「劇薬!? 天井と壁の交差部の吸音」日記の続きです。
効果は大きいのだが、どうも極端な反応となるので、『劇薬』として認定した拙宅のリスナー上部のポリエステル繊維 天井吸音材でした。
主な変化をピックアップすると、
・高音が響いてキレキレなサウンドとなる・・・リスナー上部
・低音の響きが身体を襲ってくる感覚となる・・・リスナー横の上部
・声の感じが設置の仕方で、甲高くもなり、沈んだ感じにもなる
これらの変化を組み合わせながら、何とかまとめた状態が上の写真となります。ですが、まだ高域の一部にピークを感じていました。
「なぜこうなるのか?」「理屈から考えると吸音材設置の効果とは思えない?」など影響度が大きすぎるのです。たかが薄手の吸音材設置の効果とは思えませんでした。
そんな時に降りてきたお告げがありました。
・頭の真上で高域を拡散させるから、高域が響くキレキレなサウンドになるのだ
・耳の横から高域を拡散させるから、低音が響いて聴こえて来るのだ ・・・と、
確かに今まで、頭上に拡散用の竹箸を切ったものを設置すると、ピリピリするような高域の響きを感じました。そして、低音だけではもやもやしたような音に高域を加えると「ドーン」と身体に響くような音となることを思い出しました。
「これが原因だ!」と感じます。
そこで、吸音材の角部を滑らかに加工して、「拡散しにくい形状」に加工してみます。
そして比較試聴しながらの追い込みです。
①:オリジナルの吸音材形状で可能な限り「中庸な音」とした仕様
・吸音材なしと比較して、音がクリアになり音像がより際立つ
・声や高弦の一部にピークを感じる
②:吸音材なしに戻した仕様
・①と比較して、音が滲み、もやもやした印象を受けた
・やはり吸音材は設定した方がいいと確信した
③:①と同じ配置で、吸音材の角部を滑らかに加工した仕様
・①と比較して声や高弦の一部にピークを感じなくなった
少し欲が出たので、別な仕様も聴いてみました。
④:③の左右真ん中部分の吸音材を外した仕様
・③に対して、高域と低域の響きにアンバランスさを感じた
③と④の結果から、最適仕様を模索した
⑤:中央左右のパネルのみ少し短くした仕様
・バランスが一番よい印象だったので、これでいこうと決めた
⑤の仕様が最適なのかはわかりませんが、かなり追い込めたと思います。ですが、ここまで来るのは大変でした。こんなに苦労するならメーカーでの模索が終わり、ある程度のセオリーが示されている完成品を買った方がいいかと思いますが、お安く済みますので腕に覚えのある方は是非試してみて下さい。劇薬ではなくて、調合が必要な漢方薬扱いかと思います。
さて、「デザインパネル活用の音響パネル」と「ポリエステル吸音材」を使った、「音像と音場の両立」についての取り組みは以上で完了とします。今後は様々な音源を聴きながら副作用がないかの確認をしていこうと思います。よかったら一緒に検聴してみて下さい。
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ヒジヤンさん、おはようございます。
ポリエステル吸音材ですが、形状というよりも、そもそもが高音域を反射するので、一次反射部位や、ある程度余裕のある広さが無いと高音がギラギラしてきますね。
先日、アマゾンのポリエステル吸音材を12枚、隙間を無くしてリスナー後壁に木板に貼って立て掛けてみましたが、裏面でも表面でもギラギラしてしまいます。
私の「吸音しない吸音ボード」も高音域を反射しますが、アマゾンよりも度合いは少ないですが、やはり気になるので、角度を設けて設置していました。
5年前くらいに購入したポリエステル繊維板もありますが、物凄い柔らかいので、高域の反射具合が穏やかで、今はこれをリスナー後壁に立て掛けています(アマゾンと比べると、同じモノか?というくらい硬さが違います)。
ただ、1200㎜の4枚しか購入しなかったので、この柔らかい吸音ボードがまた欲しいのですが、残念ながら倒産してしまったのか、どんなに探してもネット上では見つけられませんでした。
へっぽこハム太郎さん、コメントありがとうございます。
>ポリエステル吸音材ですが、形状というよりも、そもそもが高音域を反射するので、一次反射部位や、ある程度余裕のある広さが無いと高音がギラギラしてきますね。
これはないですね。
反射するのではなく、超高域は吸音特性が弱まるだと思います。このことは、私の日記の「ポリエステル吸音材の活用方法」日記で示している通りです。
https://philm-community.com/hijiyan/user/diary/2023/03/22/16932/
・ポリエステル吸音材は、25㎜程度の厚みで1KHz~4KHzを効果的に吸音します
・垂直入射では、厚みが薄くなると、特に低音側の吸音効果が弱まりますが、高域側の吸音効果も弱まります
