ルームアコースティックの不思議(その1)

日記・雑記
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私のリスニングルームは、元々は4.8m x 5.8mの単純な長方形でした。それが、今秋、床の改良工事と合わせてリスナーの左後方を拡張したことで変形となりました。リスニングエリアが大きく快適になり、機器の設置の自由度も増しましたが、部屋の左右非対称性がルームアコースティックに悪影響を及ぼしていることが徐々に分かってきました。

一通りのセッティングを終えた時に測定した周波数特性です。

上がサブウーファーTW5付きで下が無し。TW5の効果で左右がそれなりに揃っているように見えますが、TW5を切った特性に注目します。

200Hz以下で全体的に左側のレベルが高く、特に70Hzから110Hzで左側がかなり盛り上がっています。おそらくルームアコースティックの影響だと思われますが、念のためパワーアンプ、スピーカーをそれぞれ左右入れ替えてみました。測定結果はほぼ同じで、パワーアンプ、スピーカーともに左右の特性が十分に揃っていることが確認出来ました。

 

ここで、頭の体操のためにソフトウエアでルームアコースティックを分析してみることにしました。使用したのはStdWave2という石井式リスニングルームのオフィシャルサイトで紹介されている低域伝送周波数特性をシミュレートするプログラムです。

様々なケースで分析しましたが、測定結果を考慮しつつ、現在、音楽を聴いて最もしっくりくるレイアウトを基準にした結果を示します(距離はT80の中心を基準)。

  • メインSPから後壁まで:200cm (216cm)
  • メインSPから左右壁まで:134cm (134cm)
  • 左右SP間:216cm (216cm)

カッコ内の数字はカルダスメソッドの推奨値です。

このレイアウトでの周波数特性。

ソフトウエア上では簡単にSPや聴取位置を動かせるので色々試すと、周波数特性だけなら、SPを部屋の角に移動させると良く、聴取位置を前に移動すると悪くなります。シミュレーション上は、SPを目いっぱい下げて角に近付け、聴取位置をそれなりに下げたポジションが低域のレベル低下やピーク・ディップが小さい最もフラットな特性になります。ただし聴感はそんなに単純でないのはご承知の通り。

以上のシミュレーションは拡張する前の部屋の形(484cm x 580cm)を前提にしています。

実際は左半分が85cmほど長くなっていますが、StdWave2は四角い部屋にしか適用出来ないので、長辺が長い四角形(484cm x 665cm)でも分析してみます。

周波数特性図を上下(上:580cm、下665cm)に並べてみます。

下の方が山谷が深いのですが、聴取位置が相対的に部屋の真ん中にあることの影響が出ているのかもしれません。ポイントとなる70Hzから110Hzに注目すると5dBほどレベルが高くなっています。

おそらく右チャンネルは長辺が短い方(580cm)、左チャンネルは長い方(665cm)のシミュレーション結果に近いと推察します。

 

リスニング、測定、シミュレーションを何度か繰り返して分かったことをまとめてみます。

1. 低域の特性は、聴感では±6dB程度の山谷は認識しづらい。

2. 特性上の左右のレベル差も、低域では認識しづらい。一方で、中低域のレベル差は認識が容易。即ち、低域(70Hz-110Hz)は測定でもシミュレーションでも左側のレベルが全体的に高いが、聴感では中低域(200-500Hz)のレベルが高い右側の方が強く感じる。

これは100Hz以下の低音は指向性が低く方向感が分かりにくいからだと推察します。したがって低域では、左右のレベル差に拘るより、左右合成時の特性を重視するのが現実的だと思います。

3. 低域拡張のためのサブウーファーは、後方壁に近いポジションが特性上は有利となる。

大体、そんなところだと思いますが、これはあくまでも周波数特性の話です。人の耳は位相差を遥かに敏感に検知します。

あと、聴取位置での測定値はSPから放出された全てのエネルギーを捕捉できていないという感覚を強く持ちました。

 

さて、どうするか?

