オーディオと実演の活動は似ていると感じる「いい音」編の2回目です。
声楽/オペラにおけるいい音とは、簡単にまとめると下記となりましょうか。
②歌声に芯を持たせること
③歌声に響きを持たせて、全身から響きを発するようにすること
②の「歌声に芯を持たせる」とは、声を中心に集めるということになります。③の響きを持たせて全身から発することとは相反することのように思えますが、聴く側からのイメージとしては下記となります。これはX1おやじ邸に行ったときに、そのサウンドをどのように表現しようかと考えて図としたものです。
広いホールで多くの人に歌声を伝えようとする場合、ホール全体に響かせるように歌うのですが、これだけだとイージーリスニングのようにふわっとした音しか伝わりません。やはり実がつまったような音が聴く人にインパクトを与えます。これまでに実演を聴いた時の印象を振り返って見ると、芯のある歌声が自分に響いて来た時に感動しますね。ふわっと漂うような歌声は、ながら聴きなどに適したサウンドだと感じます。これは歌声だけではなく、様々な楽器演奏も同様だと思います。
こうした歌声をどのように出していくのかということになりますが、先ずはイメージが大事です。歌声をビームのように集めて遠くに届けようとするイメージです。発声のメカニズムは、簡単に言えば「肺から出す空気を声帯で振動させて口から出す」仕組みとなりますが、実際には体中の筋肉を使っています。そして、空気の流れは出来るだけスムースに流れるようにします。支えをしっかりして・・・、重心にブレがないように・・・、横隔膜で肺を一定の圧力で押し上げ・・・、喉を開いて・・・、口内の形は出来るだけ変えないように・・・、口の形と舌で音を調整して・・・などテクニックとしては様々ありますが、イメージが大事なのです。
声を眉間に集中させて、前にも後にも、遠くの駅まで届けるように、などのイメージです。話をするときに、あれこれ考えなくとも話すことをイメージしただけで正確な音が出ますよね。例えば「お.は.よ.う.ご.ざ.い.ま.す」などと自然と出ます。生まれた時は「おぎゃー」としか出なかった声が、自然と話が出来るようになっています。これは長年の訓練の賜物ですね。楽器はそういうわけにはいきません。例えば、「ドレミ」と音を出すだけでも、初めての時はどうやってやればいいのか迷ってしまいますね。叩けば音の出るピアノでも、どこを叩けばどの音が出るのかを生まれた時から知っているわけではないです。
少し脱線しましたが、声の飛ばし方も同じで、イメージすることで身体が自然と作用して、そのような音を発してくれます。もちろん、よい発声をするには訓練が必要です。声楽の訓練において、半分は発声を磨いている感覚なのです。このように声楽において、「いい声」はとても大事です。「いい音=いい声」と言っていいかと思います。歌は身体が楽器と言いますが、よい音が出る楽器を買うことは出来ないので、自分で磨き込んで「いい声=いい音」を作っていくしかないのです。
「いい声」を作ると言っても、スタート時点の個人差はあります。自分は音楽の教育や訓練を受けていないのに、ミュージカルの突撃オーディションに受かったのは、偶々「大きく出る、いい声」を持っていたためだと思います。ですが、その後にプロたちと一緒に舞台を踏んだ時は、「ド素人が」と陰口を言われたものです。悔しくて悔しくて涙を浮かべたものですが、冷静に考えれば「教育」「訓練」「努力」と積み重ねてきた人たちから見れば、偶々いい声だった素人に対して、そのような評価になるのは当然ですね。
そんな経過もあって、スタート時点からある程度は作り込まれていた声を活かして、ミュージカルから声楽に転向しました。ですが声楽をやっているライバルたちは、「いい声」を持った人の集まりです。そのような人たちの中で、聴く人を魅了する声を作るには、訓練と努力が必要になるのは当たり前のことですね。人を魅了する「いい声=いい音」とはどんなものかを研究し、鍛錬し、磨き続けるのは容易なことではありません。
オーディオだって同じです。お金さえ出せば、いい音を出す機械を買うことは出来ます。音のいい部屋を作ることも出来ます。ですが、それだけでよい音を奏でられるわけではないのです。「いい音を出す機械」「音のいい部屋」は、いい音を出すために必要な条件ではありますね。でも、それだけで十分とは言えないです。では足りないものは何か?
