眠り猫さんにお越しいただいたのは、これで2回目です。クラシック音楽好きなところで趣向はつながっているのですが、オーディオサウンドの好みには違いがあると感じたのが初オフ会の時でした。一番の違いは、大音量派と小音量派の違いです。そして、音派と演奏派の違いでした。ですが互いに生演奏が基準となっているので、違いを楽しみながら、有益な対話が可能です。共通した基準を持つことの有効性を感じたオフ会だった気がします。
今回は第2回目ということもあって、初回で感じたことをベースにしてプログラムを決めていました。
・音源はクラシック音楽のみとすること
・前半は前回の振り返りを実施し、後半を新たな音源とすること
このような観点から、下記の順番に実施しました。
第1ステージ:ヒストリカル音源
第2ステージ:リベンジ音源
第3ステージ:初試聴音源
番外編として、眠り猫さんから、「自身がコンサートを聴いた”N響 千人交響曲Live CD”を聴いてみたい」との要望を受けましたので、MTT&サンフランシスコ響盤との比較も実施しました。
結果の感想はジャンル分けはせずに、当日に聴いた音源をまとめて印象順に並べてもらった結果です。
第1ステージ:ヒストリカル音源
取り上げた理由は、前回に「ヒストリカル音源はヒジ宅で最も相性がよくないと思われる」と言われたからです。「何でも鳴るようにしたい」という目標を置く中で、新たな課題をもらった気がしたのです。ですが、実際にヒストリカル音源は殆ど所有していなかったので、手持ちの中からヴァイオリン・ソナタとフルト・ヴェングラーをピックアップしました。
①ヌヴー&ハシッド / The First Recordings Testamentレーベル 1939年録音
この中からヌヴー2曲とハシッド1曲を選択しました。自分でも、「ヴァイオリンとピアノのような小編成は古い録音でもまずまず聴ける」「加えて、古い録音ゆえの郷愁感を感じて新しい録音にないよさもある」と思っていたのですが、眠り猫さんの日記から引用すると、「私自身は最新録音だろうとヒストリカル録音だろうと、結局のところ聴きたいのは演奏そのものなので、あまりこだわりはありません。」とのことです。自分は古い音源は、「歪みやSN面が致命的」と感じていますし、「情報量の面も有意差が大きい」と感じていまして、古い音源の良さはあくまで「郷愁感を感じる点」なのです。やはり捉え方に違いがありますね。
その他に感じたのは、ライナーノーツを見て、「ヌヴーは19歳の時に、コンクールで27歳のオイストラフを負かせているんですね。おしいひとを亡くしました・・・」と言われていたことです。視点が違います。自分の所有音源ですが、そんな面を確認したことはありませんでした。ですが、ヒストリカル音源なのだから、ヒストリーを知りたくなるのは自然なことですね。
②フルトヴェングラー / ブラームス:交響曲第1番の中から、ハンガリー舞曲No1,3 EMIミュージックジャパン SACD 1949年録音
前回にフルトヴェングラーの話をしたので、手持ちにしていたDiscからピックアップしました。ですが、さすがに大曲のブラームス交響曲第1番は気が引けて、ハンガリー舞曲を選んでいます。それでも、音数の多いフルオケの古い録音は厳しいですね。自分でもいいと思っていませんでしたので、「蓄音機を聴いているようかもしれないですが・・・」と言いながら再生ボタンを押した記憶があります。猫さんの感想からピックアップすると、「フルトヴェングラーについては、単に演奏が全般的にそれほど好みではない、ということもあります。」「全体としては茫洋としており、ホールの最後尾のドアを閉め、そのドアを隔てた向こう側から聴いているようなイメージでした。」要するに演奏も音も?なので、低評価になるのは当然ですね。猫さんもオーディオマニアなんだなと、少し安心しました。
ヒストリカル音源の部で面白かったと言いますか、ガクッと来たのが、時間をかけて追い込んだ(つもりの)ヒストリカル音源用セッティングです。この年代の録音はモノラル音源となりますので、広がりを持たせたい、そしてモノラルでも身体を包み込むような音場感を得たいと試みたのですが・・・
最後にビフォー/アフターの聴き比べをしたころ、猫さんからは「違いが判りません。降参です。」と言われてしまいました。やはり聴いているところ(アンテナが立っているところ)が違うんですね。音派のヒジと演奏派の眠り猫の違いを実感していました。
