博士の異常な愛情

日記・雑記
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1964年公開、スタンリークーブリック監督の作品。

Criterion Blu-Ray
の画質はやはり素晴らしい。
[:image1:]
原題は長い。
Dr. Strangelove, or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb
邦題は「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」
後半部分は直訳だけど、Dr. Strangeloveを博士の異常な愛情っていうのはすごい訳だな。
Strangeloveっていう名前の博士なんだけど。 これがナチ時代にヒットラーに仕えた博士で戦後アメリカに帰化するときに名前Merkwurdig Liebeを英語に直訳したらこうなったという。

公開が1964年、核戦争の恐怖を描いた映画ではあるが、コメディで描いている。
当時は冷戦真っただ中で本当に人々は核戦争勃発の恐怖を持っていたのでそれを真っ正直にまじめに描くよりもコメディにしたほうが良いとクーブリック監督が判断したんだそうな。

ピーターセラーズは一人で3役をこなしている。 どの役もとても良いのだが、特にDr. Strangeloveの演技はぶっ飛んでいる。
あんまりぶっ飛びすぎて後ろで観ているロシア(ソ連)大使役の人が笑いをこらえられず吹き出しそうになっている様子が映像に映る。 もちろん笑わないようにすぐに仏頂面にもどるが。

本来はB52機長コング少佐の役もピーターセラーズが演じる予定だったが足を骨折したために断念。 Dr. Strangeloveが車いすで登場するのはそのためなのかな。
もし彼が演じていたら、あのこてっこてのテキサス訛りでどうしゃべったんだろう。
もちろん代わりに演じたSlim Pickensもよかったけど。

Slim Pickensのあの訛りは演技ではなく素のままなのだそうだ。 現場に現れた時テンガロンハットをかぶって映画の時のまんまの訛りで喋りまくったから周りがすごい役作りしてると勘違いしたが、単にいつもの調子でしゃべってただけだったという逸話があるくらいだ。

精神がいかれて核攻撃命令を出す司令官の名前がジャックリッパーっていうのが良いね。 言わずと知れた19世紀末のロンドンに現れた切り裂きジャックと呼ばれた連続殺人犯の名前と同じ。

人が生きるのに必要な液体の純度を守るとか意味不明な理由で攻撃命令を勝手に下すのだが彼がこの考えに至った理由というのがまた異常。 ある晩に女性とことに及んで放出した後にどうしようもない虚無感に襲われた。 それ以降女性と接しても自分のエッセンスを与えることを拒否するようになった。 なんのこっちゃ。 放出した後の虚無感っていうのは、まあ男ならわかるけどねあの感覚。

タージソン将軍を演じたジョージCスコットもかなり飛ばした演技で良い。

隠しカメラで室内を撮影しようとしたロシア大使をタージソン将軍が止めようとして争ったときにピーターセラーズ演じる大統領が二人を止めに入って言う言葉が有名だ。

‘Gentlemen. You can’t fight in here. This is the War Room!’

矛盾していることをくそまじめに言っている。 皮肉が聞いたセリフ。
Youtubeで観られる。 https://www.youtube.com/watch?v=UAeqVGP-GPM

映画のセット、War Room(作戦指令室)のミニアチュアセット
[:image2:]
短いながらも戦闘シーンがあるのだが、これがすごい。 何ともリアル。 まるで戦場カメラマンが撮った映像を見ているみたい。 雰囲気を出すために画面を揺らしたりむやみに動かしたりなどは一切していないのだが、実に臨場感あふれた映像。
これがのちのフルメタルジャケットの映像につながっていくんだなーと感心する。

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