自分が感じていることは、先ずは「いい音のイメージを蓄えること」です。そして、「そのイメージに近づけるための追い込みを実施していくこと」ですね。そのために、「追い込んで行くための手法を知ること」も必要になりますね。どうも話が飛躍してしまいましたが、このようにオーディオと実演の活動はとても似ていると思うのです。そして、オーディオと実演も鍵を握っているのは「響き」であると感じています。この響きの話は次の日記で書いてみようと思います。
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2月のコンサート、頑張ってください
(๑•̀ㅂ•́)و✧
ソナスファベールさん、ありがとうございます。
この日記にコンサートの応援をいただけるとは思いませんでしたが、
>・・・「ド素人が」と陰口を言われたものです。悔しくて悔しくて涙を浮かべたものですが・・・
この部分に同情してもらえたのかな?本当に、その時は悔しくて悔しくて、・・・・今となってはよき思い出です。
声の発し方での投稿でしたので、この場をお借りして応援出来ればと思いましたが、コメントがシンプルすぎて返って申し訳なかったコメントだったかな~と思ってました(^_^;)
私も以前は歌うのが趣味だった頃もあり地方番組でのど自慢みたいな番組に出た事があります(*´`)
ヒジヤンさん程の知識はありませんが、その時は腹式呼吸と喉は開いた状態で鼻を響かせるといった基本?的なイメージで声を出してました(*´ `*)
音程はめちゃくちゃで、純粋に自分がプロになった時どんな声になるのか知りたかっただけで練習してました(*´艸`)
ヒジヤンさんの歌声には非常に興味があります。
プロの方がどうなのか知りませんが人を見下す方は私は嫌いです色々文句も言いたいところですがポンポンの中に閉まっておきます( ー̀༥ー́ )
(赤ちゃん用語が出てしまいました)
ソナスファベールさん、おはようございます。
歌うことを趣味とされていたのですね。何だか親近感が沸いてしまいました。
のど自慢大会にも出られたことがあるとのことですので、かなり歌いこんでおられたのではないでしょうか?
>腹式呼吸と喉は開いた状態で鼻を響かせるといった基本?的なイメージで声を出してました
そうそう、イメージが大事なんですよね。歌うときにいちいち理屈を考えてなど歌えませんから、日頃から鍛錬して、自然に出来るようにしなくてはなりません。・・・これが簡単には出来ないのですが。。。
>プロの方がどうなのか知りませんが人を見下す方は私は嫌いです色々文句も言いたいところです
同情していただきありがとうございます。ですが、プロたちは好きなことを職業とするために、子供の頃から教育を受け、訓練し、努力を積み重ねて来たのに、偶々声がいいだけで同じ舞台に立つことが許せなかったようです。自分は基本的なことがまったく出来ていない「素人」でしたので、言われて当然と後から反省しました。今はこれらのことをバネにして奮起しています。
職業としての歌手、役者は厳しいものがありますね。
同様に、オーディオも真剣にやっていますので、高い機械を買って繋いだだけのような音に対しては、手厳しいコメントをしてしまうようです。言われた方は、いい気持ちはしないですよね。だから、初めてのお宅に行くのは慎重になっています。
そう言えば、同じ声楽をやっている趣味人同士でも、「趣味として楽しく歌いたい人」と「上達することを目指して真剣に歌っている人」は、相容れずと言いますか、交流しないですね。はっきりとグループが分かれてしまいます。
〉趣味として楽しく歌いたい人」と「上達することを目指して真剣に歌っている人」は、相容れずと言いますか、交流しないですね。はっきりとグループが分かれてしまいます。
確かに、わかる気がします。
上達を考えている方のプライドという面もあると思いますし、考え方が根本的に違う部分があるのかも知れません。
ここからは私の考えでコメントしたいと思います。
ヒジヤンさんとの相違する面があるかもしれませんが、十人十色の考えという事で話させていただきます(_ _ᐡ)
