ネタが溜まる一方なので、連投します(現在ネタが5個溜まり中w)。
先日の日記にコメント頂いた、スパークダストによるNFB(ブレーカー)接点汚染からの派生の話です。
今回の内容はメンテナンス初心者向けなので、パワーユーザーや業者さんはスルーでお願いします。
コメント内で、
以前アンプメーカーの技術者から聞いた話ですが、大音量を出している時にアンプの電源をオフすると一発で音が悪くなる、とのことでした
とコメントを頂きましたが、これは普通にあり得る話で、大音量再生中の出力は数十ワットに到達するので、リレーコイル電源の喪失で接点が離れ、リレー電極内で空間放電(スパーク)し、スパークダストで電極が煤で黒化します。
機材の端子でも酸化などで汚れて導通しなかったり、音質劣化したりしますが、ブレーカー内電極、リレー内電極に限らず、無視できない事と私は考えます。
コイルリレーもスパークダストで黒化が酷くなると導通しなかったりしますしね。
例え電源喪失のスパークでなくとも、リレーは経年劣化で電極がどうしても汚れてしまいます。
コメント内で私が、「簡単にできますよ」と言ってしまったので清掃を考える訳ですが、何処のサイトを見ても、基板からハンダを取ってリレーを外した上で解体している情報ばかりです(←業者さんでも結構いますね)。
リレー接点の清掃をするだけで基板から外すのも面倒なので、私は基板に乗ったままやります。
廉価中級機の紙フェノール基板で無鉛ハンダだと、ハンダ初心者では慣れないとパターン剥がれの危険性もありますし。バブル期の機材などの有鉛ハンダだと融点が低いので簡単ですが。
今回はそれの方法です。
アイキャッチ画像と下画像は、国産の某メーカー、プリメインアンプのスピーカープロテクト基板ですが、このくらいのスペースがあれば、比較的ハンダサック無しにカバーを外すことが出来ます。ちょっとコツは要りますが↓
私は業務用ハンダステーションを持っていますが、カバーが取れるなら、あんまり積極的にハンダサックしたくないですね。
上の画像は過去に解体した時の画像で、また解体は面倒なので、3D-CADで簡単にサクッと画像を作ってみました↓
これを基板に乗ったままカバーを外します。
オムロン製にしろ、高見沢製にしろ、他のメーカーでも口裏合わせた?様に、ほぼ同じ構造をしています。
まあ、接点構成、基板ピンピッチといい、ほぼ規格なんでしょうけど。
カバーは完全密閉ではなく、両脇に爪で引っ掛かっているだけです↓
まずは、カバー上部の赤丸部分を強めに引っ張り、辛うじて出来た小さな隙間(下の赤丸)に、ハンダピックを差し込みますが、ピックの柄の向きは、よく考えないとスライド出来なかったりします ↓↓
ハンダピックはこういうモノです↓
↑プロテクト基板上の他の部品と左右チャンネル・リレー間の状態を鑑み、赤い丸のモノを使い分けます。
ピック先端が入ったら、下画像矢印の爪の方向にスライドすると結構簡単に外れます。
他の部品との隙間がギチギチな状態ではピック先端を入れるのが難しかったりしますが、無理な時は諦めてハンダサッカーで取り外します↓
カバーを取り外した画像です↓
画像はフリーハンドでDIYで簡素に書いているので、本物と多少構造が違うのでツッコミは無しで。
一応、初心者向けにコイルリレーの動作原理を説明します。
規定電圧をコイルに掛けると、電磁石になって、コイル先端にある鉄板が付き、てこの原理でリン青銅の板バネを押して電極に接触させることによってリレースイッチが入ります。
この電極間がスパークダストで汚れるので、清掃を考えます↓
電極を指で触れるのはお勧めしません。
まずは、コイルの方向から外向きにエアで煤埃を飛ばします。
コイルの上の鉄板を押すとテコで板バネが動くので、接点クリーナーを染みこませたクリーニングスティック、または紙に含ませて電極に挟んでも良いでしょう。
綿棒を無理に突っ込むと曲がったりする可能性があります。
3回くらいクリーニングしたら、電極にナノコロイドとかを塗布しておくと、意外と接点汚染がし難くなります。昔ながらのケイグでも良いですが。
ただし、塗布する場合はごく薄く、周囲に絶対に掛からない様にします。
あとはカバーを戻して終わりです。
コメント ※編集/削除は管理者のみ
へっぽこハム太郎さん、こんばんは。いつも積極的な内容の投稿で以前から興味深く拝見しております。
