オーディオと実演 – いい音 ”音程にかかわらず音色は一定とすること”

日記・雑記
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オーディオと実演の活動は似ていると感じる「いい音」編です。ここが一番面白いです。

声楽/オペラにおけるいい音とは、簡単にまとめると下記となりましょうか。

①音程にかかわらず音色は一定とすること

②歌声に芯を持たせること

③歌声に響きを持たせて、全身から響きを発するようにすること

 

①は簡単なようで難しいです。クラシックの声楽における声種は大別すると、女声:「ソプラノ」「メゾソプラノ」「アルト」、男声:「テノール」「バリトン」「バス」の6種類となります。それぞれの声種に求められる音域は2オクターブ程度となります。この音域において、可能な限り音色を一定とすることが求められます。

例えば弦楽器ですが、「ヴァイオリン」「ビオラ」「チェロ」「コントラバス」において、音程が同じでも音色は違います。声楽の場合に、歌いながら、ヴァイオリンになったりチェロになったりしては聴いていておかしいと言うことです。

 

当たり前のようですが、普段に話声で使っている音域は自然と一定になっています。しかしながら、高い音や低い音を出そうとすると、意識しなければ音色は変わってしまうのです。もちろん、歌唱の途中で意図的に音色を変えることもあります。特にオペラでは、感情の変化などを音程のみでなく、音色の変化で表現したりもします。音は不思議です。音程が同じでも弦楽器と金管楽器と歌声では大きく音色は異なりますね。倍音の出方や響き方の違いなどが影響しています。

 

一方で7オクターブものの音域をカバーするピアノですが、音程にかかわらず音色が一定となるように作られています。この音色が変化しない点では、日本製のピアノは高く評価されているんです。

 

このように人により歌声に個性や違いはあるものの、音程にかかわらず一定の音色を出せるようにすることが求められます。

 

オーディオでは10オクターブもの音域をカバーしますが、多様な歌声や各種の楽器などを再生するので、「音域にかかわらず音色は一定とすること」が非常に大事な特性であることがよくわかります。反対に弦楽器が得意と言われるソナスファベールなどはキャビネットの響き方を弦楽器と近似させることにより魅惑的な音色を表現しているのでしょうね。

 

書き進めているうちに、普段感じていることでも、こうして文章にまとめることで頭の整理がつくことを実感しました。少しづつ整理しながら書いていくことにします。

コメント ※編集/削除は管理者のみ

  1. ヒジヤンさん、こんにちは。

    このような視点から「オーディオ」を考えたことが無かったので新たな気づきでした。

    genmiはピアノ好きなのでピアノの音でオーディオの調整具合を判断することが多いのですが、そこで『音程にかかわらず同じ音色』というのがミソなわけですね。その辺を今後意識して聴いてみたいと思いました。

    ヒジヤンさんのように実際にご自身でも音楽をされていると違った視点から「オーディオ」と比較できるのが面白いですね。genmiは「聴く専門」なのでヒジヤンさんのこのような日記はとっても刺激的で勉強になります。

    続編が楽しみです!

    • genmiさん、コメントありがとうございます。

      オーディオの場合は、演奏者が優秀でマスタリングを失敗していなければ、音程で音色が変わる事例は殆ど知りません。どちらかと言えば、その楽器本体の音色に聞こえないというケースに出会うことがあります。

      genmiさんのところのピアノは問題ないと思います。
      事例としては、
      1)サブウーファーを使用しているお宅で、、
      ・コントラバスの音が、コントラバスに聞こえないことがありました
      ・パイプオルガンの音が、パイプオルガンに聞こえないことも(一緒に体験しましたね)

      2)ツイーターを独自に多数追加しているお宅で、
      ・ヴァイオリンの音が、この世で聞いたことのないような音だったこと(ご本人は、「ああ、いい音だな~」と言われていたので黙っていましたが)

