記録ずくめの猛暑も漸く治まって、夜は秋の涼しさを感じるようになった9月11日土曜日のミューザ川崎シンフォニーホール。
日の入りも早まって夕闇の中にホールが浮かび上がっている。
今日は今年33回目のコンサート。
先週に続いてアマチュア合唱団、東京ムジーククライスの第4回定期演奏会に出かけた。
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この団体は2006年に設立された合唱団で、バッハを中心としたバロックをはじめ古典派からロマン派の宗教曲を演奏している。
いわば、バッハ・コレギウム・ジャパン合唱のアマチュア版といったころだろうか。
Webサイトによると、musik-kreis(ドイツ語で「音楽の輪」)という団体名には、クラシック音楽、合唱の素晴らしさを、演奏を通して聴衆や演奏者と共感したい、受け継いでゆきたいという願いが込められているそうだ。
その縁から指揮者にもバッハ・コレギウム・ジャパンの指揮もされている渡辺祐介氏を迎え、併設のプロオーケストラと共に演奏活動を行っている。
本日の演奏会の指揮は渡辺祐介氏。
独唱陣は、ソプラノに松井亜希、アルト(カウンターテナー)に上杉清仁、テノールに藤井雄介、バスに与那城敬を迎え、合唱は東京ムジーククライスという布陣である。
(出演者のプロフィール)
演奏曲目は、最初にモーツァルト作曲:アダージョとフーガ ハ短調 K.546
2曲目は、この演奏会のために鈴木優人氏に委嘱され世界初演される「深き淵より」
休憩を挟んでメインは、モーツァルト作曲:レクイエム ニ短調 K.626(ロバート・D・レヴィン補筆完成版)というもの。
先週のレガーテ合唱団の演奏会で、声楽とりわけ合唱の素晴らしさに目覚めたわけで、管弦楽がメインでなく合唱がメインのこのようなプログラムも聞きにいこうという気持ちになったところで、タイミングよく見つけたこのコンサート。
ミューザの響きでどのような演奏になるか楽しみだった。
アダージョとフーガは、弦楽合奏で演奏された。
右手から2ndVn、続いてVa、Vc、Db、1stVnと並ぶ5-4-4-3-2の編成で、若手ながらプロの演奏家で編成されていて、荘厳な響きを聴かせてくれた。
2曲目はアカペラ混成4部合唱の曲で、今日が初演という。
旧約聖書詩篇第130編の本文に曲が付けられたもので、現代版グレゴリオ聖歌のようにミサで歌われる宗教曲の性格を持つ素晴しい曲。
ミューザのホール一杯に広がる荘厳なハーモニーが素晴しく、観客も盛大な拍手で祝福していた。
メインのレクイエムは、演奏機会の多いジュスマイヤー版ではなく、ロバート・D・レヴィン補筆完全版という比較的新しいものであったが、ソリスト、合唱団、管弦楽団が一体となったレクイエムの演奏を聴いていると、全身に鳥肌が立つほど神々しい気持ちになった。
4人のソリストは皆それぞれが素晴しく、アンサンブルも綺麗にまとまって、合唱団もよく訓練されたと判る自在な演奏でホールを満たしていた。
演奏が終わると割れんばかりの拍手が暫し鳴り止まぬほど。
合唱主体の演奏会もいいなと思える素晴しい演奏会だった。
さて、モーツァルトのレクイエムで小生が愛聴している1枚に、カール・リヒター指揮でミュンヘン・バッハ管弦楽団・合唱団が1960年に録音したテレフンケンレーベルのリマスターCDがある。
他には、トン・コープマン指揮でアムステルダム・バロック管弦楽団が1989年に録音したライブ盤があり、これはピリオド楽器による演奏である。
将来、小生もこのレクイエムで送られたいものだ。
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