声楽仲間がコンクールを受けるというので同行して来ました。そこで感じたことからオーディオに繋ぐイメージがわいたので日記にしました。コンクールは、東京の武蔵小金井駅前にある、小金井 宮地楽器大ホールで行われた、プリマヴェーラ声楽コンソルゾです。
座席数600程度の中規模な音楽ホールで、客席が空席状態に近かったこともあってか、たっぷりとした響きのホールに感じました。
聴いたのは1階席7列目の右ブロックの通路横です。センターブロックの7列目から14列目までは審査員席として確保されていたので座れません。審査員は思い思いの位置に座って聴いて審査をしていました。
この日は、ミュージカル部門と声楽部門が行われたのですが、ホールへの歌声の届き方がミュージカル部門と声楽部門で驚くほどの違いがあり、また歌う人によっても驚くほどの違いがありました。
・ミュージカル部門から声楽部門になると、客席への歌声の届き方が全く違います。
⇒ミュージカルは小さく遠くに聞こえ、声楽は大きく近くに聞こえました。
・同じ声楽部門の人でも大きな差があります。
⇒小さく遠くから聞こえる人と大きく近くから聞こえる人がいました。
⇒この違いは何でしょうか?
⇒自分が声楽を学んでいるときにも度々言われていたのですが、「ホールで客席にしっかりと届ける声は響きのある声」だと。
⇒近くで聞いているときはあまり意識しないのですが、大きなホールではその差が顕著になります。
⇒コンクールの講評でも、審査官が同じことを言っていました。
なぜこうなるのでしょう。
・響きの強いホールなら大きく聞こえるのでしょうか?
⇒同じホールでも歌い手の声の大きさ以上に違いが出ることを今回のコンクールで感じました。
・響きが多い声なら大きく聞こえるのでしょうか?
⇒近くで聞けば、響きがある声とない声で大きさはさほど変わらないと感じます。
・これらから考えると、ホールの響きと声の響きが共鳴していると考えられます。
⇒大きなホールでも客席にしっかりと声を届けるためには、「帯域ごとに響きが変わらないホール」と、「高音から低音まで響きが変わらない歌声」が必要になると言えます。
こうして考えると、コンサートホールで音楽を聴く時も同様なことを感じます。
・響きの多いホールで聴くと、音が大きく聴こえるのは楽器の響きがあるので当然としても、近くに聞こえるのは今回のコンクールと同じです。
⇒ウィーンのムジークフェラインなどは、離れて聴いても近くで演奏しているように聞こえます。
・ですが、響きが多ければよいというものでもないです。
⇒例えば、風呂場は響きが多いですが、音が不明瞭になってしまいますね。
・「響きが多くても、明瞭に聞こえること」がよいホールの条件になるような気がしました。
⇒ウィーンのムジークフェラインでは、響きの心地よさと音の明瞭さを併せ持ち、遠くで聞いても近くで演奏しているように聞こえます。
・では響きが多いホールに楽器や歌声の響きが共鳴し、音が増幅されると共に潤沢な響きを感じ、なおかつ明瞭に聞こえるために必要な条件とは何でしょうか?
⇒この条件は、世界中の学者が研究しても未だ確かな解は得られていないと聞きいています。
オーディオも同じですね。
・生演奏とオーディオが違う点は、(オーディオは)ソフトの中に響きの情報が入っているので、リスニングルームで過渡に響かせる必要はないですし、スピーカーから出る音に響きを付ける必要もないです。
⇒それでも、ソフト内の響きの情報を全身に感じる再生をするためには適度な残響は必要です。
・もう少し言えば、同じソフトを使っても音場型の再生(響きが過多に感じ、音が不明瞭になる)にもなれば、音像型の再生(響きは少ないが、音は明瞭に聞こえる)にもなります。
⇒自宅でも、同じソフトを使っても音場型になったり、音像型になったりした歴史がありますので実体験からの認識です。
・生演奏を聴いた指標にしたがえば、響きの心地よさと音の明瞭さを併せ持つ再生が望ましいと考えられます。
⇒実体験から、同じソフトでも音場型になるケースと、音像型になるケースの大筋は把握しています。
⇒オーディオ再生も、「その場にいるような音場」と「そこで演奏しているような音像」を併せ持つためにどうしたらいいのかが課題となりますね。
◆具体的な結論のない話となってしまいましたが、今後はこのような指標でオーディオを掘り下げていきたいと思います。
コメント ※編集/削除は管理者のみ