前回までの日記で、一通りのセッティングが出来ました。
「出来た!」と思っても聴き進めていくと色々と不満が出てきます。主な不満は以下の3点。
- 中低域をもう少し厚くしたい
- 音場は広く深いが音像をもう少し前に出したい
- TW3(ウーファー)領域の特性が左右で不均衡
中低域をもう少し厚くしたい
周波数特性を見ると200から300Hz近辺に窪みがあります。
Troubadour 80(以下T80)のクロスオーバー・ユニットはローカットを240、260、300、320Hzから選択可能ですが、これまでは320Hzを使用していました。これを他のカットオフ周波数と聴き比べてみました。
ひさしぶりにユーザーマニュアルに目を通して、スパイク足も同梱されていることを思い出しました。これまではデフォルトの平底の金属足にコルクを貼って使用していましたが、これを付属のスパイクとスパイク受けに変更します。これは結構な違いです。平底コルク足と比較するとスパイク足はハイファイ調の音触です。
何度も聴き比べて、少し低い300Hzのローカット周波数とスパイク足の組み合わせで暫く聴きこむことにしました。
音像をもう少し前に出したい
最初に気になったのは正面に壁掛設置している65インチの液晶テレビの影響です。
T80からは2メートルほど離れていますが、正面の壁の影響は無視できないことは何度も経験しています。このテレビは普段は使用しないもののオペラの鑑賞の際は必須です。
とりあえず布で覆ってみようということで、アマゾンでテレビ用の布カバーを購入しました。
反射の影響が少なくなり見通しが良くなると期待したのですが、音の艶というか勢いが削がれた感じがします。中途半端に覆ったのが良くないのかも?布の裏側にSP内部に使用する粗毛フェルトを貼り付けて再度トライ。
やはりパッとしません。それなりの出費と手間をかけたテレビカバー作戦は諦めました。
色々、聴いていると音源により音像提示に結構な差があります。音源の絶対位相が全て揃っているわけではないので、一部の逆相音源の方が上手く再生出来ているようです。SPの後ろに周ってテレビの前に立って聴く方が自然な音場を提示します。Tambaquiはコントロールアプリで簡単に位相の反転が可能なので、逆相にすると多くの音源で音像が前に出て立体的になりました。
これまでは周波数の下から:
TW5(逆相)+TW3(正相)+T80(逆相)でしたが、全て位相を反転させて、
TW5(正相)+TW3(逆相)+T80(正相)に変更することにしました。
TW3(ウーファー)領域の特性が左右で不均衡
SPの設置に際しては、部屋の中心線、左右の壁、前面の壁からの距離を左右で同一にしています。ただ、左右の条件は全く同じではありません。
部屋を拡張したことで左側が長く深くなっています。おそらくこれが原因で、低域において左右の特性に大きな差が出ていると思われます。
測定値を見るとウーファー領域では左側のレベルが全体的に高いのですが、不思議なことに聴感では右側の方が少し強く感じます。
ここからT80+TW3を前後、左右に少しずつ動かしてフォーカスを追い込みます。
距離を完璧に合わせた状態では、音像は真ん中に定位しますが、響きが右側に引っ張られます。これを響きが整うように調整すると、音像が鮮明になってきます。
現在のベストポジションは、右側SPを少し外側で下げたところで落ち着きました。ここまでで、私のリスニングルームの音としては過去最高のパフォーマンスで鳴っていると思います。
それでもやはり測定値があれだけ異なるのは気になります。年末年始で時間はたっぷりあります。ここまで追い込みましたが、一度リセットすることにしました。
続く
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のびーさん、こんにちは。
素晴らしい追い込みをされていますね。
何も言えることはありません。
もしかすると情報として役に立つかもと思えたのがTVカバーのことです。
1、昨日のtonkatsu邸では、黒色のオーガンジーを使われていました。
2、自分だったら、医療用のガーゼを1枚1枚設置してみて、どのくらいの「反射防止のメリット」と「高域吸音のデメリット」があるか探りを入れる
こんなイメージがわきました。
ヒジヤンさん、こんにちは。
TVカバーは、日記に書いたアマゾンで購入したカバーを被せる前にタオルをかけて様子を見ました。この段階であまり良くなかったのですが、ずっとテレビ面の反射が気になっていたので、やれるだけやってみようと思い、カバー、カバー+粗毛フェルトを試したわけです。
結果的に、一様反射はあまり良くないかもしれませんが吸音よりは遥かに音が生き生きとすることが分かりました。
のびーさん
楽しく苦しまれてますねー笑
これだけ変化可能な項目があるのはやりがいがありますし、自分の好みに追い込めるので楽しいですよね。
私だったらどうするかなーと考えてみました。
①視聴位置が後ろ壁際なのでもっと部屋の中央寄りにする。
②TW5の位置をパワーアンプと入れ替える。
③後ろ壁際全体にオシャレなカーテンをつける。
④水晶箱インシュレーターを使〜う。
こんな感じでしょうか。
今後の追い込み結果も楽しみです!