第2ステージ:リベンジ音源(ヒストリカル用から通常セッティングに戻しての試聴)
初回のオフ会時の感想で評価が低く、どうも納得がいかなかった音源から、「何が気に入らなかったのかを具体的に確かめたい」と思ってのピックアップです。
③イザベル・ファウスト/ブラームス ヴァイオリン協奏曲 Harmonia Mundi Fr CD
前回は第3楽章から聴き始めたのが問題だったのでは?と思いましたので、今回は第1楽章からです。聴き始めると、「悪くないですね」との話になり、第3楽章に飛ぶことになりました。ここでも「悪くないですね」とのコメントです。
眠り猫:「何を変えましたか?」
ヒジ:「セッティングの変更と音響的な面を少しだけ手を入れました」
眠り猫:「(そんなことで変わるかな?という顔つきで)そうですか、第1楽章から第3楽章の流れで聴くと、徐々に熱量が上がって来る感じで悪くないです。」
コメント内容も演奏派の眠り猫さんらしいと感じました。加えて、音の変化に対しては猫さんの日記から抜粋すると以下です。「今回の調整によってヒジヤン邸サウンドの再生音で一番影響があったのは弦(特にヴァイオリン)なのではないでしょうか?たぶんヴァイオリンの録音をメインで調整したのでは?」
自分としては特にヴァイオリンをメインにしたわけではないのですが、一番聴く楽器ですので、知らず知らずにそのようになっていたのかもしれません。
④MTT&サンフランシスコ響 / マーラー交響曲第5番 SFS Media SACD
マーラー交響曲第5番は、自分が長年オーディオ再生で取り組んできた曲だったため、初回の感想に納得がいきませんでした。この音源でも、ブラームスのヴァイオリン協奏曲と同様に第1楽章から第5楽章につなげて聴いてみます。「悪くないですね」「前回に対して、ヒジヤン邸の音に耳が慣れたのかもしれないです」・・・・・・ただこちらはブラームスほどの変化は感じられなかったようです。猫さんの日記からの抜粋すると、「前述のヴァイオリン協奏曲はその調整が全てプラスに働いた一方、マーラーは散りばめられた様々な楽器の音と幅広い音域、強弱の対比がある意味「売り」の曲なので、ブラームスほどの大きな変化は出なかったかな、と思います。」「第1楽章が私のアンテナに反応しないのは演奏の差が影響しているのでは、とも思いました。」とのことでした。
具体的には長くなるので割愛しますが、自分と猫さんで感想が異なる点を深堀していくと、やはり音派のヒジと演奏派の猫さんに行きつきます。もちろん一致する点も多々ありました。ですが、この一致/不一致を考えることが有益なのです。不一致点は、新たな切り口を認識し、「そういう視点もあるな」と思い、歩み寄りが始まる。音量の件は特にわかり易く、自分は猫さん音量で聴いてみて、「小音量もいいな」と感じて今回の音量決めをしています。眠り猫さんはヒジの音量に合わせて自宅で耳を鍛えてこられたそうです。そんな話をしながら、お互いに笑みを浮かべていました。そして、後半ではなぜ好みの音量が変わるのか?という話にまで発展しました。
(初試聴音源タイムにつづく)
<参考:眠り猫さんの日記>
コメント ※編集/削除は管理者のみ
ヒジヤンさん、こんばんは。
さっそくのUPありがとうございます。
こちらも今しがたようやく「その5」で〆ました。年内に書き終わって良かった・・・。
自分の書いたものと対比しながらゆっくり読ませていただきます。
眠り猫さん、おはようございます。
その4からその5は速かったですね。「今年のうちに・・・」が思いでしたでしょうか。
今日はお互いに別な場所でのジルベスターコンサートですね。これもオフ会での会話の中からです。
来年もよろしくお願いいたします。
ヒジヤンさん
今年のうちに、でなんとか〆まで書き上げました(笑)
実は先週からずっと風邪気味で、昨日今日のコンサートは早めに諦めてチケットを放出しました。それで時間が余ったのも書き上げられた要因です。
無理に外出しなかったのは正解だったようで、このまま元気に年始を迎えられそうです。
来年もよろしくお願いいたします!
眠り猫さん
あけましておめでとうございます。
体調はよくなりましたでしょうか。コンサートを諦められたのは残念ですが、体調第1ですね。自分は予定通りにジルベスターを楽しむことが出来ました。
今年もよろしくお願いいたします。