音楽三昧の翌日は冒険の日となりました。トム・クルーズ主演の映画 ”ミッション:インポッシブル/デッドレコニング”を観て、「行ってみたい!」と思っていた「ゼンメリング」に行ったからです。この遠征は容易ではなく、現地在住の人もウィーンのコミュニティでも知る人が少ない場所だったため冒険体験となりました。
2024年3月4日 天気:晴れ
5時:起床・・・朝食はスーパーに買い出し
8時:ゼンメリングに向かうため、ウィーン中央駅に向う
10時半:ゼンメリングに到着
14時:ゼンメリングからウィーンに戻る
15時半:ウィーンに到着
18時半:コンツェルトハウス Musica Juventutisコンサート
21時:アパートに戻る
目覚めたのは朝の5時でした。異国の辺境の地である「ゼンメリング」に向うことへの緊張感からの目覚めだったのかもしれません。ガイドブックにも載っていない場所なので、秘境好きのツーリストのブログ頼りなのです。
朝一番はスーパーへの買い出しに行きました。7時の開店を待って、パンとサラダと飲み物、そして調味料などの調達です。アパートメントなので、キッチンや食器も揃っているのは便利でした。
ゼンメリングは何もない場所なので、サンドイッチを持って向かいます。ウィーン中央駅からグラーツ行きの電車に乗って途中で降りるのですが、ここで問題が起きました。3か月前に予約したOBB(オーストリア連邦鉄道)の予約書を確認すると、ゼンメリング駅に到着してからバスに乗り換える案内となっています。自分が頼りにしているブログでは、ゼンメリングから各駅停車でひとつ駅を戻ると書いてあり、予約書にあるバスの到着駅と、ブログに書いてある到着駅の名前が違うのです・・・。「どうしたらよいのだろう?」と考え込んでいる間にゼンメリング駅に到着しました。
ゼンメリング駅には諸々の案内図が掲載されていましたが、見てもよくわかりませんでしたし、無人駅なので尋ねる人もいませんでした。
自分にはツーリストのブログにある道案内頼りでしたので、ブログに書いてある起点に行かないことには先行きが見えないのです。困ってしまい、頼りになると思えた現地在住の人に電話をしました。しかし、「調べてみたけれど、わからない」とのことです。ブログにある起点に行くために考えられる選択肢は三つで、どの道を選ぶかの決断に迫られます。
1)このままゼンメリング駅で2時間待って、鈍行に乗り隣駅のWolfsbergkogel(ヴォルフスベルクコーゲル)に向かう案・・・だが2時間待つのは時間のムダ
2)OBBの案内通りにバスに乗って、降車駅からヴォルフスベルクコーゲルまで歩く案・・・バスが向かう先が不明なのでリスクが大きい
3)ゼンメリング駅からヴォルフスベルクコーゲルまで歩いて向かう案・・・地図があるので歩いても1時間以内と思われた
旅先でしたので、歩く労力さえかければ迷子となるリスクも時間の浪費も回避出来る、歩いて向かう案を選択しました。
地図に示された小道を進んで、ヴォルフスベルクコーゲル駅経由で目的地の「20シリングビュー」に向かいます。目指すポイントは、昔の20シリング札に使われていた風景が見える場所です。
歩いて行くと、洒落たホテルも立っていました。以前はウィーンからの避暑地であったことが伺われます。
その先は車道に出ました。たぶんこの道にバスが通っているんだろうと思います。駅からは登った先の高い位置でしたので、景色がパノラマに広がっていました。
写真を見ていて気が付いたのですが、右下に見える黄色の看板が示している山道が、散策のための山道だと思います。
さらに進んでいくと黄色の看板があり、「20シリングビューは矢印の方向」との道案内が出てきました。不安を抱えながら歩いていたので、この標識に元気づけられて道しるべの示す方向に進みました。
どんどんと山道を進んでいくと、ついに「20シリングビュー」の標識が出ました。「やった!」と思い、感動ひとしおです。あの映画で見た風景が目の前に広がってきました。もう思い残すことはありません。
ここでウィーンから手持ちにしてきたサンドイッチでお昼にしました。
食べ終わると、「この先はどうしよう」という思いがわいてきます。「ここまで来た道を引き返すか」「先に進んで、次なる目標に向かうか」、ウィーンには、17時までに戻れば夜のコンサートには間に合います。まだ昼前の時間でしたので、行けるところまでは進むことに決めました。先に進んでいくと、「20シリングビュー展望台」の看板が見えました。どうやら、こちらが本来の20シリングビューポイントだったようです。先のポイントは、お昼ご飯を食べていても誰も来なかったのですが、展望台へは数名の人がやってきました。引き返さなくてよかったとの思いがわいてきます。
やはりこちらからの20シリングビューが絶景でした。ミッションインポッシブルのイーサンになった気分でWeinzettelwandの石灰岩の断崖絶壁を眺めました。
本懐がとげられましたので、山道を進みながらゼンメリング駅に戻ることにしました。まだまだ散策したい場所はあったのですが、「コンサートの時間に間に合わくなる」「間に合っても疲れて寝てしまう」などが思い浮かんだからです。進んでいくと、「ドッペルライター展望台」を示す標識が出てきました。地図を見ると、こちらの方向で正解なようです。ちょうど昼過ぎの時間でしたので真っ青な空が広がっていました。
展望台に上ってみると、これまで見てきた石灰岩の断崖絶壁に加えて、パノラマに展望が広がります。