CENYAさん
最初は「楽しい」が勝っていましたが、段々と「苦しく」なってきました。そろそろまた楽しくなってくると思います(笑)
具体的なご提案ありがとうございます。
>視聴位置が後ろ壁際なのでもっと部屋の中央寄りにする。
実は、これも試しました。その試聴結果が予想に反してあまり芳しくないので、石井さんの本で紹介されていたStndWave2というソフトで簡単にシミュレーションしてみたところ、試聴位置を中央寄りにするともっとピーク・ディップが大きくなることが分かりました。逆に更に後方に下げてSPをもっと前に出した方が良さそうという結果を見て、一度リセットしようと決心した次第です。
>TW5の位置をパワーアンプと入れ替える。
そう考えますよね。実は元々そういう配置でした。それで暫く聴いていたのですが、師匠に写真を見せたところ今の配置の方が良いのではとアドバイスされ、試してみるとその通りだったという経緯があります。
>後ろ壁際全体にオシャレなカーテンをつける。
これは試していませんが考えています。つけるなら天井から1メートルくらいの高さまでの半分サイズでしっかりとした重量級のモノになると思います。ただ、カーテンは非常に高価なので躊躇しています。
>水晶箱インシュレーターを使〜う。
はい、もちろん検討中です。でもこれはもう少し対策が進んだ後にしようと決めています。
まだまだその前にやることが沢山ありますので。
のびーさん、こんにちは。
テレビのその場所は本当にクリティカルですよね。
拙宅もご存じの通りテレビが置いてあるのですが、そこが出窓になっていて壁の面とテレビの面が横から見るとほぼフラットだからか拙宅ではそれほど悪影響がないようです。
気になっている部分なので過去にピラミッドTVカバーや布、シルクなどをTVにかけて試してみましたが、結果はどれもNG。特に吸音系はご法度で、ことごとく情報量が減ってつまらない音になってしまいました。よってTVは長い間無対策です。
それよりもTVの上の奥まった出窓空間の方が最重要ポイントであることが最近判明しました。木製ブラインドで角度を変えると音場形成が見事に変わることからずっと気になっていた場所なのですが、最近アンクを導入したところ一気に音が『攪拌』され柔らかく艶やかになりました。変化レベルがかなりだったので、単なる棒の集合体でここまで変わるのかと衝撃を受けた次第です。
続編を楽しみにしています!
画像つけます!
genmiさん
こんにちは。レスありがとうございます。
テレビの反射や共鳴は気になりますよね。それなりに試して、両SPの真ん中にあるのなら案外悪くないというのが今の私の結論です。genmi邸では正面の壁は二次反射だと思いますが、ウチのSPは後方にも同じ音圧で音が出ているので一次反射となり、壁の影響がより大きく出るはずです。
丸棒もいずれ試したいです。ウチは良くも悪くも設置の自由度があるので、まず大体のポジションを決めてから対策する予定です。
のびーさん こんばんは
やはり 全面放射のSPならではの難しさも あるんでしょうね。
私が 一番 気になるのは リスニングポイントの 背面の反射のバランスですね。
そこを うまく処理できると かなり改善されるのではと思います。
最近 色々 部屋の構造を検討していると 床の強度だけでなく 壁,天井までも
それなりの強度を 要求するとの事で 部屋の構造も 奥が深いなぁと 頭 抱えてます。
経過報告を楽しみにしています。
X1おやじさん
おはようございます。
>私が一番気になるのはリスニングポイントの背面の反射のバランスですね。
さすが鋭いご指摘です。
この日記を書いた後も色々と試しているのですが、左後方を拡張したことで左右が大きく非対称となり、そのことが特性に大きな影響を与えていることが分かりました。
この問題は、壁の強度や表面処理の対策を施しても根本的な解決は難しそうです。
明らかにリスニング・エリアの快適性や機器の操作性は大きく向上したのですが、ルーム・アコースティックに対しては、大きな問題を抱え込みました。
この辺りのことは次回の日記で記します。