世間でいう5月の大型連休も今日8日で終わりを告げる。
25℃を越える夏日となった昼前、今年10回目のコンサートとして横浜みなとみらいホールに出かけた。
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夕方には所用があって都内に戻らねばならないが、このコンサートならとチケットを取ったのは、アマチュアオケ、横浜フィルハーモニー管弦楽団の第65回定期演奏会。
この団体の演奏会は、昨年12月に同じくみなとみらいホールで開催された、第64回定期演奏会で、マーラーの交響曲第2番「復活」を聴き、その卓越した演奏レベルと音楽性の高さに、「これぞマーラー復活の醍醐味」と感動したことがつい最近のことのように思い出される。
今回の演奏会は全席指定で1000円。
予約で押さえた席は1階5列18番という指揮者真後ろで音響的にもホールのほぼ真ん中の席。
天井を見上げると、節電のため照明を落とした円形の天井が見える。
今日の曲目は、指揮者に東京都交響楽団前首席コントラバス奏者で、現在は各地の学生オケやアマチュアオケの指導&指揮に精力的に活動されている相葉武久氏を迎え、最初にフォーレ:劇音楽「シャイロック」より抜粋、2曲目はプーランク:バレエ組曲「牝鹿」、そしてメインは、オルガン独奏に室住素子氏を迎え、サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」というフランスを代表する作曲家の曲目を並べた意欲的なものだ。
このオケには2人のコンサートマスター(ミストレス)がいるが、前半のプログラムでは美貌のコンサートミストレスがオケを率いて登場した時には会場が釘付けになったようだった。
フォーレのシャイロックでは、冒頭から透明度が高く艶のある弦楽の響きから始まり、洒脱なフレーズで木管アンサンブルが重なる様に驚く。
指揮者の相葉氏はタクトをゆっくり振りかざしながら全身でテンポを指示する指揮スタイルで、この美しい小品集をまとめあげていく。
コンミスのヴァイオリンソロは芯の太い音色でありながら可憐さも兼ね備えており、この技量ならヴァイオリン・コンチェルトの独奏もこなせるかもと思えるほどだ。
2曲目のプーランク「牝鹿」ではトロンボーンにチューバ、バスクラリネットなども加わった編成になり、ここでは金管と木管のアンサンブルが聞かせどころが多く、軽快なバレエ音楽としてとても楽しめるものだ。
弦楽器と木管楽器の各パートが旋律を交互に受け渡しながら進行していく部分では、見事に息が合ったアンサンブルで技量の高さを見せてくれる。
終始一貫して軽妙洒脱なフランスらしいエスプリの効いた楽しい演奏を奏者自身も楽しんでいるのが観客席でも感じられる素晴しい演奏だった。
メインの「オルガン付き」ではコンサートマスターが代わり、重厚なサン=サーンスの音楽を構築して見せた。
特徴的な刻みのリズムが見事につながっていく前半楽章から、ややゆっくりしたテンポで重厚さを印象付ける終楽章まで、全ての奏者が演奏を楽しみながら音楽を作り上げている。
しかし、決して上手さだけの演奏ではない。
音楽に全情熱を捧げてこそ生まれる横浜フィルハーモニー管弦楽団独特のサウンドがそこにあった。
みなとみらいホールのパイプオルガンはアメリカ、フィスク社製のものだそうで決して派手派手な音ではないが、オケとのアンサンブルにおいては完全にオケの楽器の一つとして溶け合った響きを聴かせてくれた。
オーディオではなかなか味わえない、体全体で感じるパイプオルガンの振動も生演奏ならではの醍醐味。
アンコールでは震災の被災地への復興の祈りとして、マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲が演奏された。
昨年の復活といい、今回のオルガン付きといい、毎回毎回音楽性の高い素晴しい演奏を聞かせてくれる横浜フィルハーモニー管弦楽団。
次回、第66回の定期演奏会は、11月6日にミューザ川崎シンフォニーホールとクレジットされている。
もちろん復旧工事の進行状況によっては予定が変更されるとのことだが、是非ともミューザ川崎で聴きたいと思う。
演奏会終了後の余韻を胸に、所用のため急ぎで都内に戻った。
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