Dirac Live ART の衝撃 @ Auro3D 邸

日記・雑記
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最初におことわりさせていただきますが、アイキャッチ画像はAuro3D邸で、Kawausoさんが撮られたものを使わせていただきました。あまりにもきれいに撮られていたので… 著作権を侵害しています。Kawausoさんゴメンナサイ。支障あれば差し替えます。

今回Auro3D邸に訪問したのは久しぶりで前回との違いはいろいろありますが、一つはサラウンドSPの駆動条件が前方のLCRと完全に同一化されたことです。Storm AudioのAVプリのch数増加によりサラウンドにも位相整合のためのK&Kフィルターをチャンデバで構成できるようになりLCRと同条件になりました。これに伴いアンプの構成も変更になっていてAuro3Dさんによるとこの効果も大きかったようです。

5ch統一効果はチェック用のグルグル音源(ピンクノイズがリスナーの周りを1周する音源)で音の移動のスムースさで確認できました。

ここまでは予想されたとおりだったのですが、もう一つの目玉はDirac Live の新技術ARTが導入されたこと。

Dirac Live は大学で数学、物理を学習された方はご存じのDiracのデルタ関数由来の名前の通り、インパルス波形を整えることでスピーカーの位相補正を行うソフト。従来のAVアンプに使われていたヴォイシング・イコライザーとは似て非なるものです。

マルチchの場合、どうしても異なるSPを組み合わせて使うことが多いので各SP間で全帯域の位相を整合することが重要ですが、それを解決できるのが、Dirac Liveです。

位相整合の効果は実はステレオでも大きな音質改善が得られることを私自身は経験しています。ウーファとスコーカーの位相が逆になっているSPや中域に大型のホーンを使っているSPでは帯域間で位相、タイムアライメントが合っていないのでそれによる音質への悪影響が生じます。B&Wみたいな位相整合に注力しているメーカーでもネットワーク回路の制約などによって理想的にはできていないことが、ウーファ、スコーカー、トゥイータの位置関係から見てとれます。内臓のネットワーク回路を使用する宿命と言えるかもしれません。

というわけでDirac Liveはマルチch再生のみならずステレオ再生でも有効なSPの位相整合を行える強力な武器なのですが、今までは室内音響の補正まではできていなかったようです。

今回Auro3Dさんが新たに導入したDirac Liveのオプション機能ARTはActive Room Treatmentの略で150Hz以下での壁からの反射波に対して改善を図るもので一つのSPから派生した反射波を他のSPで迎撃して打ち消すみたいなことのようです。

ちょっと前振りが長すぎてもう読むのが嫌になっちゃったかもしれませんが、この記事の主題はここからです。

Auro3DさんがARTを導入したのは私の訪問の直前で稼働してからまだ数日しかたっていなかったようなのですが…

その効果は私にとっては衝撃的でした。(笑)

Auro3Dさんからは技術的な解説は以下のURL

を見てと言われていたものの、じっくり見る時間はなく、ARTの目指すところ、考え方を知っただけの状態での訪問でした。それとAuro3Dさんが事前にご自身での感想をあまり語らなかったので、ドキドキ感のある試聴になりました。

でもAuro3D邸ではお部屋の空間が大きく定在波の悪影響はあまり感じていなかったのでARTの効果はそれほど大きなものにはならないのではないかとも思っていたのです。見事に裏切られました。

変化はAuro3Dさんがご自身のblogで書かれている通りで、低域の締まり感、解像度が気持ちよく感じられました。原田英代の教会録音のピアノだったと思いますが、ほぼ高音域だけの部分でもARTアリの方が音がクリヤーに感じられたのには驚きでした。

私にはほぼどの音源でも好印象でしたが、オーケストラなどではARTなしでの低域の量感豊かな状態を好まれる方がいるかもしれないと思いました。

ART効果で私にとって一番印象が良かったのがステレオで聴いたアリス・サラ・オットのスキャンダル

と高橋美智子のコントラバスマリンバ

でした。

スキャンダルではTr1の途中から始まるサラオットの床踏み鳴らし音の締まり方が秀逸。

実はARTがステレオ再生でも効いているというのはAuro3Dさんもわかっていなかったようです。たまたま私がスキャンダルをリクエストして聴いていたらAuro3DさんがPC上に表示されるで各chの再生レベルモニターを見てステレオ以外のSPにも出力されていると気付いたのです。ビックリされてました。それでステレオ再生でもARTのON/OFFを比較して得られたのが上記の結果。

ステレオ再生時においてもストームAVプリに設定されている他ch/SPを使って低域の反射音を打ち消している(と思われる)のにはびっくりしたし面白かったです。

ただ、帰宅後自宅でスキャンダルを聴いたらウチでの床踏み鳴らし音はAuro3D邸でののART使用に近いことがわかりました。拙宅は石井式の部屋でこれは原理的に低域から高域まで吸音率が同じです。つまり普通の部屋に比べて低域がしっかり吸音されていることが作用しているかもしれません。

