みなとみらいホール再訪~リベンジ

日記・雑記
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先月に幻想交響曲を聴いて、低音の響きに圧倒された横浜みなとみらいホールに再訪しました。狙いは、大規模なホール改修後に音が変わったのか否かを確かめたかったこと、そしてもし低音の響きがたっぷりとしたサウンドに生まれ変わっているなら自分のメインコンサートホールにしようと考えたからです。


チケットは直前に取得しました。チケット救済サイトで条件の合うものを見つけているので、演奏曲で選んでいるわけでも、演奏家で選んでいるわけでも、座席位置も選択しているわけでもないです。ですが不思議とよいものに巡り合うことが多いです。救済サイトに出している人は、仕事の予定などが不定期なため、予め沢山のチケットを取得しておいて、予定の合う公演は聴きに行き、予定が合わない場合は放出する人が多いようです。ですから、行けなくなった公演も厳選された公演であり、座席位置もその公演に合う位置が選ばれているように感じます。しかも割安で入手出来るので、最近はこのパターンで聴きに来る機会が多くなっています。ですが、ここにも落とし穴はありました。

今回の公演は、『華麗なるコンチェルト・シリーズ 《オール・ベートーヴェン》マルティン・ガルシア・ガルシア』です。

マルティン・ガルシア・ガルシアのピアノ演奏を目玉とした、神奈川フィルの公演です。演奏曲は下記の3曲でした。
・序曲「コリオラン」 op.62
・ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37
・ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op.73「皇帝」

座席位置は2階席ステージの右サイド

みなとみらいホールでこの位置は初めて座りました。改修工事後に不評だった落下防止用の金網は撤去されていましたが、手すりが高くされていて視界を遮る部分があります。みなとみらいホール通によると、1列目は手すりが邪魔になるので、座るなら2列目3列目がよいとのことでした。

この日に座ったのは2列目でしたので手すりが気になることはなかったですが、チケットを忘れてきてしまい席に座るまでに一波乱ありました。忘れたことに気が付いたのは、ホールに向かう途中でした。「今から取りに戻ったのでは開演に間に合わない可能性がある」「昼食の時間も無くなってしまう」「座席番号は覚えているので何とかなるだろう」そんな軽い気持ちで向かったのですが、そう簡単でもなかったです。

受付のところで、「チケットを忘れて来ました」「座席番号は〇〇です」と告げたのですが、次々に質問が来ました。
・お名前は?
・どこで購入されましたか?

こんな質問をされるとは想定外でした。事情を説明して、譲渡先の名前は告げたのですが、どこで購入したかがわからないとチケット忘れの規定に合わないとのことです。困ってしまい、譲渡先に電話を掛けたのですが繋がりません。あきらめかけたのですが、譲渡先の電話番号がわかれば購入先が調べられるかもしれないとのことでしたので番号を告げました。担当の人が調べてくれているのですが、開演時間は迫って来ます。こんなに大変になってしまうとは思いもよりませんでした。

開演ギリギリになったときに担当者が慌ただしく戻って来ました。「購入先の確認が取れました」「私がホールの中に一緒に行きますから、その席に誰も座っていなかったらお席の確保が出来ます」 ドキドキしながら、エスカレータに乗り、長い通路を進んで入場口まで進みましたが、すでにホールの扉は絞められています。重い扉を2枚開けて、ステージ横の席まで来たところで目指した席が空席である確認が取れました。
「お座りいただけます」
ホッと一安心したところで開演となりました。

①序曲「コリオラン」 op.62 感動度☆☆☆☆☆
入場時のゴタゴタで正直よく覚えていません。みなとみらいホールのこの位置からオーケストラを聴くのは初めてでしたが、「中高音が綺麗に聞こえるが、低音の聞え方はもうひとつで響いて来ない」感覚でした。これは、低音楽器であるコントラバスの裏側となることと、他の低音楽器がティンパニーくらいしかなかったためだと思います。

②ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37 感動度★☆☆☆☆
この曲でようやく演奏会モードに入れたようです。静かに始まるオーケストラの前奏に耳が惹かれます。心洗われるような気持ちで聴いていると、ピアノが始まりました。あれ、と思うほど「コロコロと転がる粒立ちのよい音」です。基本的にステージに近い位置で聴くのが好みなのですが、ピアノ協奏曲は1階の前方で聴くと底板からピアノを聴くようで馴染めないでいました。ステージ上方から聴くピアノ協奏曲は絶好のポジションだと感じます。第3番は馴染みのない曲でしたが、心地よい音に浸りながらうっとりと聴くことが出来ました。

③ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op.73「皇帝」 感動度★☆☆☆☆
こちらはベートーヴェンのピアノ協奏曲の中でも一番の有名曲であり、聴き馴染みのある曲です。この曲でもガルシアのピアノは冴えていて、力強くはじけるようなピアノでした。印象的だったのは、歌いながらピアノ演奏をしていることです。自分が座った2階席からでも聞えましたので、近くの席の人には大きな歌声が聞こえていたのではないでしょうか。このあたりをノイズと思うか、演奏の一部として捉えるかは、人それぞれだろうと思います。「皇帝」でも、上方から聴くピアノはよかったのですが、オーケストラの押し出しが欲しいと思いましたので、好き勝手に言えるリスナーの立場は贅沢しきりですね。

