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東京交響楽団第60回名曲全集

日記・雑記
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台風一過とはいえ秋雨前線の北上で肌寒い曇り空が続く10月最後の日曜日。
2日連続でやってきたミューザ川崎シンフォニーホール

今日は、今年43回目のコンサートとして、ここミューザ川崎シンフォニーホールを本拠地とするプロのオーケストラ、東京交響楽団の第60回名曲全集を聴きにきた。

ブログの方もご覧ください。

定期演奏会とは一味違う本日の演奏会は、指揮者にフランス人指揮者で現在は仙台フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者も務めるパスカル・ヴェロ氏、テノール歌手に同じくフランス人のジル・ラゴン氏を迎えた、フランス音楽名曲集だ。

曲目は第1部が、ベルリオーズ作曲:序曲「海賊」、ビゼー作曲:交響曲ハ長調。

休憩をはさんだ第2部は、先ずジル・ラゴン氏を迎えて、ビゼー作曲:歌劇「カルメン」より「前奏曲」に続きアリア「花の歌」、続いてマスネ作曲:歌劇「ウェルテル」より第1幕の「前奏曲」に続きアリア「夢かうつつか」「なぜ我を目覚めさせるのか」

続いてベルリオーズ作曲:劇的物語「ファウストの劫罰」より「古びた冬は春に道をゆずり」に続き、アリア「だが田園をいろどるのは戦いの雄叫びなのだ」、そして有名な「ハンガリー行進曲」に続き、アリア「自然への祈り」、「鬼火のメヌエット」

最後にサン=サーンス作曲:歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナールで締めくくる、フランス音楽を堪能するプログラムとなっている。

指揮者のパスカル・ヴェロ氏は細身の体全体を使った優美な指揮ぶりでオーケストラを統率している。
いつも聴いている東京交響楽団に比べて音色が明るく、煌くような輝きを持つ1stVnが特長的。
それはビゼーの交響曲ハ長調で一気に爆発したような煌くサウンドが聴衆を魅了した。
フランスものの交響曲というと、サン=サーンスの「オルガンつき」や、ベルリオーズの「幻想交響曲」が有名だが、このビゼーの交響曲も17歳で書かれたという天才ビゼーの才能が開花したとても伸びやかで爽やかな曲想が好ましい。
このオケは木管楽器の巧さに比べてやや弦楽器の層の薄さが気になっていたのだが、今日のフランスものの演奏は大変素晴しいものだった。

休憩をはさんでステージに現われたテノール歌手のジル・ラゴン氏は、大柄な体に短めに刈上げた白髪、理知的な顔立ちが特長的。
最初に「カルメン」のホセ役で表情豊かにアリアを歌い上げて拍手喝采を貰い、聴衆を一挙に魅了した。
知性的な歌い方は純朴なホセ伍長にはやや似つかわしくない気もしたが、コンサートアリア形式ではこのような歌い方でも違和感が少ない。
マスネのウエルテル役はハマリ役と見受けられ、紅潮した顔で情感タップリに歌い上げ、引き続くベルリオーズのファウスト役では、力強い自然賛歌を歌い上げて、万雷の拍手で3度もステージに呼び出されるほどであった。

フランス人指揮者とテノール歌手により、定期演奏会ではなかなか聴く機会の少ないフランスものの名曲を堪能した演奏会であった。

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