やはりARTは低域の吸音効果と考えるべきなのか?まだ良くわからないことが多いです。

低域の吸音は難しいです。パネルを貼るくらいの方法では無理。部屋を作るときから配慮するか大規模なリフォームをするしか方法がなさそうです。リフォーム代に比べればストームのAVプリとDirac Live + ARTの方が費用的に安いかもしれませんが、ステレオ派の人が音響対策のためにマルチchシステムを揃えるのはハードル高すぎかもしれませんね。(笑)

こんな体験をさせていただいたAuro3Dさんに感謝しています。ARTに興味のある方はAuro3D邸での体験をお勧めします。

コメント ※編集/削除は管理者のみ

  1. K&Kさん、こんばんは

    未だに解説ビデオは見ておりませんが、ARTは凄いソフトのようですね!0.1秒前後の残響を力業でキャンセルしようとするなんて、驚きです。ARTを使うと、多少低音が瘦せるようですが、それは残響を消すのだから当たり前ではないかと思いました。つまり、ARTをONにするときは、それ用のターゲットカーブを用いた補正にしておくべきではないかということです。まだ出たばかりなので、使い方のポイントはこれから分かってくるのかもしれませんね。STORM以外のAVプリでも使えるようになると良いのですが、どうなることか?

    SCANDALの足を踏み鳴らす音は、以前教えて頂いてから、SWを設定するときには必ず聞いています。

    9月に伊豆邸を訪問するチャンスがあるので、その時ARTが如何なるものなのか体験させて頂けると思います。

    • Tomyさん、

      コメントありがとうございます。
      ART ON では量感が減るという感じの音源はありますが、私にはそれが本来の姿に思えたので低域を持ち上げたいとは思いませんでした。
      この辺は個人差がありそうです。
      ぜひ体験してみてください。Tomyさんの感想が楽しみです。

  2. K&Kさん

    この度は拙宅のSystem Upの検証にお呼び立てしてしまい、恐縮です。今のISP MK2を導入した時もオフ会で最初に聴いていただいたのはK&Kさんでした。もう2年以上も前の事ですね。

    ここのサイトは「Auro-3D友の会」のブログより、より多様な方々がご覧になる可能性があるので、「前振り」のさらにまた前段(笑)があったほうが一般の方にもわかりやすいと思いますので、すこし、補足しますね。

    今、このDirac Liveという音響補正ソフトが、AVアンプの世界でデノマラの普及モデルやOnkyo-Pioneerの新機種にも採用されたことで、にわかに注目を集めており『価格コム』というサイトでも何度か質問を受けたことがあります。

    今回、私のStormのAVプリに導入されたDirac LiveのARTは、2010年にプロ用のソフトとして発売された、初代Dirac Live Room Correction(DLRC)をベースとしております。Stormは2017年にAuro-3D用のDSPを内蔵した民生用のAVプリを世界のトップランナーの一つとして発売しておりますが、その時に同時に採用した音響補正ソフトがこのDLRCで、これも民間用のAV機器に搭載された初めてのケースだったそうです。Stormは設立当初からDirac Liveと共同開発協力をしているため、Dirac Liveの最先端の技術は、民生用では常にStormのAVプリに最初に搭載されてきています。

    2010 Dirac Live Room Correction(全SPの位相補正) Strom Audio設立
    2017 Storm ISP Elite (MK1)=DLRC
    2019 Dirac Live Bass Control(複数SWを含めた補正)
    2020 Storm ISP MK2=DLBC
    2022 Storm ISP MK3=ART(2023)
    2023 Dirac Live ART(低域の反射・定在波の補正)

    現状、デノマラでは、DLRCまで使用許可が下りている段階であることはご存じのことと思います。

    さて、ここで私Auro3Dが強調したいのは(笑)、Storm社がAuro-3Dの開発会社の派生・関連企業であるため、協力会社である<Dirac Liveの新製品の開発には、Auro-3Dがターゲットソースとして使われている>ということです。つまり、世の中には様々な音響補正ソフトがありますが、このような開発経緯から明らかなように、Auro-3Dに最も適したソフトは、Dirac Liveなのです(詳しくは下記を参照)。

    http://koutarou.way-nifty.com/auro3d/2023/03/post-c7a877.html

    ゆえに、2chソフトでの効果も確かにすごかったですが、このARTが真価を発揮するのは、Auro-3D(Matic)再生に於いてである、とお伝えしたかった(笑)。これは実際に私の耳で確かめて伊豆から戻ってきたところです。K&Kさんはご自宅でAuro-3D再生環境がないのでわかりにくかったかもしれませんが、普段、Auro-3Dを聴きなれている人は、より、ARTの威力に気が付かれると思います。

