夏季休暇中に訪問する予定でしたが体調を崩してしまったので、昨日にdonguri邸に行ってきました。混雑していなければ、高速を使って2時間半の場所にあります。
donguri邸に興味を持ったのは、下記の3点からです。
①15年前に「2chに進むか、マルチに行くか」をさんざん悩んだ後に、2chの道を選んだのですが、donguri邸がマルチに進んだ場合のイメージに近かったこと
②Phil-Mコミュでの日記やコメントを拝見していて、オーディオ的にも音楽的にも会話が成立しそうだと思ったこと
③きっとよい音を出しているであろうとイメージ出来たこと
木の内装で作られたお部屋は、暖かみがあり響きがよさそうなイメージがわきますね。随所に設置された音響材もみなお手製で、自分とスタンスが同じなことに好感を持っていました。想像と少し違ったのは、実際に部屋に入った感触が思いのほか「デッド」だったことです。
話をお聞きしたところ、部屋を作ったときは「ライブ」過ぎて、音がまとまらなかったので次々に音響対策を実施して今に至ったとのことです。2年間でここまで手を入れられたとのことですが、自分の目から見ても驚異的なスピードで対策を進められたと思います。デッド気味な仕上がりとなっていますが、マルチチャンネル再生には程よい加減な音響に感じました。音は部屋中に広がり、空間の大きさは充分です。得意な音色やフラッターエコーなどの弊害を感じることもなく、「ここが問題」と思われる点はひとつもありませんでした。
システムは、B&W805D3をリスナー前後に3本づつ計6本を配し、2層より上部は同じB&Wの7シリーズの更に小型のスピーカーが6本配置され、天井から下向きのスピーカーも同じB&Wの7のマルチスピーカーシステムでした。小型とは言え、13本のスピーカーに囲まれるのは壮観です。送り出しはOPPO205で、アンプはアキュフェイズのプリメインとマランツのAVアンプを組み合わせながらスピーカーを駆動されていました。
オーナーを紹介しますと、donguriさんは自分より少し年上な研究者です。物腰やお話も研究者らしさが伺えます。ですが、こだわりのあることへの思いの強さは並ではないですね。それまで、おだやかに話をされていたのが、こだわりのあることに対しては、眼を見開き気迫を込めて話をされますので、後ずさりしてしまうことが何度かありました。
興味津々のdonguri邸でしたし、観光地の混雑を避けて朝6時に自宅を出ました。高速を乗り継いで車で向かいましたので、直行すると8時過ぎには到着してしまいそうなペースです。途中のSAで休息し、朝食を取りながら進みました。中央高速道路を進むと、工事中なので対面交通にしているとのことでしたので、時間調整も合わせて山梨県の途中から下道に降りて向かいしました。別荘地に入ってからもたもたしたので、9時半ごろの到着だったと思います。
到着後は歓談タイムです。コーヒーを飲みながら、これまでのネット上のやり取りの話、Auro-3D友の会の話、フォッサマグナツアーの話などに盛り上がります。とりわけ花が咲いたのが、フォッサマグナツアーの話です。Web上でははばかれる話を沢山聞かせていただき、目を丸くしていました。
歓談後は試聴タイムです。donguriさんはAuro-3D友の会でない人を招くのは初めての様子で、選曲に悩んでおられた様子です。
donguiri:「何をかけましょうか?」「フォッサマグナツアーの課題曲でいかがですか?」
ヒジ:「私は教会音楽に興味はありませんので、donguriさんがいいと思う曲を聴かせてください」
そんなやり取りの後で出てきたのはdonguiriさんがお好きな曲です。
①葵トリオ/ハイドン:ピアノ三重奏曲第27番 CD
このトリオは演奏が上手いと熱弁されてからの試聴スタートでした。
2chのCDですが、最初はAuro-Maticでの再生でした。13本のスピーカーからの音出しになります。ピアノとヴァイオリン、チェロの三重奏曲の音は悪くないと思いました。気になったのは、ピアノの位置はわかるがヴァイオリン、チェロがどこにいるのかよくわからない点です。
