昨年から何度か記事にしたMoFiヴァイナルレコードの問題
DSD(一部PCM)を使用していながらそれを一切告知せずいかにもすべてがアナログという印象操作をしていた(印象だけではなくオーディオショーなどで全行程アナログと断定しているインタビュー映像も残っている)ことが暴かれた事件。
アメリカ(EUでも)のオーディオ業界に激震が走った話題だったわけですが(なぜか日本では全く話題に上らなかった)、当然ながらいくつもの訴訟を起こされました。
そして今回その中の一つの裁判で最初の和解案が提示されたという情報をYoutube Channel、Safe & Sound Texas Audio ExcursionのDavid Biancoが紹介しています。
(*Breaking News* Proposed Settlement on Lawsuit against MOFI for Digital used in Vinyl Mastering)
和解案の概略、
2007年3月19日から2022年7月27日の間に対象レコードを購入した人(対象者4万人以上と推定)に以下の3つのオプションを提供する。
1) 返品希望者には返品に対して購入価格、税金、送料を支払う
2) 保持したい人には購入価格の5%を返金する
3) もしくは10%のクーポンを提供する
以上で総額2500万ドル以上になる。
今回の騒動でやや中古価格は下がったもののMoFiのレコードのほとんどは定価以上の価格で中古レコードが売買されている現状で1案を選ぶ人がいるとはちょっと思えません。
2案、5%返金というのが中古市場価格の下落に見合ったものなのかどうか試案のしどころか。
そして3案は10%分のクーポンって結局自社製品をさらに買わせようという魂胆が見え見えです。
原告がこれを受け入れるかどうかはまだわかりませんがなかなか興味深い状況です。
ちなみに私はこの期間内にはMoFiレコードは購入していないので対象者ではありません。
私が所有しているMoFiのレコードはそれよりずっと前のもので間違いなく全行程アナログです。 だから裁判の結果がどうなろうと関係はないのですが、話題として興味深いので記録として残しておこうと思います。
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Multi_Hobbyistさん
こんにちは。続報ありがとうございます。
さすがアメリカですね。儲からないHiFi業界で2500万ドルは厳しいでしょうが、実損は極めて限られるか、第3案が多いと逆に利益が出る可能性もあるということですか。
私自身、MoFiのレコードは幾つか所有していますが対象になりそうなのは一つだけでした。ただ、このパッケージを見る限りでは、Original Master Recordingからと書いていますが、Master Tapeとは書いていません。
いずれにせよ5ドル程度の返金であれば、面倒くさいので見送りです。
ちなみにこのレコード、ファーストプレスと比較したことはありませんが、手持ちの日本国内初版CDより好みです。
のびーさん、
書き忘れましたがこの集団裁判の権利対象者はアメリカ国内での購入者のみなのです。
アメリカでの裁判だから当然なのでしょう。
「Original Master Recording」というのが曲者なのです。
MoFiは「Original Master Recording」と名付けたアルバムではオリジナルマスターテープから直接カッティングということを当初宣伝文句にしていました。
オリジナルマスターテープを使えなかった場合は代わりに「Mobile Fidelity Sound Lab」とアルバム上部に書いて売っていました。
だからユーザーは「Original Master Recording」を信じていたわけです。
しかしMoFiは2007年からディジタル録音を間に入れ始めてからもそのことを言わなかったのでユーザーは騙されたと怒ったわけです。
DSDを使うことは正しいと私は思います。 磁気テープは保存しているだけで劣化します。 再生すればそのたびに劣化は進みます。 「アナログ」であるからこそテープの劣化はより直接的に音に影響を与えます。 劣化が進む前に最良の技術でDSD録音をすることは正しいことだと思います。
ただMoFiはそのことを黙っていてユーザーを欺きました。 だから集団訴訟が起こされたのでしょう。
Multi_Hobbyistさん こんにちは!
手持ちのCDを見たら1982年のアルバムなんですね・・・
もう40年も経つのかと思ったらちょっと感傷的になりました。
プリマさん、
MoFiが創業したのが1977年ですから80年代当初発売のCDがあっても不思議ではありませんね。
CDが販売され始めたのは1982年、MoFiってそんなに初期からCDを売っていたとは知りませんでした。
世の中でCDが台頭してアナログディスク市場がほぼ消えてしまった後もMoFiは高音質にこだわってずっとヴァイナルレコードを作り続けました。 その功績は大きいと思います。
だからこそDSDを間に入れ始めたことを隠さずに誇りをもって最初から言ってほしかったと思います。