一波乱あったみなとみらいホールで聴くピアノ協奏曲でしたが、真上から聴く音はピアノもオーケストラも「クリアで綺麗な音」でした。こんな音はオーディオではちょっと聴けないと思えるサウンドです。終演後は、早くオーディオとの対比をしたいと思い急ぎ帰宅しました。

帰宅して早速のオーディオタイムです。

クリスチャン・ツィメルマンのベートーヴェン: ピアノ協奏曲全集。このコンサートを機に、ベートーヴェンのピアノ協奏曲を楽しみたいと思って仕入れた音源でした。2ch専用のSACDと5.1 DTS-HD、DOLBY ATMOSのBlu-ray Audio盤も入っているのでオフ会などで聴き比べてみたいと思います。

先ほど聴いた生演奏とオーディオ再生を聴き比べてみると、鮮度の違いが大きいです。良席で聴く生演奏の鮮度の高さはオーディオでは出せないですね。ですが、「皇帝」 で不満に感じたオーケストラの押し出しはオーディオが優位でした。それでも、みなとみらいホールの2階席ステージの右サイドは、ピアノ協奏曲を聴くのに最適だと感じました。ですが、狙いであったホール改修後の「低音の響きの変化確認」が出来ませんでしたのでリベンジが必要です。

確認に適した公演がないかと検索していると、11月に来日するチェコフィルのみなとみらい公演の適した座席が空いていたので思わずゲットしました。

幻想交響曲を聴いて低音の響きに驚いた、5月に座った位置の1列前です。次回には必ずやリベンジを果たしたいと思います。

コメント ※編集/削除は管理者のみ

  1. ヒジヤンさん
    こんばんは!

    果たして鑑賞できるのか!?
    ドキドキしながら読みました。
    無事に聴けて良かったですね〜

    鮮度は抜群だったけど押し出しがイマイチだったという感じでしょうか。
    2階席は低音とか圧とかが伝わりにくいのでしょうか?
    なんとなくオーディオルームに通じるように感じました。

    音の良いホールを体験したいです。

    • CENYAさん、コメントありがとうございます。

      チケット忘れのことが一番印象的でしたので、そんな感じの日記となってしまいました。でもこの記録が教訓にもなりますね。

      >鮮度は抜群だったけど押し出しがイマイチだったという感じでしょうか。2階席は低音とか圧とかが伝わりにくいのでしょうか?なんとなくオーディオルームに通じるように感じました。

      さて本題の音の話です。
      定性的には、2階席は「音が綺麗」だが、「低音が感じにくい」と言うのはその通りです。今回の場合は特に、下記の定性的な特性もその印象を際立たせたように感じます。
      ・ピアノは演奏者と反対側の方が音が綺麗
      ・コントラバスは、S字孔が向いた方向がよく聴こえる

      「コントラバスは、S字孔が向いた方向がよく聴こえる」件ですが、低音なので指向性が低いので近い方がよく聴こえるのではないかと(最初に自分は)思ったのですが、そうではないんです。低音をよく聴くためには高音が必要。特に弦楽器は倍音が届くことがよく聴く秘訣みたいなものです。

      グランカッサ(大太鼓)も、「合わせシンバル」で、同時に高音を出すことで、力強い低音に感じるんですね。

      聴感上の音の感じ方はとても面白いです。

      CENYAさんが、隅田トリフォニー小ホールで、
      ・ホールの真ん中では「眠い音」だった
      ・ステージの近くに寄ったら「目の覚める音」だった
      体験も、音響がよくないホールだと大抵そう感じると、自分も同じ感覚です。

      ですが、先日にお越しいただいたサルビア音楽ホールでは、ホールの真ん中あたりだと、ステージ近くよりも響きが心地よいサウンドです。

      ◆では、なぜそうなるのか?簡単に書ける内容ではないので感じて、考えてみてください。

      生演奏はオーディオのサウンド作りのヒントの宝庫です。
      特にCENYAさんのように自作派で、自分でサウンドを作る人には必須の学ぶべきことかと思います。計測では現れてこないことだらけの音楽体験。熱心で勉強家のCENYAさんだからこそ、是非お勧めしたいことです。

      • ヒジヤンさん
        こんばんは。

        >グランカッサ(大太鼓)も、「合わせシンバル」で、同時に高音を出すことで、力強い低音に感じるんですね。

        低音の姿を際立たせる「一音目のエッジ」みたいなのがあるとエネルギーがフォーカスされて密度の高い低音(力強い低音)になるのだとイメージしました。

        おっしゃる通りに私は出力段階での音作りをやっていますので、本物を熟知していないと本当に独りよがりの音になってしまいます。汗
        検聴できる耳力を養うためにも生音も聴くようにします!

        • CENYAさん、やってますか?

          CENYA邸では、ウーファー、スコーカー、ツイーターのレベル調整が簡単に出来るので、仮説検証や実音のサウンド調整がいろいろ出来て楽しいですね。

          それでも調整のための指標と言いますか目標が必要なので、生演奏を沢山聴くことが大事かもですね。特にいい音をたっぷりと聴くことですね。

          先ほど書いた日記が、すみだトリフォニー小ホールでの体験のヒントになるかもしれないです。生体験でもオーディオのサウンドづくりでも、いろいろ試されたら意見交換して行きましょうね。

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