 

続く

コメント ※編集/削除は管理者のみ

  1. のびーさんへ

    こんばんは

    SPがSP後ろの壁と平行のようですね。この置き方は全域の音がリスナー脇へ回り込んでリスポジに入るように聴こえます。特に低音を豊かにしたい置き方です。ですが、左の距離が長いので左が豊かになっていると思われます。

    低音部だけ軸上正面に向けますと、パワーがあればリスポジへ向けて低音も飛んできます。こうすればタイトな直接音主体になりますから部屋の不釣り合いのマイナス面もかなり解消するのではと思います。
    最近のウーハーは20㎝前後ですのである程度指向性があります。

  2. のびーさんへ

    「ウーハーに指向性がある」、、ピンときませんか。タイムドメインで高音から低音まで全域同じスピードにするには低音で猛烈なパワーが必要です。その猛烈な有様が明らかに指向性を感じるわけです。

    しかし、残念ながら巷の皆さんのアンプ、特にプリアンプがダサすぎて、人間なら梗塞を起こしているようなもので末端までパワーが特に低域に届いていないので指向性が実感しないですね。

    一番重要なのがグランドと電圧です。パッシブプリなんてグランドの意識無いでしょう。プリメインアンプもプリ部はパッシブと変わりませんからパワーアンプの足を引っ張っている。

    それでもソフト業界が頑張っています。指をくわえてみていてはおマンマの食い上げですから電圧不足は出力レベルを上げることで、グランドの悪さはピラミッド型で繕っていますが、完全ではない、そんなところです。

    ですが、僕のプリアンプはまともですから噛み合わなくても来年も発信してゆくつもりです。

    • bb7さん、他人のシステムを見下す発言は容認できません。
      貴殿は自分のシステムを馬鹿にされたら気分を害されませんか?
      コメントを行う際は会員の皆様への敬意を払った投稿をお願いいたします。

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    • bb7さん、

      こんにちは。レスありがとうございます。

      >低音部だけ軸上正面に向けますと、パワーがあればリスポジへ向けて低音も飛んできます。こうすればタイトな直接音主体になりますから部屋の不釣り合いのマイナス面もかなり解消するのではと思います。

      確かに部屋の影響を小さくするという意味で試してみる価値はありそうです。
      ただ、あえて指向性を感じないようにしてきた私のオーディオ観と相容れるかは試してみないと分かりません。

      私のオーディオ再生は、JBL、B&W、German PhysiksというSP遍歴を経て、どんどん無指向性化を進めて来ました。その間、JBLの後期には、SPセッティングも平行法に移行し、SP前面に展開する音場からSP後方まで広がる音場を求めるようになりました。ある意味で両極を経験したわけですが、どちらか一方が絶対的に正しいとは思っていません。実際、German Physicsと日々暮らす中でも時々JBLを鳴らしています。

      それでも優先順位はある訳で、JBLは手放しませんがメインSPの座に座ることはありません。

      bb7さんの主張は、表現が強く排他的なので誤解されることもあります。「グラウンドと電圧、プリアンプが大切」という主張は、絶対とまでは思いませんが概ねその通りだろうと考えますし、私なりに実践してきたつもりです。

      ご自身の考えに同調しない、もしくは受け容れない人が多いことを残念に思われているのだと推察します。私自身も、「German PhysiksのSPは聴いても測っても素晴らしいのに、どうして皆さん導入しないのかな?」と不思議に思うこともあります。

      今はやりの多様性を主張する気は毛頭ありませんが、趣味ですから皆さんとことん自分流で良いのではないでしょうか?

  3. のびーさんへ

    >German PhysiksというSP遍歴を経て、どんどん無指向性化を進めて来ました

    ですが、中高域は指向性が強いです。無指向性というより360度何処に居ても常に自分のために演奏している指向性を感じさせる、広い部屋の所有者が求める贅沢のような気がして、狭小な日本ではなかなかと思います。

    • bb7さん、

      残念ながらこのコメントに関しては理解出来ません。

      ①私は、無指向性と全指向性を同義としました。その上で、bb7さんは、世間一般で使われている「指向性」の定義と異なる意味で使用されておられるようです。別の定義で使用されるなら、その定義を明確にして下さい。異言語ということで会話が成立しません。

      ②8畳程度の部屋で十分魅力的に鳴っているGerman Physiksの音を聴かれたことが無いのではありませんか?聴かれておられないなら、こちらも会話が成立しません。