そんな感想を述べると、「ではこちらを聴いてください」と言われて、2chのステレオ再生にされました。2chにするとピアノとヴァイオリン、チェロの位置がよくわかり、音もクリアになったように感じました。
そんな感想を告げると、「小編成の室内楽は2chの方がいいんですよね」そんな話をされます。
次に出てきたのは、超大編成のベルリオーズのレクイエムでした。「この曲は第2楽章の13分を通しでお聴きいただきます」かなりのこだわりをお持ちなのがわかります。
② LSO&サー・コリン・デイヴィス ベルリオーズ/レクイエム 5.1chSACD
donguri:「レクイエムはお聴きになられますか?」
ヒジ:「聴きます。モーツァルトとヴェルディのレクイエムです」
donguri:「ヴェルディのレクイエムもバンダがあり、4方向からトランペットを奏でるのですが、ベルリオーズが最初にやったことです。ヴェルディは真似をしたんですね」「この録音は教会で録られたもので、響きがとても豊なんです」と言われて、Auro-Maticで再生スタートをスタートされました。
臨場感豊かで、演奏の大きさも、低音の押し出しも、小型スピーカーとは思えないようなサウンドでした。
ヒジ:「よいサウンドだと思いました。ですが、こだわりのトランペットがどこで鳴っているのかよくわかりませんでした」
すると、やや顔色を変えた面持ちで、「ではこれを聴いてください」と5.1chのサラウンド再生がされます。
ヒジ:「これならトランペットの位置がよくわかりますし、作曲の意図も感じますね」「臨場感も豊かです」
このコメントにはオーナーも笑顔でした。
donguri:「やはりネイティブな再生でないとダメですね」「試しに2chでも聴いてみましょう」
こちらは、臨場感も大きく減退します。そして、当たり前ですが4方向に配置されたトランペットの音は前からしか聞えず、生の雰囲気を味わうことは叶いませんでした。
次回に続く
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ヒジヤンさん
昨日は拙宅にお越しいただきありがとうございました。
再生音楽に関する様々な考察と経験についてお聞きできたことで、
donguriにとって貴重な学習の機会となりました。と同時にヒジヤンさんのオーディオ道追求の熱意に圧倒されていた一日でした。
ベルリオーズのレクイエムの再生に関しては、1年くらい前の部屋で聞いた時は、オーロマティックを使った方が良いと感じていたのですが、昨日久しぶりに比較してみたら、印象が変わって、ネイティブ5.1チャンネル再生で十分広がり感がありつつ、定位も良いという事で評価が変わってしまい、驚きました。部屋の音響の変化で変わるのですね。
2chやマルチチャンネルをストレート再生するのが良いのか、それらのオーロマティック再生が良いのか、ソフトによって異なるのだということが明確になったのも昨日の収穫と思っております。
長時間にわたったオフ会でしたが、冒頭部分について詳細かつ正確に訪問記にしていただき参考になりました。引き続きよろしくお願いいたします。
donguriさん、昨日は大変お世話になりました。
今考えても、2年間で追い込まれたサウンドとは思えませんでした。きっと、学生時代の音楽活動の経験や、これまでにやってきたオーディオ活動が活きているんでしょうね。自分の中の常識では、「新しい部屋とシステムなら最低でも5年はかかると言う常識」が覆された思いです。
ですが、ベルリオーズ/レクイエムの話、「1年前にはAuro-Maticがよいと感じたものが、今ではネイティブなサラウンドがよくなっていた」ことは、自分も勉強になりました。
構成など考えずにドキュメント形式で書きはじめて、一つが長くなりすぎないように切りましたので、この先どうなるのかは自分にもわかりませんが、記録しておきたいことは沢山あります。
流儀の異なる交流もいいものですね。