Reed 5Tの導入(その1)

日記・雑記
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Reedはリトアニアを拠点とするアナログ・プレーヤー関連機器のメーカーで、独創的なアイデアのトーンアームがよく知られています。私は特に、ターレスの定理を基にアームの位置と動きをレーザー制御、リニアモーターで駆動する5Tというモデルに興味を持っていました。

 トラッキングエラーの最小化をピボット式の機構で実現するために、シェル部分のオフセット角を変化させる手法は、THALESのSIMPLICITYやKLAUDiOのARMシリーズが有名ですが、いずれもオフセット角に由来するインサイドフォースを避けられず、角度が変化することからインサイドフォースも一定で無いという問題があります。

Reed 5Tの手法は、オフセット角ゼロのストレートアームですからインサイドフォースも原理的に発生しません。理論的に非常に素晴らしく共感できるものですが、トーンアームの微妙な動きを果たしてモーターで制御出来るのだろうかという疑念もありました。価格も半端ないので導入は考えていなかったのです。それが昨年6月、GRFさんから「H氏がReed 5Tを2基も導入され、その音はEMT927をも上回る安定感だ」と伺い大きく動揺してしまいました。H氏は光カートリッジで我々を驚かしたその人です。その後、GRFさんは予想通り5Tを導入され、私もそのパフォーマンスを今年3月に直接体験し、動揺は益々大きくなっていきました。

ただし、5Tの導入は簡単ではありません。本来のパフォーマンスを発揮させるには完璧な「取付ブラケット(以下、ブラケット)」を用意する必要があります。私は「付けるならAirforce Oneしかない」と確信していましたが、Airforce Oneはメインとサブアームのポジション近くに高さ調整用の大きなダイアルがあり、取り付けスペースは限られます。Airforce Oneの実測値と5Tの写真から、サブアームのポジションしか付かないことが分かりました。果たして本当に付けられるのか?

まずTechDasにAirforce Oneのサブアーム部分の詳細な図面をリクエストしました。会社方針で図面を公開しないとの回答でしたが、使用目的を説明し図面の範囲を相当限定することで何とか開示して頂きました。

次の問題は5Tの入手。英国では日本より多少割安ですが、それでも最小構成で14,295ポンド(約240万円)します。付くかどうかも分からないものにこれだけの出費は躊躇します。状態の良い中古品は無いものかと探していたところ、5月中旬にaudio-markt.deというドイツのサイトに出品を発見。約1年落ちの良品で、価格は英国価格の半額程度です。出品者はオランダのオーディオ・ショップ。早速、連絡を取り写真やシリアルナンバーを確認して購入を決定。話はスムーズに進みましたが問題が発覚。

Brexit後、欧州大陸から英国への輸出には英国で20%のVAT(消費税)が発生します。英国以外、例えば日本に輸出するなら欧州のVATは簡単に免除できるのですが、Brexit後は、英国との手続き方法が未確立でこのような事態に陥っているのです。これはあまりに馬鹿馬鹿しいとキャンセルも考えていたところ、6月半ばにHamburg出張があることを思い出しました。オランダとドイツの間の売買では税金も発生せず、輸送費は売り手負担出来る程度なので、Hamburgでの滞在ホテルに送ってもらうことにしました。結局、Hamburgから手荷物で持ち帰り無事5Tを入手しました。

(いくつかの写真はReed社のサイト、GRFさんのブログから拝借しました)

続く

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