・厚みを増すと、低音も超高音も吸音効果は高まります
・ですが、人がうるさいと感じる帯域を効果的に吸音するので、オーディオ用の吸音材としては活用しやすい吸音材ですね
・特に、音に輝きを与える超高域8KHz周辺の音の吸音率が低いのがGoodです。
ハム太郎さんが、「反射する」と感じたのは、相対的に吸音効果が弱まる点を反射と勘違いされたのだと思います。
自分は拡散の仮説を検証していますので間違えないと判断しています。
ハム太郎邸で、角度を変えることで音の調整をされたのは、
・ポリエステル吸音材を通過する音の「厚み効果」を調整されたのだと推定できます。
◇オーディオマニアは聴感で感じたことを、自分が知っている物理現象に置き換えてしまう特性があると感じています。
事例で言いますと、
・低音が膨らむことを「定在波」の影響と言うこと
→実際には、床や壁鳴りが原因であることが多い
・高域がうるさいのを「フラッターエコー」の影響と言うこと
→実際には「反射」や「歪」が原因であることが多い
ですから、仮説を立てたら検証してみることが必要だと思っています。
「吸音しない吸音ボード」は表面が柔らかく、中が硬いポリエステル吸音材ですね。
表面はフェルトで柔らかいですね。ですが、素材は同じポリエステルのものが多いようです。このサイトの宣伝にも多々出てくる「吸音材」もそのひとつです。
オフィス吸音パネル OTTO
https://shop.libgraphy.co.jp/collections/otto-r?gclid=CjwKCAjwoIqhBhAGEiwArXT7Kz2659622P669en89QDBaFfAtON81f7lv0fKKNsPkAHGseEhd5C06xoCjYkQAvD_BwE
ポリエステル吸音材は、素材に使う繊維の太さで「ポリエステル吸音材」と読んだり、「フェルト」と呼んだりするようです。繊維の細い「フェルト」の方が、高域を吸音しやすいのは、吸音のメカニズムからも明らかですね。
このメーカーでは、「表面のフェルトが音が通る時の力を分散し弱め、更に入ってきた音を弱め逃がさない」と謳っていますが、間違えではないにせよ「特定周波数の現象を誇張した表現」だと思いました。
・・・超高域にだけ当てはまる物理現象であると思いました
‘TORAY’のシンセファイバーにも表面にポリエステルフェルトを貼った製品がありました。
https://www.toray.jp/mf/product/synthefiber/
大きなメーカーらしく詳細のデータも開示されていますので、調べてみるのもよいかと思いました。
また、以前に言われていた、「波型ウレタン吸音材が共振する」件ですが、波形ウレタン吸音材の吸音特性にディップがあるために、このように感じられたのだと思います。ちょうど人が敏感に感じる部分に吸音が下がるディップがあります。この特性も、「ポリエステル吸音材の活用方法日記」に示してあります。
ヒジヤンさん、再度失礼します。
私は音を聞いて、「これは何KHz」と判断できる訳ではないので、聴感で判断していますが、アマゾン吸音材にしろ、「吸音しない吸音ボード」にしろ、実際は何が原因かは分かりませんが、主に一次反射部位で使うとバイオリンやオーボエ、女声ボーカル等の一部帯域で妙な響きが乗る事を反射していると判断しました(高域は高域でも、それほど高くはないです)。
他の部材との相互関係の影響も否定できませんが、ポリエステル吸音材ではなく、建築用の吸音材に変えると妙な響きは無くなりますが、今度は音の艶というかが無くなってつまらない音に変わってしまいます。
「厚みを調整した」との事ですが、「吸音しない~」の同じメーカーの厚み違い(20mmと50mm)で比較しても、厳密に測定すれば吸音特性は違うかもしれませんが、こと、上記の妙な響きに変化はほとんどありませんでした(どちらも角度を変えず)。
期待して50㎜を購入しましたが、残念ながら期待外れです。
「波型ウレタン吸音材が共振する」件ですが、ただ単にぶら下げる(裏面を壁や天井に接触させない)場合と、裏面にフェルトやコルクボードを貼り付ける場合とでは、どちらも妙な響きは乗りません。
壁に貼る場合でも、強力両面でしっかり貼り付けると同様に妙な響きは乗りません。
一番いけないのが、両面テープをケチって所々にしか貼らなかったり、和室の漆喰壁や、洋室でも壁紙表面が荒かったり、マップピンで取り付けると、主に中低域に気持ち悪い妙な響きが乗り、ウレタンの枚数が多ければ多いほど、部屋が狭ければ狭いほど極端になっていきます。
50㎜とか厚みがあるのは割とマシですが、30㎜に満たないのはダメですね。
以前、ステサン誌で某評論家が「特別良くはないが、悪くはない」と言ってましたが、個人的には使い方次第で悪くなるものと判断しました。