仰る通りプロの方は相当な努力をしてきたと思います。もしプロのステージに素人が立っては気に触る方もいるかもしれません。
ですが、全てのプロがそういった考えの方とは限らないと思っております。
私は本物の実力者であるならば、そういった場面も広い心で受け入れられる方を本物のプロとして尊敬します✨
そういった考えを持たれていないプロはこちらから接触をお断りしたくなります。
オーディオに関してですが、ヒジヤンさんの拘りの強さや考え方に本当に尊敬します✨
私がオフ会に誘われた際、ある程度距離があっても参加させていただく目的としまして、私も自身のオーディオにはいつもうっとりして聞いております。
そこで感じた事が、他の方がどんな音で感動しているのか、私も知りたくなりました。
そして、参考となる面があれば私も取り入れられたら更に自分の音も良くなるかなと思って参加しております。
ただ、音の好みやオーディオに求める音というのは人それぞれだとも思っておりますので、その方が何を目指し、どういった部分に音の魅力を感じているのか、そこも知る事が出来たら、更にオーディオへの魅力を知ることが出来ると考えています。
殆どの人はオーディオに関して完全な趣味であり、拘り方も様々だと思います。
当然その音が良いか悪いかは本人しか知り得ない事だと思います。
勿論音の好みの方向性が合う方同士なら音色の良い悪いも共感できるかと思いますが、オーディオの趣味というのは、メーカーが違えば方向性も変わる事もあると思います。
オフ会の時話が出ましたが(*´ `)人によってはこれが絶対正しと仰る方も中にはおりますが、はたしてその方が、アドバイスしている相手の得たい方向性を理解されているのか、疑問も残る事があります。
もしアドバイスしている相手の得たい音を理解されていないでアドバイスしていたとしたら、それはとんでもなく失礼な行為だと思います。
勿論アドバイスは非常に親切で素晴らしいことです。
私も私の求めている音を理解されていただいた上で、更に的確なアドバイスをいただけたら、真に尊敬します*. ゚(*´ω`*)゚ .*
長々と申し訳ありませんでした
あくまで私の考え方を述べさせていただきました♪
実際に言葉に出すのが下手なもので、普段はあまり自分の考えを話せないのが悩みです
すみません、投稿とは離れた内容になってしまいました。
削除出来るならしたい所です
ソナスファベールさん、おはようございます。
昨日は稽古を実施して帰ってから、疲れて寝てしまいました。
ソナスアベールさんの考えが聞けてよかったです。仰られる通りかと思います。
・本物の実力者であるならば、そういった場面も広い心で受け入れられる方を本物のプロとして尊敬します
・音の好みやオーディオに求める音というのは人それぞれ
・当然その音が良いか悪いかは本人しか知り得ない事だと思います
その上でなのですが、「よい音」とだけ定義するより、「正確な音」「よい音」「好きな音」と区分しながら話せるとよいなと思っています。
https://community.phileweb.com/mypage/entry/2648/20210822/68200/
上記の日記の中で論議されていますので、人それぞれの考え方も知ることが出来ます。このテーマも面白いかと思います。
また、「趣味としての気楽さ」「職業としての重さ」なども面白いかもしれないです。
また直接に会話させてください。楽しみにいています。
ヒジヤンさん
こんにちは
今回のお話は分かりやすくていいですね。
こうした実演とオーディオのハイブリット的な記事は共感できるし読み手が深読みすることにもつながるので良いなと思いました。
経験からくる一種の反骨精神がヒジヤンさんのオーディオにも反映されていますよね。
そういう姿勢、バズケロも共感できます。
JBL部屋でのバズケロサウンドにもたくさんの迎合圧力へのアンチテーゼが育まれています。
故にオーディオはそれぞれがオンリーワンになってゆくのでしょうね。
色々な名人宅でオーディオを楽しませていただけるとき、”人柄が音に出るなあ”といつも思います。
芯のある声、人を惹きつけます。
コンサート、頑張ってください!
