春眠破るモーツァルト:マチュー・ヘルツォークの指揮者デビュー

日記・雑記
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                     2019年04月06日

エベーヌ四重奏団については、日記でしばしば言及していますが
ずっと、ひとつ気がかりなことがありました。
それは脱退したマチュー・ヘルツォーク(ヴィオラ)のことでした。
どういう経緯で彼が辞めたのか、私はよくわかっておらず
今日ご紹介するアルバムを聞いて、ようやく事の次第を理解したのでした。

ヘルツォークは、なんと自前のオーケストラである
アンサンブル・アッパッショナートを編成し、
指揮者となっていたのでした。。。
その実質的なデビューアルバムは
モーツァルトの最後の3つの交響曲集でありました。
https://tower.jp/article/feature_item/2019/02/26/1105
https://naive.lnk.to/MozartAppassionato

まずはジュピターから聞いてみます。
おおっ、目が覚めました!
私がかつて聞いた演奏のなかでは最速のテンポで
太鼓(ティンパニー)がドンドコドンと元気よくたたみかけてきます!
こんな感じは、エラス=カサドのシューベルト以来かな~
日記でそのレビューしたときに引用した
http://community.phileweb.com/mypage/entry/4053/20171001/57153/
能地祐子さんの言葉を再度借りれば
「男性的な柔らかさや鷹揚さをたたえながら、ガツンとパンチが効いている。
しかもロマンティックなところは、遠慮なくとことんロマンティック浮かれモードで突き進む」
ヘルツォークの演奏もまさにそんな印象です。

改めて思いました。
エベーヌの「熱さ」は、この人によるところが大きかったのだな~と。。。
以前に彼らのレコーディングの様子を動画で見たことがあったのですが
他の3人は、どちらかと言えば、物静かなタイプだったのに対し
ヘルツォークは、エネルギッシュで、多弁
積極的にディスカッションをしかけるタイプでした。

ヘルツォークご本人は、このアルバムを作るにあたって
ずいぶんアーノンクールを意識していることが
インタビューを通じてわかりましたが、
https://www.youtube.com/watch?v=Pz2v5lG1vDM
確かに各楽器の音の立ち加減が
アーノンクールの系譜上に位置づけられる演奏ではあります。
でも私が想起したのは、エラス=カサドであったり
あるいはクルレンツィスだったりしました。。。
それくらい「“今”の歯ごたえがある感じ」(前述の能地祐子さんの言葉)

そしてこのコミュであれば、
プロデューサー&エンジニアに触れないわけには参りますまい。
そう、ケン・ヨシダなのであります。
何を隠そう、このアルバムの存在はケン・ヨシダ経由で知ったのでした。
私にとって、彼はまずもって「ヴォーカル録音の名人」でしたが
このアルバムはそういうイメージから一歩踏み出た印象でした。
弦や木管の音の柔らかさは従来通りですが
オーケストラ録音での彼の特質は、
アーティキュレーションの巧さにあるように思いました。
ここはピタッとキメてほしいっていうところでは
キマっている印象があります。
つまり彼の手によって、演奏のキメの細かさにも目が向くように
バランスが図られている気がしました。

このアルバム、昨年にはCDがリリースされていたはずなのですが
日本での取り扱いは4月下旬以降とのこと。
したがって私はストリーミングで今聞いていますが
(少なくともこのコミュでは)話題になりそうなCDだけに
先走ってレビューさせていただきました。。。

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