の検討
・ハイトスピーカー群の周辺および上方の調音の検討
・Audysseyによる調整の最適化
・Dirac Liveの導入のためのハードの変更
【付録】
すぐにできるAuro-Maticの使いこなしについての記述です。
ヒジヤンさんの日記へのコメント中に述べたことの再掲となります。
「Auro-Maticの調整法」(DENON/Marantzのアンプ用)
Auro-Maticの効果は「Auro-Matic 3Dプリセット」と「Auro-Matic 3Dレベル」で調節可能です。
「Auro-Matic 3Dプリセット」では、小、標準、大、ムービー、スピーチに切り替えられます。音楽を聴く場合は、編成の規模、演奏される会場の想定に応じて、小、標準、大のいずれかを選んでみてください。自分の好みを選んでください。差が感じられなかったら、標準のままで良いでしょう。
「Auro-Matic 3Dレベル」では、1から16までの数値が選べます。個人の好みや部屋の音響状況によって適正な値は変わります。数字の大小で囲まれ感、楽器の定位、上方の開放感が大きく変化するので、デフォルトの値で聴いてみて、効果が不自然に強すぎると思ったら一桁に下げ、もっと効果を強くしたければ、デフォルト値以上に値を上げてみてください。
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donguriさん、やってますね。
フォッサマグナツアーで多くのお宅のサウンドを聴いて、自宅でのオフ会も実施して、多大なる経験値の積み上げが、次なる課題をどのように料理しようかと頭の中を駆け巡る様子がうかがえます。
2chは追い込み済で、サラウンドはとてもよい再生なので、次はAuro-3Dをものにする取り組みかと拝見しました。
①”MAGNIFICAT”教会音楽 Blu-ray Audioは、すべてネイティブ再生の比較ですから、Auro-3Dが一番でないと納得できないですよね。
お書きになられているように、Auro-3D再生では「合唱が宙に浮いてしまい」違和感がありました。サラウンド再生では「合唱は地に足をつけていました」
この原因として、FRのセンタースピーカーに段差がある説明をされていましたが、「ならば5.1サラウンドでは、なぜ地に足をつけるのか?」という疑問がわいてきます。
◇先ずは、Auro-3Dのネイティブソフトを一番の再生にすることが大事かと思いました。余計な一言ですが、Maticはアップチャンネル化のアルゴリズムに不明な点が多いので、2の次にした方が迷いがないのでは?と思いました。
②幸田浩子/カリヨンですが、いじわるソフト過ぎたと反省しています。2chでもスピーカー位置1mmでコントラバスの位置はブレてしまいますし、スピーカー位置5mmで、チェロやコントラバスはセンターになったり、ボーカルが引っ込んだりします。それほどまでに、今の2chの完成度が高いと言うことかと思います。
ですが、3mもあるコントラバスになる現象は異常と感じました。
◇こんな点からも、Maticは後回しにした方がよいのではないかと思いました。
◇ですがDirac Liveの導入は早々にも実施して、試してもらいたい気もしています。
拙宅へのお声掛けは、諸々の取り組みが落ち着かれてからにしておきますね。
鉄は熱いうちに打て!更なるサウンドアップをご期待しています。
donguriさん
先日、北京から戻ってきて、あまりに中国社会が日本とどんどんかけ離れていくのにショックを受けてしばらく放心状態(笑)で何も書いたり読んだりする気が起きなかった間に、ずいぶん、ご研究を進められたようですね。
今、気を取り直して(笑)伊豆に癒しを求めてきていて、Donguriさんの一連の記事を拝読して、ちょうど私が執筆している最中の「フォッサマグナツアー総括」と内容的に重複する点があり、驚いています。
短期間にかなり試行錯誤を重ねておられるようで、素晴らしいですね!今度お会いした時にDiscussionできるのがとても楽しみになってきました(笑)。
さて、詳細なレスは私のブログで対応するとして、一つだけ気になったのですが、Marantz(恐らくDenonもでしょうが)のデフォルトのAuro-Strengthは「10」もあるんですか?私のStormは「8」だったような記憶が…つまり15段階の真ん中。
