法政大学交響楽団 第124回定期演奏会

日記・雑記
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このところ仕事続きで平日はお疲れモードの小生。
11月13日の土曜日も午前中は職場で仕事を片付ける。
そんなお疲れモードをリフレッシュするのはやはり音楽を聴くことなんだ、ということで夕方に間に合う演奏会に出かけることにした。

ブログの方もご覧ください。

やってきたのはJR錦糸町駅近くにあるすみだトリフォニーホール

法政大学交響楽団の第124回定期演奏会である。
今回の演奏会は、法政大学の創立130周年記念の演奏会も兼ねているとあって、1800人収容のすみだトリフォニーホールの座席チケットは当日券が30枚強しか残ってないほどの人気だったが、小生は何とか当日券を手に入れることができた。
チケットは全席自由で500円。
このような演奏会では家族や関係者などが多く、何故か大抵後ろ側から埋まっていくので、今回も前列7番真ん中のベストポジションに座ることができた。

本日のプログラムは、先ず法政大学創立130周年記念の挨拶に続き、交響楽団音楽監督の福井功氏の指揮で法政大学校歌の演奏が行われた。
近衛秀麿作曲の校歌は行進曲風で格調高いもので、このような演奏会形式で改めて聴く校歌もなかなか良いものだと感じた。
さて、メインの演奏は、指揮者に田中一嘉氏を迎え、ブラームス作曲:大学祝典序曲、ハチャトゥリアン作曲:組曲「仮面舞踏会」、休憩をはさんで、チャイコフスキー作曲:交響曲第6番ロ短調「悲愴」Op.74。

1曲目の大学祝典序曲は、今年の創立130周年記念に相応しいプログラムであろう。
2曲目の仮面舞踏会は今年、あちこちのコンサートで良く取り上げられている曲目である。
メインの悲愴は、おなじチャイコの5番に比べてアマオケで聴く機会はそんなに多くないが、演奏技術に高いものを求める難度の高さや、終楽章のエンディングが勝利で終わらないところが、学生には人気がないのかもしれないが、チャイコフスキーの生んだ傑作のひとつである。
プログラムを読むと、大学に入ってから楽器を習った団員が結構多いように書かれているが、これは他のマンモス大学のオーケストラには余り見られないことで、毎年50名以上の新人団員が入団し160名を超える演奏団体として、来年には創立90周年を迎える法政大学交響楽団の伝統というものを感じる。

さてその演奏であるが、出だしの大学祝典序曲は、演奏会冒頭の大学創立130周年記念の挨拶や校歌演奏といった儀式を終えた後だけにや緊張気味で、指揮者ともに演奏に硬さが見られた。
それでも中間の展開部の頃には徐々に硬さもほぐれてきたのか、オケ全体がよく鳴るようになってきた。
この、「鳴る」という感覚を小生は、「響きあう」「共鳴しあう」「心が通い合う」という感覚に通じるものだと捉えている。
指揮者とパートトップ、パート内奏者同士、各パート同士、そしてオーケストラと聴衆が同じステージを共有して音楽を作り上げていく、その状態が徐々に感じ取れるようになっていくと、オケ全体が良く鳴っていると感じ取れるのだ。
生演奏の醍醐味の一番がまさしくこの一体感であり、小生にとってオーデイオによる再生音楽のそれも、この一体感をどれだけ持てるのか否かというところが最重点の課題でもある。

さて、硬さのほぐれた法政大学交響楽団のサウンドだが、ベルベットのような柔らかい光沢を持つサウンドという印象。
指揮者の田中一嘉氏は、奏者の力量を考え、高難度を要するパッセージが続く部分ではあまりテンポを揺らさないなどの配慮をされており、その分音の大小のメリハリをつけるという演奏解釈で大学祝典序曲の祝祭性を際立たせていた。
それは2曲目の仮面舞踏会でも同様で、5曲ある組曲それぞれの中で、曲調が転換する場面以外のテンポはあまり変えなかったので、そのスタイルだとやや平板に聴こえてしまうところがやや残念であったが、それは先日プロオーケストラで、それこそ自由自在に退廃的な雰囲気プンプンに演奏されたのと比較してのことで、2曲目のノクターンでのコンミスのバイオリンソロも秀逸で、最後には満員の聴衆から大きな拍手が贈られていた。

最後のチャイコ6番「悲愴」であるが、これはこのオケのサウンドの特長が十二分に活かされた演奏であった。
演奏技量の問題でやや音程に不安定さを時折見せるものの、奏者全員が真剣な眼差しで指揮者や譜面を見ながら心を一つにした演奏に、超満員の聴衆が身じろぎもせずに聴き入っている。

そこにはホール全体を包み込んでいる一体感があり、これが学生オケの演奏会の最大の良さであり、全体を通じて厚みのあるベルベットのような輝きを放つ弦楽器群と若さ溢れる鮮烈な光を発する管楽器群が絡み合う第3楽章は秀逸の出来。

最終楽章の終わりにコントラバスの響きの余韻がホールの空間に消え入った瞬間に、それこそ開場一杯に響き渡る万雷の拍手がステージ上の団員の演奏を褒め称えて鳴り止まず、最後にチャイコフスキー作曲:白鳥の湖よりフィナーレのワルツを演奏して終了した。

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