It’s alright. – アラン・トゥーサン『American Tunes』

日記・雑記
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アラン・トゥーサンは昨年11月10日に
公演先のスペイン・マドリッドで急逝しました。
私はつい数日前にこのラスト・アルバムを入手するまで
そのことをまったく知りませんでした。。。

個人的に若いころからよく聞いていて
思い入れもそれなりにある存在だったので
哀しい気持ちになりそうな予感をもちつつ
CDを聞き進めました。

でも不思議な感じ。
あまり哀しくないのです。
それよりリラックスして開放されていく自分を感じました。
それもちょっと意識が浮遊しつつ沈静化していくような。。。
全体的に明るい中間色の音色で
トゥーサンのピアノを中心として
それに伴奏がついたような、かなりあっさりめのアルバムの展開は
必要最小限で表現しようとしたら
こうなった的な自然さによるものかと思いました。
何度か聞いているうちに
これは、芭蕉の「かろみ」かな~という。。。
まあ、いつもの私の悪い癖ですが、
でもそんな文学的表現のきわみのようなことばでも
このアルバムに関しては、掛け値なしにピタリとはまる
そんな気がしてきました。

このアルバムの詳細については
こちらをごらんになるのがいいでしょう。
「アラン・トゥーサンのファイナル・レコーディング・アルバム
『American Tunes』が日本でも発売に」
ttp://amass.jp/73522/
あらためてこのアルバムのストロングポイントをご紹介するなら
こんな感じになります。

まず、トゥーサンとタッグを組むのは
2009年の『The Bright Mississippi 』から続いてとなる
ジョー・ヘンリーによる絶妙の「空気感」のコントロール。

おそらく風来坊のような感じでスタジオにやってきて
ポロンポロンとピアノを弾いて、美しくも小粋なストリングスを
つけて、また何処かへといなくなってしまったに違いなかろう
ヴァン・ダイク・パークスの「Danza」と「Southern Nights」での
奇跡的な仕事ぶり。

大好きなエリントンをこんなに福福しくも凛々しく聞かせてくれた
「Come Sunday」と「Rocks In My Bed」での
リアノン・ギデンズのヴォーカル。

今頃、天国でトゥーサンとピアノ談義をしているであろう
ビル・エヴァンスもにんまりしたにちがいない
「Waltz For Debby」のアレンジ。

そしてこんな曲で人生を締めくくるのはかっこよすぎるな~
ポール・サイモンの名曲「American Tune」。

We come in the age’s most uncertain hours
And sing an American tune
Oh, and it’s alright, it’s alright, it’s alright
You can’t be forever blessed
Still, tomorrow’s going to be another working day
And I’m trying to get some rest

この映像をみると、きっちり最後まで舞台をつとめ
残されたわれわれに微笑みながら
it’s alright
と優しい口調で諭してくれている人の姿が
まぶたの奥に浮かんできます。

「Allen Toussaint – Big Chief/Tipitina
(last live performance, Nov-09-15 Madrid) 」
https://www.youtube.com/watch?v=rrUDOHjOiJ0

あらためてご冥福をお祈り申し上げます。

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