      極端な理屈でも、多少失礼な言い回しでも気にしませんが、会話が成立しないコメントに関しては以後、返信しません。宜しくお願いします。

  4. のびーさんへ

    飛躍しすぎでしょうか。僕の言いたいのは普通の無指向性SPでは無限大ピントみたいでイマイチのところ、GPだと広い部屋の日の当たるところでも日陰のところでも複数人でもそれぞれジャスピンで聴ける精緻さが売りなのじゃないかと。リスポジを限定しない自由さがあるように感じたのです。コンサートホールでも演奏者の裏側から聴けるところがありますから。

    • のびーさん、実測で納得した上で、対策を練ろうとする計画ですね。
      もうひとつ気になるのが、右側と左側の窓❔ドア?の大きさの違いです。
      ガラスがどのくらいの周波数を反射するか、分かりませんがその辺の対策も有効かと思いますが、以下かでしょうか?

      • あけましておめでとうございます。

        今年も宜しくお願いします。

        >実測で納得した上で、対策を練ろうとする計画ですね。

        まさにその通りです。具体的には:
        ①何を対策するか、何は目をつぶるかを判断する
        ②対策する場合の方向性を決める

        ということの一助にしたいと考えています。

        >右側と左側の窓❔ドア?の...

        右側は庭に面していてドアと窓が、左側は廊下に面していて両開きのドアがあります。どちらも防火基準を満たした二重ガラスが入っていて極めて強固で、Nordostのチェックディスクで調べて共鳴しないことを確認しています。

        右側(庭側)にはもともと薄いレースカーテンがかかっていたのですが、居心地を重視して外してしまいました。両側ともそれなりの反射があると思い、クッション等を配置したこともあります。私の音量では何も置かない方が響きが豊かで良い感じです。

        ということで、現在の「対策リスト」には両サイドは含まれていません。

        色々と妄想はあるので、もう少し整理して実行に移そうと考えています。

      • のびーさん、あけましておめでとうございます!

        右側の50〜100Hzのレベルが最大で10dBほど低くなってますね。
        私の経験からすると部屋の影響でここまで差が出るとは考え難くいのですよね。
        私も過去に同じ様な測定結果が出た時は単純にユニット1つが鳴ってなかったです。
        マルチアンプあるあるです笑

        もしかしたら右側のTW3単体が何かしらの原因でレベルが下がっている、もしくは切れているのではないかと思いました。

        TW3が鳴っていないとしたら、、、逆相のTW5を合成した場合の特性(左に対して若干低音側に山が出来る)も腑に落ちる感じです。

        左右TW3だけで測定してみてはいかがでしょうか?

        今年はのびーさんとお会いしたいです。
        悲しいかなイギリスに行けそうにないので、のびーさんが日本に来れらるときに時間を作って頂けないでしょうか?

        • CENYAさん、あけましておめでとうございます。
          コメントありがとうございます。

          確かにこのレベル差には驚きました。そこで:
          ①マルチアンプを一時的に止めて、MC1.2KWのシングルアンプにする
          ②MC1.2KWを左右で入れ替える
          ③TW3を左右で入れ替える
          の3パターンでも測定しました。結果は誤差の範囲の相違で、SPもパワーアンプも左右の特性が十分に揃っていることが確認出来ました。

          また、TW3単体の特性を測定しようと試みました。試してみて分かったことですが、TrinnovはフルレンジをカバーするSPしか測定出来ません。測定はキャリブレーションの一部なので、ウーファー領域だけを鳴らすと、中高域(Trinnovのプログラムでは3および4)のレベルが低過ぎてキャリブレイト出来ないというメッセージが出て止まってしまいます。これは他の方法でないとダメです。

          10dBのレベル差は非常に大きいのですが、これは軸上特性では無く部屋のアコースティックで、シミュレーションでもこれ以上のレベル差は確認できます。不思議なことは中高域でこんなレベル差があると明確に認知できますが、100Hz以下のレベル差は分かりにくいです。

          次の対策として、拡張した部分の天井からラックの上までしっかりした木製のベネチアン・ブラインドを下げてみることを検討しています。硬いのでカーテンより壁の特性に近く、拡散効果も期待出来て悪くないのではという考えです。

          もう少し思案・検討してから着手したいと思います。

          はい、今年こそ是非お会いしましょう。
          日本行きの予定が決まりましたら連絡します!

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