自己評価と他者評価 – 回想2(感動再生に向けて)

日記・雑記
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回想の中で、著名なオペラ歌手が開催するホールレッスンでの話が頭に残っています。

 

ホールレッスンの中で語られたこと

<歌い終わった後で感じることは対象によりまちまちである>

 ・歌手は大抵の場合、「上手く歌えた」と思う

 ・お客さんが、「感じることはまちまち」である

 ・歌を学んでいる者に歌心を伝えるのは難しい (悪い面を捉えやすい)

 

まとめるとこのようになるが、現場での印象は強かった。ホールレッスンは入場自由だったため、お客さんも入っていた。参加者の一人が、歌い終わると、お客さんからの拍手を受けて、満面の笑みを浮かべていた。そこに講師からのコメントがきた。

 

「あなた上手く歌えたと思ったでしょうけど、まったく伝わってこなかったわ」

「お客さんが感じたことは様々でしょうが、修行を積んで来た私には伝わってこなかった」

 

ギク、核心を突いた言葉は、自分の胸にもグサリと刺さった。ここまで辛辣に言われたことはないが、歌い終えて「上手く歌えた」と思っても、後で録音を聴くとダメダメと感じることはよくある話だ。上手に歌えたはずなのに拍手が少ない、なんて感じることもしばしばある。

 

特に歌の場合は、自分が聴いている歌声と、他人が聴いている歌声が違うことも大きい。自分に聞える声は、「骨伝導」や「音量が大きく聞えること」、そして「こんな感じに歌おうと言うイメージ」で聴いているからだと思う。「こんな感じに歌おうと言うイメージ」と「実際に歌えていること」とは大きく違うのだ。

 

実際に講師の指導を受けて、歌い直してみると自分に聴こえてくる歌声も大きく変わる。自分に伝わってくる歌心も増した。本番では、講師の指導に留意しながら歌ったところ、アンケートで「情感がよく伝わって来た」との記載があり、終演後に同様な感想ももらえたた。

 

オーディオでもあるあるだと思った。

 

もちろん好みもある。”お客さんが、「感じることはまちまち」である”の部分は好みの要素が大きく表れると感じる。本番のアンケート結果でも、聴く人の好みが大きく表れていると思った。「クラシック好きとポピュラー好き」「柔らか好みとシャープ好み」「大音量派と中音量派」、アンケート結果を見ると書く人の好みが見えてくる。このように考えると、お客さんからは歌い手のことが明け透けに見えているだろうなと思う。

 

「音は人なり」、オーディオをやっているとよく聞く言葉だが、実演も「音は人なり」。回想1の「演奏者の求めること」との関連も深いと感じる。音楽再生について、「どうしたら音楽の心が伝わる再生が出来るのか?」「感動再生」は今年のテーマでもあるので、今一度確認しようと思った。

 

 

「感動再生」のための自戒の念

・音量は大きすぎないか?

・低音や高音を目立たせすぎていないか?

・音質をシャープにし過ぎていないか?

・高い音から低い音まで一定の音色となっているか?

・滑らかに音を繋げているか?

コメント ※編集/削除は管理者のみ

  1. ヒジヤンさん、奥の深いネタですね。

    クラシックの歌い手さんは皆さん素晴らしいと思います。
    わたしなんかヘッドホンモニターしてないと音程ズレまくりですから(笑)

    「感動再生」のための自戒の念、ですが正に「フルレンジスピーカーの世界にいらっしゃい」みたいな感じでしょうか。

    https://www.youtube.com/watch?v=oeRlXgiM9Zo

    • spcjpnorgさん、コメントありがとうございます。

      リンク先のYouTubeはよく鳴っていますし、よく録れていますね。
      こういうボーカル音源で声をメインに聴くならフルレンジが理想です。よく出来たフルレンジスピーカーは、「高い音から低い音まで一定の音色となっているか?」「滑らかに音を繋げているか?」などに優位ですね。

      ただ、自分のように「フルオーケストラをコンサートホールで聴くように鳴らしたい」との思いだと、フルレンジでは役不足なんですよね。と言いますか、自分はオーディオ性能を誇示する様な音を求めるところから入りました。いわゆる「スゲー音」好みでした。

      ・爆音再生
      ・低音:ドス~ン、高域:シャーン ・・・みたいな(笑)

      ですが、音楽の感動という視点からは、爆音も目立つ低音や高音も邪魔になるんですね。別な面に気が取られて、音楽の旨みに浸れなくなります。そこで自戒の念というわけです(笑)

      オーディオ再生で求めるものは下記でしょうか。
      ①音程に係わらず整った質感
      ②滑らかに伸びた帯域
      ③部屋中を音で埋め尽くす臨場感
      ④目の前にあるような実在感

      これらを「フルレンジ」「マルチウェイ」「マルチスピーカー」の区分で有利/不利を当てはめてみると下記でよいかな?
      ①音程に係わらず整った質感・・・フルレンジ有利
      ②滑らかに伸びた帯域・・・マルチウェイ、マルチスピーカー有利
      ③部屋中を音で埋め尽くす臨場感・・・マルチスピーカー有利
      ④目の前にあるような実在感・・・フルレンジ、マルチウェイ有利

      いづれも「帯に短し、たすきに長し」ですね。「スゲー音」を一番出しやすいのは「マルチスピーカー」ですかね(笑)

  2. ヒジヤンさん、最近はチャンデバもリーズナブルで高性能になってきたのでマルチウェイ、マルチアンプの方も増えてきましたね。
    現実的なところでバス、ミッドバス、ミッド、ハイの4WAYマルチアンプでしょうか。
    ミッドバス、ミッド、ハイをコンパクトにまとめればフルレンジ的な良さも引き出せますし、可能性は無限大と思います。

  3. spcjpnorgさん、生を聴いて来ました。

    今はオーディオで同じ曲を聴き比べているのですが、生の鮮度は圧倒的ですね。今日はオーケストラとピアノの真上から聴いたので尚更です。

    ご提案のチャンデバのマルチアンプ方式ですが、ネットワーク方式に比べて鮮度の面からは優位だと思うのですが、音楽性はネットワーク+シングルアンプかな?と言うか、チャンデバのマルチアンプ方式で音楽性豊に鳴らしている事例を知らないです。

    今は生にオーディオでどのように戦おうかと考えていたのですが、音楽性しかないかなと。どんな名演でも即座に取り出し、自由な時間に自由なスタイルで聴けること。活路をここに見出そうかと(笑)

    それでも、生の鮮度を味わってしまうと、これを求めたくなってしまう自分もいます。「活き造り」を食べたら「冷凍モノ」が食べられなくなるのと同じですね。

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