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ケチケチな天国と地獄のウィーン4(ムジークフェライン小ホールの音)

日記・雑記
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ベートーヴェンの聖地であるハイリゲンシュタットを巡った後にホテルで休憩してから、今回の初コンサートを聴きにムジークフェラインに向かいました。ピアノ トリオであるアルテンべルク・トリオを小ホールで聴くためです。このコンサートでは、激安席の聞こえ方を確認する狙いもありました。

夜の7時ごろですが、ウィーンの日は長いですね。まだ青空が見えますが、手前の建物の陰が建物にかかっているので日が沈む手前であることがわかります。

 

激安席とはいかなるものか・・・ステージの真上にあり、客席の後方しか見えない席です。

なぜこの席に興味を持ったのかですが、以前にこのホールで聴いた時に、この席で聴いていたカップルが楽しそうに見えたことと、世界一の小ホール音響との評判であり、有名な大ホールよりもいい音響との話を聞いて、もしかしてこんな位置で聴いても「いい音で聴けるのかも?」と思いましたので、確認したくなったのです。いの一番にホールに入り、写真を撮っていました。

 

4月29日 ムジークフェライン小ホール アルテンべルク・トリオ公演

<演奏曲>

・ハイドン / ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重奏曲

・レラ・アウエルバッハ / ピアノ三重奏曲 第2番

・ショスタコーヴィチ / ピアノ三重奏曲 第1番

・リスト / ハンガリー狂詩曲第9番

 

演奏はハイドンからです。初めて聴く曲でしたが、音が鳴り始めた瞬間からウーンとため息が出てしまいました。まるで2Wayスピーカーのツイーターのレベルを基準から4dBほど絞ったような音が聞こえて来たからです。「やはり、9ユーロの激安席はだめだったか・・・」というため息です。生演奏もオーディオも同じですね。あてにしていたことが外れるとため息が出てしまいます。見えないし、音も悪いし失敗したと・・・<ガックリ5>

 

こんなこともあるさ、と思いながら聴き進んでいくと現代曲のレラ・アウエルバッハのピアノ三重奏曲となりました。音もさることながら、理解できない音楽にため息が出ます。あたりを見渡すと、ウィーンの人たちも同様で、顔をゆがめながら聴く様に思わず笑みがわきます。しかしながら、次のショスタコーヴィチはよかったです。音がもう一つなのは同じですが、ウキウキ感がわいて来ました。聴きなれた曲だったこともあってか、アルテンべルク・トリオの演奏力の高さはさすがです。

 

リストは聞き流した後で終演となりましたので、さすがに拍手は演奏者の姿を見ながらしたいと思い、ステージのサイドまで進みアンコールを聴きました。この位置の音がいいことは確認済みでしたので、うっとり聴いていたのですが、さらに欲が出て、後方の音はどうだろうと思い移動して聴いてビックリしました。音がいいのです。大ホールでは、2階席の後方で聴くと音がボケてしまい、自分の好みからは外れると感じていました。ですが、この定員440名の小ホールでは、2階席の後方の音が一番いいかもしれないと感じたからです。アルテンべルク・トリオにはおしみのないない拍手を贈りました。

 

この結果から、ムジークフェライン小ホールは、2階席の後方の音がいいという新たな認識が生まれました。ちょうど翌日の夜は、同じホールの2階席の後方の激安席を選択していましたので、タイミングよく検証が出来ます。

 

ということで、この日記は翌日の夜にワープします。昨夜と同じムジークフェラインの小ホールの2階席ですが、ステージ真上から変わり、二階席の後方で聴くことにしていました。前日と同じ9ユーロの激安席です。ホールに入ると、前日のステージ真上にある2階席とホール後方にある2階席は対称形で作られていることがわかります。座った席も対称の位置となります。

見え方もほぼ同じです。激安席ですから、座った状態ではどちらもステージは全く見えません。

 

翌日のコンサートは、小編成オーケストラの公演でした。

4月30日 ムジークフェライン小ホール ウィーンコンサート協会公演

<演奏曲>

・ハイドン 交響曲第60番

・アンナ・クライン / 音と怒り

・シベリウス / ユーモレスク

・ハンナ・アイゼンドル新作(世界初演)