本文中にも注意点を記されておりますが、「メンテナンス初心者」がもしもリレーの接点や電極を曲げたり、最悪、折ったりすると古い機材では補修部品が入手できずに不動品になってしまいトホホな状況になる可能性が高いことから、あくまでも自己責任でやってもらう内容と思います。
もしも、当方がリレー接点に手を出す場合は補修用のリレーが無くなり明らかにリレー接点の劣化が原因で音が出ない場合のみで、普通に鳴っていればメンテナンスとしてリレー接点には絶対に手は出しません。
それくらいリレー接点はメンテナンスがシビアなものだと思います。
たかけんさん、こんばんは。
今回の内容はあくまで、スパークでの黒化による音質の劣化を心配する人にとって如何対処するか?としての一つの提案として書いており、万人にお勧めするモノではありません。
リレーはシビアなモノだから、スパーク黒化で音質劣化したとしても、音が出ていれば弄らないというならそれまでです。
先の日記のブレーカー接点の話でも書きましたが、「メンテナンスよりも、壊す方が心配なら部品の新品交換を」とも書いてもあります。
まあ、今回は「初心者のメンテナンス」という書き方が良くなかったのは認めますが。
考え方の違いでしょうが、どんなに高価な機材でも、私は接点汚染くらいで部品の新品交換はしたくないですね。
「壊す心配」と「接点を常に奇麗」は、トレードオフの関係とも言えますし、どちらを重視するかで選択が変わるでしょう。
今回も、電極を触るのはダメと書いてはありますが、コイルの頭を押して紙で挟んでクリーニングするくらいなら壊れはしませんけどね。
ブレーカ-のバイメタル接点もそうですが、接点の接触確実性を狙うため、紙程度の厚さくらいの公差を吸収する目的で、バネ性のあるリン青銅を使っているというのがそういう理由です。
へっぽこハム太郎さん、返信ありがとうございます。
とても興味深い記事でしたが、作業に伴うリスクも大きい事からコメントさせていただきました。
実はウチのサンスイのアンプ2台のうち、古い個体がスピーカーAのリレー接点の調子が悪く、何度か切り替えると仮回復している状況ですが、過去の経験から「完全にダメになったら手を出そう」と思っています。
過去の経験とは、リレーのメンテで昔のリレー式交換機時代に厳しい先輩から仕込まれました。接点のメンテ作業をする際はリレーのカバーを外して専用の試験台につなぎ、接点に紙を挟んでから試験台のスイッチを入れるとリレーがカチッと作動し、紙を挟んだら「挟んだ紙は接点に対して横方向に動かさないで接点の外側方向にだけ慎重に紙を動かすんだ。紙を横方向や接点の内側方向に動かすと電極に変なチカラがかかって曲がるぞ」と注意されました。
今回のイラストであれば、紙を接点で挟んだら上方向にだけ動かせと言う事です。
原則として劣化したリレーは新品交換が基本で接点がダメになって磨いて回復させたリレーは、「電極に想定外のチカラが加わっている」ため信頼性が大きく低下し、補修用のリレーが在庫切れになった際のピンチヒッター的な位置づけになって、同種リレーがピンチヒッターで追加された際は古いピンチヒッターは廃棄してましたので、今回の記事についてはメンテ作業に伴う大きなリスクもシッカリ併記しておく必要があると思った次第です。
たかけんさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、リレーが入っている状態で紙を引っ張ると、結構な抵抗を感じていました。
確かに、コイル電圧がDC24Vとか掛かっていたりするので、その磁力で電極が圧着されていればそうなるのも想定できるというワケです。
それが想定外の負荷という事なのでしょう。
私はそれを感じた以降は、リレーを入れずに、本文にも書いてありますが、コイル頭の鉄板を指で軽く押し、IPAを染み込ませた紙を挟んで清掃していました。
当然ながら、紙を引き抜くのは上側です。
さすがに電圧を掛けていないので電極接触圧が弱く、1回ではダストが落ちない事もありますが。
私も特にバブル期の古い機材が好きで、そういうリスクもありますが、やはり私はリレー程度なら例え廃盤になっても接点構成、ピンピッチ、コイル電圧さえ合えば他社製のリレーに換装してしまいます。
サンスイのアンプのリレーは以前、交換した事があります。
世代によって違ったりしますが、確か松下製とオムロンだったと記憶しています(2ピンのDC24Vだったかと)。
プリアンプやDACのアナログ段は、オムロンか高見澤が多かったですね。