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Small-L入力電源のSmall-Lには何を使えばいいのかな?

日記・雑記
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音質向上のネタ。Small-L入力電源
その提唱者は そんぴさん です。
説明は↓のリンクから。

一つの悩みとして、音が良い感じの Small-L (以降はチョークとします)が高価だという事でした。もっと安くて欲を言えば小型のチョークがあればいいなと。で、秋月電子さんから幾つか取り寄せたのですがイマイチなんですよね。インダクタンスはちゃんとしているのに、Small-L入力電源の魅力が全く感じられない。


図:Thomann S-75MK2に装着した470μH (悪く無いけど良くも無い)

いったい、これはどした事か?このチョークから流れる電流を測定して原因の手掛かりを得ようとしました。
結果、安価なL には 期待できない という身も蓋も結論に・・・。
本日の日記はその記録です。

余談ですが、近年では 電源の整流ダイオードから
電源のバルクコンデンサーに直接充電するタイプのものを
コンデンサーインプット電源と呼んでいます。
これは電源の50/60Hzの波形の頭の部分だけを食べるのでコンセントの電源波形の頭が平らになっているのはソレが原因だといわれています。

一方で、真空管アンプでよくみられるように
整流とバルクコンデンサーの間にチョークを挟むものを
チョークインプット電源と呼んでいます。π型にしているものでもチョークインプット電源と呼んでいます。あくまで近年ではです。

図:Technics

リファレンスクラス R1 Series ステレオパワーアンプ SE-R1

大きなチョークが、正側と負側それぞれに配置されています。

基本的に、チョークはA級アンプのように消費電流がいつも同じものに対して向いています。チョークは車のフライホイールのように常に一定の電流を流そうとするからです。(例えば、急に電流を堰き止めると大きな電圧を生じさせます)
ですので一般にAB級アンプにチョークが使われることは殆どありません。AB級の消費電流はほぼ音楽の音量の大小に拠るからです。変動する消費電流にはチョークはあまり向かない。あくまで一般論。
先のTechnics SE-R1はどうなんだ!? と怒られそうですが、これはチョークインプットの手前にコンデンサーがあるπ型フィルターのような構成なので古典的なチョークインプット電源の常識外です。
※厳しい見方をすればコンデンサーインプット


図:Panasonic Industry トップページ -> 回路設計の最適解 -> 技術情報  -> LCフィルタの基礎知識 -> LCフィルタの種類とローパスフィルタにおける部品選定事例 より

上図で、図の左側にコンセントと整流ダイオードがあって、右側に負荷(アンプ本体)がある場合を考えると上段は「チョークインプット電源」下段は「π型フィルター」です。下段はTechnics SE-R1のそれです。Small-L入力電源は上段の方を指します。

そろそろ余談から本題に戻ります。
冒頭で Thomann S-75MK2 に装着したのは下の写真の左下の 470μHでした。

図:いろいろ集めたチョークたち

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①Digi-Key品番[HM1555-ND] Hammond Manufacturing 159ZJ 10mH 5A
¥4,914 ★ガチのチョーク!!,A級アンプに★

②RS品番[104-8445]RS PRO 470 μH ±15% Power Inductor, 3A
¥776(税込み)

③番外編 Vitroperm 500F
だいたい¥3,000?

④RS品番[308-8744]Wurth Elektronik トロイダルコア, 860 μH, 3A, リード線, 7447075
¥922(税込み)★一番のお気に入り:レギュラー選手★

⑤秋月通販コード[P-13382]トロイダルコイル 470μH2.5A
¥70(税込み)

⑥番外編 0.22Ω抵抗 薄ピンク色

⑦番外編 3.3Ω抵抗 水色

⑧ジャンパー線 錫メッキ

⑨秋月通販コード[P-06692]トロイダルコイル 150μH9A

¥130(税込み)
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いままでで、気に入っているのは ④の WurthElektronik 860μHでした。

↓ 調査環境(トランスは100V→20Vの400VA大型トロイダルトランス,負荷の電球は100W 100Vのフィラメント型)

先ずは、リファレンスとしてチョーク無し。
④ジャンパー線(錫メッキ線)

次に、お気に入り。
④RS品番[308-8744]Wurth Elektronik トロイダルコア, 860 μH, 3A, リード線, 7447075

充電が緩やかになって、ダイオードが導通している時間が長い(充電時間が長い)ですね。山の高さも1マスほど下がっています。音も良さそうで、実聴とも一致している気がします。

奮わなかった470μH。
⑤秋月通販コード[P-13382]トロイダルコイル 470μH2.5A

充電が緩やかになっていますが、ピークの電圧(山の高さ)は抑えられていません。

番外編で Vitroperm 500F。本来こういう使い方はNGですが敢えて。

ピークの山が普通よりも大きく。電流量が逆に増加して短時間で充電を終わらせています。特に「垂直」に近い電流の立ち上がりはノイズの元。逆にノイズ源になってしまいそうです。(まるで、デジタル回路の矩形波が鈍った波形に見えますね。)絶対にNG!!

番外編で0.22Ωの抵抗。

番外編で3.3Ωの抵抗。

A級ではないので普通は使わないけれど、専用設計のチョークコイル。※臨界に達していません
①Digi-Key品番[HM1555-ND] Hammond Manufacturing 159ZJ 10mH 5A

専用設計だけあって凄いです。電流変化が少ない。ピークが激しく抑えられています。3.3Ωの抵抗以上です。

次に、大きいのでアンプに収めきらず使っていなかった470μH。秋月の小さな470μHとは違いが出るでしょうか?
②RS品番[104-8445]RS PRO 470 μH ±15% Power Inductor, 3A

山が抑えられてWurth Elektronik と同等の健闘です。アンプ側にスペースの余裕があれば使えそうです。

次です。
⑨秋月通販コード[P-06692]トロイダルコイル 150μH9A

うーん。何もいいところが無いです。ダイオードの通電時間が少し増えたくらいで、ピークの山の高さは変わらず。これって、もしかして1サイクルあたりの充電量が減っていてパワー的に逆効果になっているかも???

<まとめ>
やっぱり?④の Wurth Elektronik が良い仕事していた。アンプに組み込みやすい大きさとその効きの優秀さ。
秋月の470μHとRS PROの470μHを比較して分かるように、ヘンリー数はまったく当てにならない。
購入の際にはカタログをみて「チョーク用途」に設計されたものか確認するのが良い。コイルなら何でも良い訳ではない。↓は④のWurth Elektronik の謳い文句。

<所感>
コアは鉄粉が良いらしい。Vitropermの500Fはコモンモード用?なので?ノーマルの大電流平滑には向いていないのかな。
持った感じで、軽いコアは駄目っぽい。
何故か安いチョークは軽い傾向がありそうで、やっぱり下の製品のようにそれなりにズッシリ感がありそうで立派な?チョークが良さそうです。

今回の波形を観て、抵抗器でもイケるんじゃね? と、
思った人も居ると思います。実際、物資に乏しい戦後は
チョークの代わりに抵抗器を使ったといいます・・・。
抵抗値が低い方が音が良さそうな?先入観がありますが、そうとも限らないこともありそうです。有名な話?で、マッキンのMC275などのアンプにはNTCという名の・・・抵抗が直列に挿入されています。(これを手抜き設計だと言って、遅延リレーで短絡して抵抗を無くす人もいますが。)(NTCは冷えていると大きな抵抗、電気が流れて熱くなると抵抗が小さくなるデバイス。小さくなるけどゼロにはならないです。)
NTCのオク(解説あり) → https://aucfree.com/items/l584574180

図:ムラタ製作所「NTCサーミスタとは?」より

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