    最後にもう一言(笑)。

    >ARTに興味のある方はAuro3D邸での体験をお勧めします。

    うーん、拙宅はAVショップではないので(笑=MK3が置いてある店ならARTも導入しているはず。インストールしていないお店はこの機器・ソフトには無知であることを示しているので、アフターサービスを考えるとそこでは買わない方がいいです=汗)。私がオフ会を拙宅で開催しているのは、「友の会」の趣旨である、「Auro-3D普及のため」なので、ふらっと来て黙って帰っていく(笑)方はお断りですねぇ。K&KさんやKawausoさんのような「発信できる」方なら、ご連絡いただければ歓迎しますよ(爆)。

    • Auro3Dさん、

      今回もお世話になりました。ありがとうございました。大変楽しいオフ会でした。

      Dirac Liveのヒストリー情報ありがとうございました。

      ≻Auro-3Dに最も適したソフトは、Dirac Liveなのです
      → 理解しました。

      ≻このARTが真価を発揮するのは、Auro-3D(Matic)再生に於いてである、とお伝えしたかった(笑)。
      → お気持ちはわかります。一番詳しいAuro3Dさんがおっしゃるのですからそうなのだと思います。

      ≻K&Kさんはご自宅でAuro-3D再生環境がないのでわかりにくかったかもしれませんが、普段、Auro-3Dを聴きなれている人は、より、ARTの威力に気が付かれると思います。
      → これに関しては私はステレオだけでなくARTの威力に驚きましたが、Auro-3Dを聴き慣れているKawausoさんはそうでもなかったようなのでちょっと違うのではと思います。(笑)まあ統計学的にはサンプル数が小さすぎて有意なデータとは言えませんが。
      人によるのではと思うのですけれど…

      ≻>ARTに興味のある方はAuro3D邸での体験をお勧めします。
      → これは私の失言でした。勝手なことを言って申し訳ありませんでした。
        でもMK3が置いてあるショップってあるんでしょうか?
        現時点でARTが体験できる場所ってAuro3D邸くらいしかないのでは?
        いずれにしてもAuro3DさんがOKを出さないとAuro3D邸でのART体験はできないことは当然で、だれでもというわけにはいかないというお気持ちは理解しております。
        以後発言に気を付けます。(^^;)  

      • 拝復(笑)

        またずいぶん夜更かししましたね!(爆) ご自愛くださいな(笑)

        さて、

        >Auro-3Dを聴き慣れているKawausoさんはそうでもなかったようなのでちょっと違うのではと思います

        Kawausoさんは、まだAuro-3DのNativeソフトをあまりお持ちではない(そっち系の音楽は趣味ではない?)ように拝見しましたが、私にはとっておきの「ズル」がありまして(汗)。入交氏プロデュースの<本物の>13ch Auro-3Dソフトのことです(これを毎日のように「聴きなれている」のは日本でも数人かと…)。これへのARTの効果をイメージして書いてしまいましたので、ちょっとインチキですかね(笑)

        >現時点でARTが体験できる場所ってAuro3D邸くらいしかないのでは?

        そうかもしれませんが、まあ、私は杜子春のような独占・意地悪をしようと思っているわけではないんですよ(汗)。ただ、まだ私がPhilewebに入れていただいたばかりの「オフ会」初心者の頃に、あるゲストの方が持ち込みの2chや5chマルチの音源ばかりを聴いて、こちらが聴いていただきたいAuro-3Dをほとんど聴かずにお帰りになったことがありまして(汗)。

        私はGive にはTakeが表裏にあるべきという人生哲学(笑)を持っているので、「朝から部屋の掃除をして、寿司までご馳走して=爆、こちらは何のTakeがあったのか?」と。古い親友となら会って一緒に飯を食って昔話をするだけでうれしいですが、「オフ会」は、オーディオつながりです。

        それ以来、お招きをするのは「私が心血を注いでいるAuro-3Dに関心のある人限定」にしておりまして、「2chでARTの効果を確かめたい」という方はショップへどうぞ、ということです(汗)。

        • 訂正です(汗)

          『杜子春』と『蜘蛛の糸』をごっちゃにしていました。

          芥川さん、ごめんなさい(笑)。

        • Auro3Dさん、

          Auro3DさんのAuro-3Dに対する気持ちはわかりますが、ARTはステレオや他のマルチchフォーマットでも効果的なわけでユーザーの広がりがDirac Live、Stormの拡販に繋がれば今後の開発資金投入やコストリダクションによって回りまわってAuro-3Dのユーザーも恩恵を受けるのではと思ったりします。

          いずれにしてもこれはAuro3Dさんが決定権を持つ事項なのでこれ以上のコメントは控えます。

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