へっぽこハム太郎さん、なるほどです。
「ポリエステル吸音材は高音域を反射する」と言われていることは、ご自宅で聴感で検証されているということですね。
拙宅では、1次反射部分にポリエステル吸音材を設置しても、「一部帯域で妙な響きが乗る」感じはなかったです。聴感上の反射は感じずに、高域を吸音している感覚のみの効果でした。
だから意見が真っ二つに割れていることになりますね。
この点から想像すると、この議論の解は、
<<お宅毎に聴感上の効果が変わるので、試してみなければわからない>>
との結論かと思います。
さりとて、自分が感じたことを語るしか出来ないので、ポリエステル吸音材の効果については、「お互いに干渉せず」とするか、他の方にも試してもらった事例を提示してもらい論議を追い込んでいくかになりますね。
自分としては、多くの事例を集めたい気がしますが、おいそれと他人に薦められるものでないと感じていますので、難しい所です。
ただ物性から考えて、「高音を反射する」とのご意見には賛同しかねます。
>壁に貼る場合でも、強力両面でしっかり貼り付けると同様に妙な響きは乗りません。
もしかすると取り付け方の問題なのかもしれないですね。
ヒジヤンさん、再再度失礼します。
今回の日記の本文にも書かれていますが、「高域の一部にピークを感じていました」、「・声や高弦の一部にピークを感じる」というのはヒジヤンさんも認められていると受け取りましたがどうでしょうか?
私は、これを「反射」と表現したに過ぎません。
私はこう表現しています↓
「一次反射部位で使うとバイオリンやオーボエ、女声ボーカル等の一部帯域で妙な響きが乗る」
「妙な響き → ピーク」と置き換えると、私とヒジヤンさんは、ほぼ同じことを言ってるように感じますが。
私の言葉選びが下手というのは今更なのでツッコまないでください。
実際のところ、音は目に見える訳ではないので、この「反射」(ピーク)がポリエステル吸音材の仕業なのか、設置の仕方によって変化しているだけなのかは分かりませんが、同じ場所にガチな吸音材を使うと、このピークがサッパリ無くなるので、私はポリエステル吸音材は僅かに反射(反響?)してるのではないか?と判断しました。
「反射」というと強く感じるかもしれないので、「若干エコーが乗る」程度にしておきます。
前にも話しましたが、「吸音しない~」のおかげで大まかな音質は満足していますが、その、「高域に若干エコーが乗る」という細かいところが気になるというワケです。
もう一つ考えられるのが、元々の壁の強度の違いですかね。
なんせ、ポリエステル吸音材を貼っていても、低域の音圧で結構な振動をしているので、高域とはいえ、全くの影響なしとも言えないのではないかとも思います。
他の方に検証して頂くのも面白いですが、私は一つとて全く同じ結果にはならないと思っています。
そういう理由で、私が絶賛している「吸音しない吸音ボード」を正式な名前を公表していない理由でもあります。
私が良いと思っているモノをダメって言われたら、個々の好みとはいえ、やはり面白くないですから。
へっぽこハム太郎さん
>今回の日記の本文にも書かれていますが、「高域の一部にピークを感じていました」、「・声や高弦の一部にピークを感じる」というのはヒジヤンさんも認められていると受け取りましたがどうでしょうか?
この高域のピークの原因は、「拡散効果」であると言うのが、本日記の主旨であります。「吸音」「反射」「拡散」はオーディオ音響を語る上で区分すべき事象であると思っています。
◆この日記で言いたいことを明記しますと、
<<吸音材であっても、固形化されたものはエッジがあると音を拡散する>>
と言うことです。
ですので、「反射」と言われたことに敏感に反応してしまったようです。
これ以上は論議しても不毛と思いましたので終了とさせて下さい。
ですが、多くの事例を集めて「有意義な使いこなし」の手法を構築していくことは、私のライフワークみたいなものですので、引き続き進めていきたいと考えています。
その中で、「取り付け方による問題」も面白いテーマかと思いました。
追記です。
①「オーディオマニアは聴感で感じたことを、自分が知っている物理現象に置き換えてしまう特性があると感じています。」
・・・これは過去の自分の反省に基づき、他人のことも観察した結果から感じていることです。定在波の事例は、自分の勘違いが元となっています。
②ハム太郎邸の吸音材の角度を変えて音を調整されたのは、枠材(反射物)の反射や拡散の効果変動かもしれないです。
③オフィス吸音パネル OTTOの表面ポリエステル繊維材=フェルトの効果を謳っている画像を添付します。
※なお業界では、ポリエステル吸音材は、ポリエステル繊維固形材 フェルトはポリエステル繊維材と区分されているようです。