 

こちらも演奏はハイドンからです。前日に「2階席後方は音がいい」と感じていたので、演奏が始まるのを胸をたからせながら待っていました。

ところが、演奏が始まると肩透かしです。音がボケて聞こえるではないですか。おかしい、おかしいと思いながら聴いていたのですが、聴き進んでも変化は感じません。演奏する様子が見えないのは昨日と同じです。帯域バランスは、高域減衰を感じるものの自然に聞こえました。音量的な不満はありません。なにの何故?と頭の中を駆け巡りました。演奏者が見えないから?と思い、立ち上がって聴いてもほとんど変わりません。そうした中で、自分を納得させたのが、二つの事項でした。一つは、昨日はピアノ トリオでステージ前側の上にある席が被らない位置で演奏していたが、今日は編成が大きく上が被ってしまうパートがあること。もう一つは、この日の編成から、一人一人の演奏が揃っていないため音がボケて聞こえるということです。ウィーンコンサート協会とは、もしかすると指揮者が募ったウィーンのアマチュア集団だったのかもしれません。<ガックリ6>

音の良し悪しは、演奏の良し悪しと直結するので難しいです。どちらも9ユーロでしたが、昨日のアルテンベルク・トリオの実力の高さが伺われます。

 

音がもう一つだった理由に納得して、気持ちがすっりきとした後は小編成オーケストラの演奏を楽しんでいました。アンナ・クラインの音と怒りでは、現代曲ながら面白い曲だなと感じます。管楽器の鳴らし方、リズムの取り方がクラシック音楽とは一線を画していました。ジャズやポップスの要素を取り入れた感覚ですね。シベリウスのユーモレスクでは、小気味よい演奏を楽しみます。ラストの曲は、指揮をやっているハンナ・アイゼンドルの新作発表でしたが、この曲は目が白黒しました。まったく理解が出来ないからです。周囲の顔色も同様でしたので、現代音楽の新作は難しいですね。アンコールではわかり易い曲が演奏され盛り上がっていました

終演時には、指揮と作曲を実施したハンナ・アイゼンドルさんはご満悦の様子です。

 

 

 

2日連続で聴いた、ムジークフェライン小ホールの激安席でしたが、ホール音響を探究する観点からはとても有意義だったと思います。激安席で聴く楽しみを狙うなら、「2階席後方がいい」、激安席はステージが見えないので、観る楽しみはないに等しいが、ひと席だけは「聴く楽しみと観る楽しみを味わうことが可能」なことを発見しました。後方の人の視界の妨げにならずに立って聴くことが出来るからです。この位置の音がいいことは前日のアルテンベルク・トリオの時に確認済です。生涯この席で聴くことはないかもしれませんが、頭の中だけで考えていては絶対にわからないことを、ウィーンに足を運んだからわかった!との思いがわいてくる満足感ですね。これだから冒険の旅は止められません。<ホクホク5>

ちなみにですが、ステージ真上の激安席は座る人はほとんどなく、恋人同士が音楽をバックにささやき合う場合に限って最適だと言うこともわかりました(笑)

 

ムジークフェラインの見え方も時間によって七変化するは、現地に行くから味わえる楽しめるひとつかもしれません。

 

 

ここまで ホクホク:5 ガックリ:6

コメント ※編集/削除は管理者のみ

  1. 激安席の定義が出来ていませんでしたので、実際の座席表を載せておきます。
    <定義>
    ・座った状態でステージが見えない席:灰色部の最安席
    ・座った状態でステージが見にくい席又は前に柱がある席:山吹色の二番目に安い席

    添付した画像は、6月15日(日)のフィルハーモニア・シュランメルンの公演の現時点の空席情報です。
    ・最高席(63ユーロ)の売れ行きが一番多い
    ・2階席後方の激安席はそこそこ売れている
    ・ステージ上の激安席はほとんど売れていない
    ・この売れ行き状況から見て、たぶんセミプロ集団に思えた
    ・最高席の売れ行きがいいのは、知り合いへの配布ではないかと推測しました

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