音楽は人を感動させてくれますから!
人生を音楽で楽しみましょう!
では、では
バズケロさん、おはようございます。
「話しが分かりやすい」「読み手が深読みすることにもつながる」・・・嬉しいことを言っていただきました。
>経験からくる一種の反骨精神がヒジヤンさんのオーディオにも反映されていますよね
あるあるです。下記の考え方が根幹を成しているように思います。
・お金をかけずにいい音を出すのがカッコいい
・最悪の部屋から這い上がるのがカッコいい
そう言うバズケロさんも、
>JBL部屋でのバズケロサウンドにもたくさんの迎合圧力へのアンチテーゼが育まれています
本当にJBLでクラックを鳴らそうとアプローチして、実際にここまで鳴らしてしまうのはオンリーワンですね。
こうして考えてみると互いに「意地張り気質」と言えなくもないですね。
>色々な名人宅でオーディオを楽しませていただけるとき、”人柄が音に出るなあ”といつも思います
まさに、「音は人なり」ですね。
どこまで意地を張り通せるか競争いたしましょう(笑)
ヒジヤンさん、こんにちは!
とても面白い内容で引き込まれました。
私はカラオケが好きで、キーの高い歌を歌いたくて確か「ハリウッド式ボイストレーニング」みたいな感じの本を買って練習しました。
地声が「チェストボイス」
裏声が「ヘッドボイス」
その中間が「ミックスボイス」
と書かれていたと思います。
当時の私はこのミックスボイスが出せなくて練習を何年もやりました。
独学でコツが掴めなかったので、いつまでも出来なかったんです。
ところが2年ほど前にふとした事でコツが掴めました。
喉から声を絞り出すのじゃなくて、
喉を開いて音を出す口の形を作って、腹をへこませたときに出る空気を喉、口、鼻を通過させる時に勝手に音が出る。
みたいなイメージで発声すると「ミックスボイス」らしきものが出せるようになりました。
声の出し方にも理論があって、「どうすれば」を本気で突き詰めて行けばそれなりの結果が得られるんだなという経験をしました。
おかげで優里の『ドライフラワー』を原キーでちゃんと歌えるようになり、スナックでチヤホヤされるという、これまでの努力に対するご褒美を受け取れています笑
オーディオでの拘りは「人の声がちゃんと人の声に聞こえる」を追求する事です。
声楽をされるヒジヤンさんに聴いて頂くのは怖くもあり楽しみでもあります。
ゴールデンウィークまでに行けるところまで精度を上げておきます!
CENYAさん、おはようございます。
日記の内容はエッセイとなっていますが、面白いと言ってもらえてうれしいです。
CENYAさんも歌をやっている(いた?)とのこと親近感がわきます。
さらに、スナックでモテたいから訓練したというのも、人が持つ根源的な欲求に従う行動として分かりやすいですし、いいなと思いました。CENYAさんの魅力って、自分が望むこと、求めることを素直に表に出せるし、出していることかなと思いました。
>声の出し方にも理論があって、「どうすれば」を本気で突き詰めて行けばそれなりの結果が得られるんだなという経験をしました
本当に声楽はオーディオとよく似ていると思います。振動板を揺らして音を作っているのだから当たり前と言えば当たり前ですね。他の楽器も同じと言えば同じですが、「声楽は自身の身体が勝負」で「買うことの出来ない楽器を磨き育てるしかない」と言う点で、より深みに嵌れますね。
>オーディオでの拘りは「人の声がちゃんと人の声に聞こえる」を追求する事です
いいこだわりだと思います。CENYAさんのオーディオは自己流にいじくり回しているので、「世にも不思議な奇怪な音」が出るのではないかと想像していました。ですが、聴いたことのある人からはバランスが取れていると聞きました。さすがですね。
ゴールデンウィークを楽しみにしています。