「時計仕掛けのオレンジ」とオーディオ

日記・雑記
Sponsored Link

スタンリークーブリック監督の1971年の作品。
Blu-rayでの鑑賞。 アスペクト比が1.66:1なので16:9(1.78:1)の画面だと左右に少し黒帯がでる。 でもこれがクーブリック監督が意図した画角。 DVD盤は4:3にクロップされたいた(と記憶する)。

Anthony Burgess  (アンソニーバージェス)の小説「時計仕掛けのオレンジ」を映画化した。
[:image1:]
[:image2:]
風刺が効いたというかブラックユーモアというか、鑑賞後はなんとも複雑な気持ちになる。
映画は主人公の一人称で語られていくが、とにかく主人公アレックスが最悪の性格。

政府が行う人格矯正なんて許されることじゃないけど、悪党アレックスが矯正されて(いや、実際には矯正はされていない、何か悪いことをしようとすると気分が悪くなってできなくなるというだけ)、それを政府と対立する政治家たちがアレックスを被害者に仕立て上げて次期選挙で勝とうとするが与党の大臣が逆に利用して、アレックスを元に戻して政府の宣伝に使おうという、当のアレックスはすっかり元通りの「悪党」に戻ってめでたしめでたしという、なんとも皮肉な話。

後に発表した映画シャイニングと違って時計仕掛けのオレンジはかなり原作に忠実。 小説を読んだのはずいぶん前だからどこまで忠実かは覚えていないけど、結構近かったという記憶はある。

1971年当時のイギリスからみたら近未来社会ってかんじだけど、色彩から衣装から、まさにサイケデリック。

主人公のアレックス、悪党なんだけど(確か小説では15歳の設定だった)ベートーヴェンの第九が大好き。 親しみを込めてなのか、ベートーヴェンのことをルードウィグヴォンと呼ぶ。
第九を大音量で聞きながら人を拷問したり、強姦したり、処刑したりする妄想にふけってマスターベーションをする。 とにかくひどい奴だ。

彼の部屋のオーディオ機器が興味深い。
アレックスの部屋
[:image5:]
これは最後のシーン、病院で「復活」したアレックスに贈られたオーディオ機器。 でっかいスピーカーだけど奥行きがない。 オープンバッフルかな。
なんていう機種なんだろう?
[:image3:]
レシーバーにBang & Olufsenの Beomaster 5000
[:image4:]
レコードプレーヤーがミッチェルエンジニアリング(J.A Michell Engineering)のReference Hydraulic Transcription TurntableにSMEのトーンアーム
[:image7:]
後に登場するGyroDecの原点なのだろう。 ターンテーブルの形状が興味深い。 GyroDecでは下についている円筒の重りが上側に乗っているのでレコードを乗せるとテーブルから浮いた設置になるようだ。 映画の中では操作されなかった。

代わりに第九の演奏に使われたのがあまり普及したとは言えないミニカセットテープ。
[:image6:]
これで第九を演奏した。
ミニカセットテープは1967年にフィリップスが開発したので実在するけど、プレーヤーは映画のプロップだろう。

余談だが1969年にオリンパスがマイクロカセットを開発発表した。 当時の技術では高音質は得られないので到底オーディオ用途には使えなかったけど、1980年代後半にはメタルテープとか、ノイズリダクション技術の発達とかで音楽用途にも売られた。

音楽担当はモーグシンセサイザー使いのウォルターカーロス、いまはウェンディカーロスになってるけど。

コメント ※編集/削除は管理者のみ

タイトルとURLをコピーしました