ウィーン旅行の中で、歌声を4回のコンサートで聴きました。一つはオーディオ再生のために、もう一つは自分が歌うことへの参考にしたかったからです。
7th Wienでの歌声コンサート体験
④3/5 コンツェルトハウス大ホール クリスチャン・ゲルハーハー
①国立歌劇場 スタジオコンサートから
最前列のセンターで聴いた
・音量は十分
・響きは感じにくい
・ダイレクト感は感じにくい
最前列で聴いたので、響きが感じにくいのは当然としても、ダイレクト感が感じにくかったことに疑問を感じました。翌日の同ホールでのコンサートでは、全く同じ環境でしたがダイレクト感を感じました。この差が何であるかが問題です。
歌声は、若手とはいえウィーンでソリストを目指す人のレベルは高く、歌曲やオペラアリアを堪能しました。ピアニストも若手ですが上手かったです。ですが、翌日の国立歌劇場のコレペティの伴奏を聴いたら、目が飛び出るほど上手くてこの日のピアノ伴奏は霞んでしまいました。歌声も、ソリスト候補よりもアンサンブルメンバーの方が響いてきましたが、やはりソリスト候補は歌う姿に華があると感じました。
②国立歌劇場 アンサンブルコンサートから
6列目のセンターで聴いた
・音量は十分
・実音と響きのバランスよい
・ダイレクト感も感じた
6列目で聴きましたが、最前列で聴いた前日と比べても「音量は変わらず」「ダイレクト感が増した」。さらに、歌声が響いてきて、大満足なコンサートでした。問題は、最前列と比較して、音量感が変わらずに、ダイレクト感が増したことです。物理的なデータで言えば、最前列の方が音量は高いはずです。しかしながら、6列目の方がダイレクト感が高かったのは、「会場の響き(1/20秒以内の反射音)が、直接音を補強している」と考えると説明がつきます。音楽大学で教えている理屈と同じである確認が取れました。
歌声に感銘を受けたのも、優れた音響が補強していたことは間違えないと考えられます。当日に、「アンナ・ネトレプコ張り」と感じたのは歌唱力と優れた音響のなせる業だったと思いました。ピアノ伴奏が冴えていたことも要因の一つと考えられます。音も音楽もバランス次第、特に音楽の感じ方は、足し算、もしくは掛け算で効いてくるような感覚を受けました。歌うことの技量がない自分でも、よい音響のホールと、うまいピアニストがいれば他人様に聴いていただけるように歌えるかもしれないです(笑)
③コンツェルトハウス小ホール マルタ・マチェコの歌唱から
最前列(しかも至近距離)センターで聴いた
・至近距離だがうるさくは感じなかった
・実音主体で響きは感じにくかった
・思ったほどのダイレクト感はなかった
近くで聴くから、音量感やダイレクト感が高いかと言えば、そうではなかったです。音量感やダイレクト感は、実音と響き(1/20秒以内の反射音)を共に感じることで得られると思いました。
歌声は、「マーラーの少年の魔法の角笛」や「シューマンとシュトラウスの歌曲」を聴いたのですが、約3mの距離で聴いても、音色が変わらず、音域が上がってもうるさく感じないのはさすがと感じました。もう少し距離を取り、響き(1/20秒以内の反射音)の補強が加わったなら、かなりのレベルを感じたと思います。
④コンツェルトハウス大ホール クリスチャン・ゲルハーハーの歌唱から
1階席ステージ真横の横向き席で聴いた
・音量が小さかった
・実音は反射音主体で、響きも感じにくい
・ダイレクト感が不足した
歌声を真横の離れた位置から聴くのはさすがに厳しいと感じました。歌声が響いてこなかったので、眠くなってしまいました。単一指向性の歌唱を聴くのは、慎重なる位置選びが必要と感じた次第です。
歌声を聴くには、聴く位置で大きな変化があると思いました。近い位置から聴いても「音量感」や「ダイレクト感」が得られるわけではなく、実音と響き(1/20秒以内の反射音)のバランスの取れた位置を選ぶことが肝要に思えます。歌声が放射される方向で、適度な反射音が得られる位置が狙いとなります。実音と響きのバランスは深みのあるキーワードだと思いました。生演奏での仮説は下記です。オーディオ・サウンドへの置き換えは今後の課題となります。
仮説:音量感とダイレクト感は、直接音と1/20秒以内の反射音が決め、音の質感は響きが決める
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