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空想のリュート音楽会:トーマス・ダンフォードとショーン・シベ

日記・雑記
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                     2020年05月30日

いわゆる配信系の普及によって
再生音源はCDであれダウンロードであれ、売れなくなり
結果的に音楽家はライヴに重きを置くようになってきました。
でも、このご時世
おそらく特効薬も望み薄で
ワクチンの完成が演奏会再開の切り札になるか
というところですが、
本質的に「三密」が避けられそうにない
ポスト・コロナの演奏会場には、
しばらくは、何とも言えない不安な空気が立ち込めるような気もして
かなり先行きが心配です。。。

ここ最近、リュート絡みのアルバム3枚をよく聞いています。
今日はそのご紹介です。

まず最初はショーン・シベ(ギター)の最新作
J.S.バッハ作品集です。

1992年、イギリス人〔父親〕と日本人〔母親〕の間に
エディンバラで生まれたショーン・シベの三作目にあたる今作は
『リュート組曲ホ短調(第1番)』
『パルティータ ハ短調(リュート組曲第2番)』
『前奏曲、フーガとアレグロ 変ホ長調』を
独奏しています。
響きに独特な深さがあり、
どんな場所だったのだろうと思い、調べてみると
彼の地元スコットランド、エディンバラの南にある
ミドロシアンという町の、
クライトン・カレッジ教会(Crichton Collegiate Church)
というところでした。

レンガ造りのわりとこじんまりしたお堂のような建物で
15世紀中ごろの創建、過去幾たびかの修復を施しているようです。
ちょうどギター独奏の響きにはふさわしい空間なのかもしれません。

このアルバムのサブタイトルである
「リュートもしくはチェンバロで(pour la luth o cembal)」は
『前奏曲、フーガとアレグロ 変ホ長調』の手稿譜に
書かれていた言葉なのだそうですが、
あえてギターというリュートやチェンバロより
親しみやすい(やや通俗的な)音色の楽器で弾かれる意味を
感じさせてくれる音になっている気がします。
温もりを感じる部分も、荒々しい部分も
よりわかりやすく私たちに寄り添ってくれる音とでも
言ったらよいでしょうか。

続いて2作目はトーマス・ダンフォード(リュート)の
J.S.バッハ リュート編曲による作品集(2018年)です。

収録曲は
『無伴奏チェロ組曲第1番ト長調(ダンフォード編)』
『リュート組曲ト短調』
『無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調
~第5曲「シャコンヌ」(ダンフォード編)』で
いずれもアーチリュート(大きいリュートの意。
テオルボに代わる通奏低音楽器)による独奏です。

「Thomas Dunford / Bach op luit (20.01.2017)」
https://www.youtube.com/watch?v=XKIHIX8R870

このアーチリュート、けっこうギターっぽい音域と音色です。
つまり低い音域も出ているし、やわらかい音色のように感じます。
クレモナのジュゼッペ・トゥミアーティによる1995年製のものを
弾いています。
録音はアルファレーベルっぽいというべきか、
よりストレスのない、ミストのようなエコーがかかっていて
やはり幽玄で優雅です。

加えてダンフォードの技量もかなりのもので
「シャコンヌ」をリュートでこんなに活き活きと演奏されたのを
初めて聞きましたし、
さすがリュート界のエリック・クラプトン(笑)といわれるだけあって
そのスローハンドぶりも見事です!

そして3作目は届いたばかりの
ジャン・ロンドー&トーマス・ダンフォードの
『バリケード~ルイ14&15世時代のヴェルサイユの音楽』です。

これはかなりのおすすめであります!
ロンドーのチェンバロとダンフォードのアーチリュートが
よく絡むこと、絡むこと。。。
二重らせんなんて言葉をちょっと思い起こしてしまいました。
「私たち二人とも、幼児期の揺りかごからこういった音楽で育ちました」
っていう言葉は掛け値なしなのかもしれません。
このアルバムの紹介文の最後に
「空想のヴェルサイユの音楽会が
目の前で開かれているように感じられることでしょう」
とあるのに、妙に納得させられてしまいました。。。
時空を超えた演奏会を聞いているような感覚に
迷い込んでしまいそうになる危うさが
このアルバムの最大の魅力と言ってもよいからです。

それにしても、この二人の爛熟ぶりは
目を見張るものがあります。
コロナ禍が生み出した新しい波なのか
あだ花なのか判然とはしませんが
これくらいの音が聞けたのなら
いや~これをライヴで聞いたらどんなにすごいだろう。。。
とは、もう言わないでおこうかな~
なんて思っている私でした。

ちょっと演奏の模様もご紹介
「Jean Rondeau & Thomas Dunford record ‘Jupiter’ by Antoine Forqueray」
https://www.youtube.com/watch?v=ttFCbprwtQY

余談ですが
「三密」って元々仏教の言葉にあったのですね。
さきほど検索したら、真言宗では
「身密」「口密」「意密」の3つをあわせて
「三密」と呼ぶのだそうで
「からだの状態や行動、言葉を正しく整えれば、自ずと心も整えられる。
三つのバランスを大事に、三密を研ぎ澄ます修行を重ねることで、
仏様のように心穏やかに過ごせるという教えです」
『新型コロナウイルスに向き合う仏教の「三密」』
https://mytera.jp/paper/sanmitsu/
ちょっと勉強になりました。。。

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