      3)マスタリングにも問題がありそうなケース
      ・幸田浩子カリオン1曲目のコントラバスのピッツィカートの4打目がボーンと大きく膨らむことがあります。(きっちりとセッティングされたお宅では、それほど気になることはないのですが)・・・たぶんNS10あたりでマスタリングしたので、低音過多になったのだと思います。
      ・ムターのカルメン幻想曲の国内盤が、ヴァイオリンと言うよりもビオラに近い音に聞こえます。

      オーディオではそれほど問題にはならないと思いますが、セッティングの穴などで「楽器本来の音に聞こえない」ことがあるようです。

      ◆問題は自分の歌です。高音が弱いので、無理して出すと音色がかなり変わってしまいます。厳しい先生には、「その歌はまだ無理なんじゃないか」などと言われてしまいトホホです。2月のコンサートで歌う曲なのです・・・実はオーディオをやっている場合ではないのです(汗)

      • ヒジヤンさん、

        ご無沙汰しております。
        Phil-Mでもよろしくお願いいたします。

        日記の主旨からは外れてしまうかもしれませんが、”音程にかかわらず音色は一定とすること”に関してピアノの音についての記述があったので少しコメントさせてください。

        ≻この音色が変化しない点では、日本製のピアノは高く評価されているんです。

        上記の記述はおっしゃる通りと感じています。
        私がYAMAHAのコンサートグランドピアノのCFXを生で聴いた時に感じたのは低音から高音まで恐ろしいまでに全く同じ音がするということです。
        三浦友里恵さん、仲道郁代さんのコンサートで数回聴いただけではありますが、その印象は同じで、ビックリしました。フォルテもしっかり出ていて前世代のYAMAHAからは格段の進歩を感じました。

        一方、スタインウェイの音は低音と高音で音の違いを感じます。
        また、普通の打鍵と特に強い打鍵の時でも音の違いを感じます。
        高音の強い打鍵では破綻しかけているのではないかと思われるような雑味(?)も感じさせながら華やかで魅力的な音を奏でます。
        スタインウェイはこういう音を意図的に作っているのだと私は思っています。
        個人的には私はスタインウェイが好きですが、当然ヤマハを好む方もいらっしゃると思います。好みの問題だと思います。

        ヤマハとスタインウェイの音の違いはアリス・サラ・オットとトリスターノのデュオ・ピアノのアルバム、スキャンダルを聴くと比較的わかりやすいと思います。
        左側でサラ・オットがスタインウェイ、右側でトリスターノがヤマハを弾いています。
        シェエラザードがわかりやすいかもしれません。

        ピアノ録音ではスタインウェイを使ったものが多いのですが、オーディオでそれを聴いて「音程にかかわらず同じ音色」に聴こえたら、そのシステムはちょっと変なんじゃないかと思っています。
        ピアノの音に関してこんな変な聴き方をするのは私だけかもしれませんが…

        以上、妄言多謝

        • K&Kさん、コメントありがとうございます。Phil-Mでもよろしくお願いいたします。

          ピアノの機種違いの音にこだわりを持っておられるのですね。お詳しくて、なるほどと拝見しました。自分が書いたピアノの音の話しは、普段から接している数名のピアニストから聞いた話からが主体です。

          一方で、自分との視点の違いも感じています。自分が聴くピアノの音の違いはメーカーと言うよりは、ピアニストの違いによる音の違いに驚いています。

          声楽やオペラの稽古をするときに、同じピアノで同じ曲を複数のピアニストに弾いてもらうのですが、その音の違いに驚きます。タッチやペダルの使いかたで、まったく違う音が出せるんですね。

          まして、オペラの場合はピアノはオーケストラの代わりです。ですから、コレペティはピアノの音というよりはオーケストラの各楽器の音をイメージして音を出しているそうです。たまに、これがピアノの音なの?なんて感じることもあります。

          同様に、オーディオでも自分はメーカーや方式の違いに無頓着な方だと感じています。メーカーの音というよりは、鳴らす人の音だと。そうありたいと思っているからそう聞こえるという面もあるかと思います。

          音の捉え方も気にしている部分次第ですからね。だから、Aさんがいいと思っても、Bさんは真逆な感想を持つこともよくある話です。だから面白いとも言えそうですが。

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