後半戦、新音源での音楽鑑賞会が終わったところで最後の番外編へ。
マーラー「千人の交響曲」(交響曲第8番)の比較試聴です。
1枚目は私が持ち寄ったNHK交響楽団によるライブ盤で、2枚目はヒジヤン邸の定番、MTT/サンフランシスコ響による盤です。
N響盤は、N響の定期会員向けの非売品です。
2023年12月16日(土) 開演 6:00pm
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この演奏会のライブ録音です。
ヒジヤン邸の再訪前に手元に届きまして(※私はN響の定期会員なので。)、せっかくなのでヒジヤンさんのところで開封して初再生してみよう、ということで事前にお伝えして持ち込んでみました。
ちなみにこの演奏、私は当日に会場で生を聴いてます。(ただし座席選びは失敗でしたが。)
音源自体はFM放送用に収録されたものをベースにしてあると思うのですが、さてどんなものかとかけてみます。
うーん・・・
これはちょっと全体的にバランスが悪いですね。
席選びを失敗した実演と、このCDから受ける印象は一長一短、というレベル。
実はこのコンサートでは、演奏者の配置がちょっと特殊でした。
こういった声楽ソリスト・合唱付きの作品では、一般的なコンサートだと客席から見て
・ソリスト(指揮者よりも前、あるいは横並び)→指揮者→オケ→オケ後方のひな壇に合唱団
という並びにします。
しかし当日の並びは
・指揮者→オケ→ソリスト(ひな壇最前列、合唱の手前)→合唱団
の順で並んでいました。
これはカーテンコール(撮影可)の自席からの写真ですが、舞台の最前列(指揮台の横~手前くらい)に歌手が並んでいるこの状態が、一般的なコンサートでのソリストの位置に近いです。
一方、この公演中にソリストが実際に歌っていたのは、オーケストラの後ろ、合唱団の前です。(拡大すると、ティンパニの後ろに空いた椅子が並んでいるのが見えると思います。)
ちなみに全体の配置としてはこんな感じ。
ステージ右手前上空のバルコニーっぽいものはパイプオルガン席、左手前の通路に楽譜を開いて立ち並んでいる黒服の一団はバンダ(金管の別動隊)です。
そしてCDを聴く限り、メインで使っているマイク・音源はソリスト+合唱団を録っているもの、つまりオーケストラの後方にあるものを使用しているようです。
その結果、オーケストラの音がだいぶ・・・しょぼい。
もちろん細かい音は取れているしダイナミクスもあるのですが、実演で聴いたイメージよりもオーケストラの音量がかなり小さく、全体として合唱を主体として編集しているようです。
おそらくですが、放送用音源としてはこれで正しいのでしょう。
放送を聴く大多数のリスナーの再生環境は凝ったものではなく、また期待するのは細かなオーケストラのニュアンスではなくて、迫力ある大規模な声楽曲、なのです。
一方で、きちんと整えられたオーディオ環境で聴く、となると相当に隔靴掻痒の感がある出来です。
ただ、当日のNHKホールは満席だったので、オーケストラ前方(つまり客席に近い)にあるマイクをメインにすると客席側のノイズ(冬でしたので咳・くしゃみが・・・)が多くて使いにくかったのかもしれません。
加えて、NHKホールの特色もあります。
音が悪いとしばしば言われるNHKホールですが、音楽ホールと捉えるから誤解を生みます。
あれは音楽ホールではありません。
超巨大な放送用スタジオです。
実は客席の埋まり具合が半分以下だとなかなか響きは良いです。が、客が多いほどデッドな収録スタジオの音に近づいていきます。
当日は満員御礼でしたので、ホールトーンを取り込もうにも響きが十分に残っていません。
今回は
・録り直し不可の一発勝負、かつそれを短期間で編集(12/16収録→12/23FM放送)
・満席ゆえに響きがデッド、かつ客席側からのノイズも多い=客席に近い側のマイクで収録したデータはメインの音源としては使えない
・FM放送のリスナーが期待する音にしなければならない
となったときにこのような完成品に至ったのは理解できます。
一方、2枚目のMTT/サンフランシスコ響による盤。
こちらはソリストは通常の配置、また複数回のコンサートで収録した音源を組み合わせることが出来、編集にも十分な時間が持てたのでしょう、さすがの優秀録音です。
オーディオで聴くなら圧倒的にこちらですね。
(続く)
コメント ※編集/削除は管理者のみ
眠り猫さん、おはようございます。
さすがのクラオタ、ご自身が聴かれた演奏会の解説は話題豊富ですね。当日の会話で、自分からも、「自身で聴きに行ったコンサートの音源は宝になりますね。」とコメントした記憶があります。
さらに続きがあるのですね。待ちきれなくなって来ましたので、ホスト視点での振り返り日記の前半をスタートさせてもよいでしょうか?
視点の違いによる感じ方の違い、それを知り考えることで学べることがあったオフ会でした。
ヒジヤンさん、おはようございます。
>ホスト視点での振り返り日記の前半をスタートさせてもよいでしょうか?
もちろんどうぞ!
多忙や風邪っぴきでなかなか進まない上に、思っていたよりも長文になってしまいました。とりあえずなんとか年内にあと1本、締めを書いて仕上げたいと思います。