これだと、恐らくAuro-Maticにしたときに定位感をやや損ねると思います。この値は、VOGやハイト群への音量の振り分け度合いだと思いますので。
以前も「せっかくVOGを設置したのに、鳴っているのか鳴っていないのかが分からない程度の音しか出ていないのが不満で、VOGだけ3dBほど上げた」という方がおられたのですが、「ぱっと聴き」普通の2ch再生と変わらない、というのが正しいAuro-3D(Matic)の塩梅です。Strengthを「10」にしているのは、「VOGから雷音」、といった、映画用セッティングであって、音楽用では無いとおもいますよ、老婆心ながら。
donguriさん
「Auro-Matic 3Dプリセット」について
拙宅では標準としていました。
オーケストラ物を聴くのだから大だろうと思ってしばらく聴いておりましたが、ヴォーカル物のライブビデオを見ていた時、それほど大きくない箱での演奏で明らかに残響が不自然だったので小にしたところ、今度は直接音が強く感じられてライブの雰囲気は出るのですが、聴いていて疲れたため、今は標準を選んでおります。
「Auro-Matic 3Dレベル」について
私のとこはデフォルト12だったと思います。正直ここはいじっておりませんでしたが、Auro3Dさんのコメントでも書かれている定位感に影響するとなると重要なファクターであることが伺えます。早速いじってみたいと思います。ちなみに現状は12です。
実は昨日DEVIALETのファームウェアアップデートをしたところ、JBL 9800SEとB&W Nautilus 800 のSAMが使えるようになり、狂喜乱舞しておりました(笑)
効果は先日お伝えした通り低域の沈み込みと位相の補正で効果があることを確認できました。JBLのスピーカーで奥行きの表現ができることに驚いております(笑)
軽男GT4さん
コメントありがとうございます。
デノン・マランツで会社が同じでも、機種によってデフォルトが異なる可能性があるという事のようですね。デフォルト=10という記述は今後修正いたします。
また、プリセットの値、大・標準・小 etcもソフトによって適正値が異なる可能性ありますね。
Auro3Dさん
フォッサマグナ―ツアーの企画・運営ありがとうございました。
Auro3Dさんのパワーが無ければ実現したかったと思います。donguriにとって非常に刺激になりました。何とか少しでも還元しなければと頑張っております。
Marantz SR8015でのAuro-3Dレベルのデフォルトが10なのは先日確認したばかりなので、すくなくともこの機種では間違いございません。
この値でかなり印象が変わるという事を最近身に染みて感じております。
14以上にするとさすがにdonguriでも気持ち悪く感じることが多いです。
ヒジヤンさんがいらした時の設定は高すぎたと反省しています。
なんか、効果をはっきり感じてもらいたいという気持ちで、
かえって不自然さがでて評価を下げた結果になったようです。
今後、Auro-Maticを2ch波の人に聴いてもらう時は注意いたします。
donguriさん
どうやらツアー参加者の中ではDonguriさんが一番得るものが多かったようで、企画側としては何よりです。
それをさらにヒジヤンさんと議論をして、理論的に詰めようとされておられるようで、今後のフィードバックに益々期待が高まりますね。
それにしても、軽男GT4さんがもたらした情報は驚きで、AV-10はデフォルトで12もあるんですか???メーカーによって異なるだけでなく、機種によっても異なるんですね(Trinnovはどうなっているんだろう…)。
それにしても12は「音楽再生」用としては行きすぎだと思いますけどねぇ。15段階の12ですよ!どう見ても「映画再生用」の設定に振っているとしか思えない・・・今伊豆なので、今度東京に戻ったら自分のDenonもチェックしてみますね。
それにしても、こんなにバラバラな状態で、かつどこにも映画用や音楽用の「標準値」が示されていないとは・・・我々は、海図なき航海、原野を進むがごとく、ですな(汗)。