電解コンデンサーは構造上、2つの大きな宿命があります。
1つは、電解液のドライアップ。もう1つは、電圧を掛けた時のリード間の振動。
ドライアップは、主に筐体温度が高い状況に晒された場合に早くなる傾向にありますが、コンデンサーケース内圧が上がり、底面の封口ゴムが内圧に負け、リードとの隙間から漏出、蒸発してしまいます。
容量抜けの起こしたコンデンサーをマイクロスケール測定すると軽くなっているのは、電解液が蒸発した事による質量低下です。
同じコンデンサーでも、固体電解やBOXタイプのフィルムコンは、底面リードがエポキシ樹脂で固められているので、経年劣化が起きにくくなっています。
ならば、電解コンデンサーも封口ゴムとリードを何かしらの樹脂で埋めてしまえば良いのでは?と考えました。
実はコレ、全く根拠がない話ではなく、バブル期の日本製オーディオ機材は、今では考えられないほど製造に手間暇を掛けていました。
代表的なモノが、コンデンサーケースの表面にEMIノイズ防止目的で銅箔シールを貼っていた事です。(某P社がよくやってましたが)
この作業は製造ラインでは出来ないので、作業員一人一人が1台に付きっ切りで作業をやっていたのだそう(以前、ステサンの記事になってた)。
もう一つが、基板上のコンデンサーの振動による音質劣化を抑制するため、絶縁コーキングでコンデンサーケース底面と基板との隙間を埋める作業をやっていました。
これもラインでは出来ないので、すべて手作業になります。
バブル期のオーディオ機材の基板を見ると、白い樹脂でコンデンサーが固定されているのを見た事があるという人もいるのではないでしょうか(コンデンサー交換時は超面倒だけどw)。
比較的安価な製品(798、898クラス辺り)は、コンデンサーケースの一部を樹脂で固定しているパターンが多かったですが、高価なモノになると、ケース一周をコーキングで固定している事もありました。
で、面白いのが、このケース一周をコーキング固定されたコンデンサー容量を測定しても、10年、20年経過しているにもかかわらず、ほとんど容量変化がない事が結構あります。筐体温度がそれほど高くない機材は特に。
ケース底面を一周コーキングで埋めると、ケース内圧が上がっても出るところが無いので、ドライアップが起こり難いのでは?と思いました。
という事で今回、バブル期のパワーアンプの基板上コンデンサーの交換に、底面の封口ゴムとリード間に絶縁コーキングで埋めてから交換しています(コンデンサー1個1個爪楊枝でヌリヌリ)
使用するのは、電子部品用絶縁コーキングです↓
※間違っても安価な建材用を使わないように
これ平気で1本5千円くらいします。
誘電率の低い樹脂を使っているのでしょうが、無駄な多用は出来ません。
ただ、A級アンプなどの高発熱機材はケース内圧が上がって膨らみやすくなる可能性があるので、やらない方が良いでしょうね。
下手すりゃ破裂するかも?です。
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