この先はゼンメリング駅に戻るだけですが、この先が大変でした。道しるべ通りに進んだつもりでも道が途切れてしまったり、先に進んでも駅に到着できそうにない場所に迷い込んだりで右往左往とします。出会わすハイカーに質問してもわからないものですね。「こちらだからついてこい」という言葉を信じてついていくと、元来た場所に戻ってしまったりして、何を信じてよいのかわかりません。ヘトヘトになりながら歩いていくと鉄道の橋の下に出ましたので、ようやく安心しました。
1時間程度の道のりを2時間近くかけて歩き、ゼンメリング駅に到着した時は力が抜けてしまいました。途中で迷いながら進んでいる現地のハイカーの後を追いながら進んだのですが、この人の足の速いことといったらありません。同じペースで歩きたいのですが、どんどん離されてしまうのです。駅に到着して顔を合わせたときには、お互いにニッコリとしたのが印象的でした。
ウィーンに到着したときには、気力も体力も使い果たしてヘトヘトでした。一度アパートに帰って休んでからコンサートに向かいます。歩き詰めでお腹がすいたので、ホールに向かう途中で早めの夕食としました。ウィーン料理にも飽きて来たので日本食とします。これで10ユーロ(約1600円)、ウィーン工科大学の近くのお店なので比較的リーズナブルと感じました。
そして、4日目最後のイベントはコンツェルトハウスでのコンサートです。ゼンメリングを歩き回ったので足は棒のようになっていましたが、アパートで休んだので気力だけは充実させてホールに入りました。
座席位置は最前列のセンターを取っていたのですが、席まで行ってビックリです。最前列はステージの目の前でした。座るとピアノの底板が見えるではないですか。これは近すぎると思いましたが、座席位置は決まっていますので悔やんでもどうにもなりません。注文するときの予約サイトの表示は詐欺に近いですね(苦笑)
<教訓:座席位置の予約は、サイトの絵だけでなく写真でもステージとの相対関係を確認すること>
それでも、コンサートは楽しかったです。ソプラノとサックス・ソロとファゴット・アンサンブルの若手奏者の3部構成だったのですが、若くて美しいソプラノが緊張しながら歌う姿を真近に臆することなく聴ける(見れる)機会は、そうそうにはないですね。ファゴット・アンサンブルも音が上に出るので、こんなに近くで聴いても問題なかったです。(コンツエルトハウスの音響と感想は別日記でまとめます)
4日目はウィーンから離れての小旅行と夜のコンサートでした。それにしてもゼンメリングは刺激的でした。地理を知る人なら容易なのでしょうが、異国から来て会話もままならない自分にとってはハラハラドキドキの冒険旅行だったと思います。それでも、トム・クルーズになった気分で回った体験は忘れえぬ思い出になりましたし、冬期のオーストリアでこんなに天気のよい日に向えたことは本当にラッキーでした。
コメント ※編集/削除は管理者のみ
いつも遅レスになります。今回はトム・クルーズばり?の大移動お疲れ様でした。
地図や写真が多いので現地を疑似体験できました。(以前、海外旅行帰りの知り合いから夕食に招かれ無理やり見せられたブレブレ自己満動画の1時間は大変でした。そういう意味で写真だと見る側の意思で選別できます。)
去年、ヒジヤンさまのレビューを拝見し「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」を映画館で観ました。残念ながら東北唯一のIMAXシアターでの上映期間は終わってしまい夜勤明けで待ち時間が少なかったイオンシネマに初めて行って見ました。
比較的大きなシアターで致命的な欠点はないのですが完全に真っ暗じゃなかったり、前席との段差が少なかったり、上映音量も控えめで全ての点で微妙にイマイチ・・経営者側のコスパ最優先主義がバレバレでIMAXシアターのようなプレミアム感は皆無。場合によっては自宅シアターのほうが良いかなと思うほど・・(汗)
それはともかく現役?バイク乗りとして劇中でイーサン・ホークが使うバイクが気になりHONDAのモトクロッサーCRFシリーズが使われているのは直ぐ分かりました。
ネット検索するとCRF250R(84.7万)とCRF450R(103.4万)が湯水のように?使われていました。1台100万前後の競技用バイクが例のジャンプシーン撮影で何台もダメになっていますが全世界興行収入が約900億円とのことから制作側からすれば安いものでしょう。
本作は既に4K-UHDもリリースされていますが、後編もありますので、いずれ前・後編セットで4K-UHDを買い求めるかもしれません。(笑)
たかけんさん、おはようございます。コメントをありがとうございます。
>海外旅行帰りの知り合いから夕食に招かれ無理やり見せられたブレブレ自己満動画の1時間は大変でした。
ぷっ、それはどちらの気持ちもわかります。
行った人は語りたくて仕方がないのだが、聞かされる方は興味のわくことでなければ雑音になりますね。
たかけんさんも、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」を映画館で観られたのですね。自分も映画で観たのがきっかけだったのですが、生に触れて、帰りの飛行機の中でも、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」を観ていました。今度は、観光の思い出を映画で思い出す感覚でした。
「再生」という言葉の深さを感じますね。