Amazon Music UnlimitedのWindows再生版アプリは未だに WASAPI排他モードに対応していませんが少しの手間でビットパーフェクトを達成できるように(バージョン 7.11.3.16 からWindowsのPeakLimitterを回避)なりまして現在もそれは変わらないです。
とはいえ、WiiMなど安価で簡単に デジタルでビットパーフェクト出力可能な機器が揃ってきましたので、Windows版アプリの問題は今となってはそれほど問題ではありません。
今日は、
音楽ソフトについての話をしたいと思います。
私は nightwishを始めとして、洋楽メインな人間なのですが・・・モロに LoudnessWar(ラウドネスウォー)の被害に遭っています。何故かって?日本正規販売CDがそもそも音圧を上げな為です。海外ガチ勢はDVD版がLoudnessWarになっているとか波形の山が潰れて四角形になっている事を “PanCake” と揶揄して文句を言っています。Ref. Tracks flattened like a pancake
ガチ勢のYoutube動画を一つ紹介してみます。
(英語でも心配しないで下さい。字幕をONにして日本語にすれば大体なにを言っているか分かります。)
被害の1例として nightwish の 名アルバム「Once」。
こちらから独断と偏見で 03- Track の 「Nemo」を 取りあげます。
先ずはリッピングします。EACのセキュアモードで、回復不能なC2エラーが発生したら絶対にリッピング出来ない設定でリッピングを行います。
次にAmazon Musicで「Nemo」を再生して、これをデジタル録音します。
RME社の BabyFace Pro FS の 光デジタル出力をそのまま光デジタル入力に入れて録音しています。ループバック接続というものです。
さぁ、比較してみましょう!! WaveSpectraでお馴染みのEfuさんのソフトからWaveCompareです。
1205万サンプルのほぼ全てが不一致です。
WinMergeでも見てみましょうか。黄色が不一致点です。
CDの「Nemo」と、AmazonMusicの「Nemo」を波形で比較してみましょう。
少しの音圧・音量上げですね・・・。これでは一致しません。
上2段が CDのそれぞれ左右トラック,下2段がAmazonMusictの左右トラックです。
慣れていない人はポイントが分からないと思うので、黄色い四角枠を上記の画像に重ねてみます。画像をクリックして大きくしてご覧ください。こうすると、音量上げではなくて、音圧上げの副作用が見えてくるはず。(音圧上げは小さい音を大きくする → 結果として抑揚が無くなる感じ?)
この事から、Amazonの方がピーク波形が潰れていないで本来の波形を維持していると言えるでしょう。(いったんクリップしたり潰れた波形は基本的には何をしても元に戻る事はありません。)リッピング元はどこかの海外版のCDなのでしょう(鬱) 手持ちのCDよりも Amazonの方がマシという何とも言えないこの状況。
洋楽全般がこうなのか?というと、そうでもありあません。
おなじくお気に入りの Epica では (私が確認した範囲では)CD と AmazonMusicの配信にデータの違いは見られません。
Epica の アルバム design your universe から 03 – Track 「Unleashed」。
先ほどと同じように CD と AmazonMusicを 比較してみました。
録音時のトラック操作が プチッ ノイズを招いてしまったようなのでこれを削除してから作業に入ります。(見にくいですが その波形を載せておきます。)
WaveCompareで比較すると・・・
1535万サンプル一致しています。
WaveCompareは音声に関係の無い場所は比較しません。より詳細にWinMergeで見てみましょう。(※事前に比較対象の開始位置を1サンプルのズレもなく合致させておく必要があります。それが面倒)
このように、不一致点を示す 黄色の箇所は ファイルのヘッダー情報だけです。AmazonMusicのリッピング作業は素晴らしい。
※デジタル録音は個人の範囲に留めて下さい
※曲間の無音部/ギャップまで含めた精密な比較は実施していません
※Epicaは最初から(海外版?から)音圧上げだから国内版では音圧を上げる余地が無かったんだろ!という突っ込みは無しでお願いします。焦点は AmazonMusicと 日本版CD の 音質の違いです。
PS.
レーベル?各社は どうして音圧を上げるのか?
それは雑踏のノイズだらけの状況下でもノイズに負けない強い音を確保する為かもしれません。WALKMAN(死語:SONY製品の名前,持ち歩けるポータブル音楽再生機の事を指して)で聴く際なんかには、音圧が大きな方が細かな音も周囲の音にかき消されず聞きやすい。音は大きければ大きい程いい。昔のCMのように。
また、MP3やYoutubeなどの音声圧縮してダウングレードされる場合には特に、音声レベルは高くしておいた方が音質が維持されます。私も24ビットで空気録音した後は、音声全体データ全体を -0.5dB まで 音量正規化(ノーマライズともいう)してから Youtubeにアップロードしています。 ゴーーーという暗騒音がウルサイ時にはノイズ除去も考えますが自分の空気録音でノイズ除去を施したのは(記憶の範囲内で)過去1回だけです。 このように音量を上げる事は音声フォーマットのダウングレード時に行うときの通常作業?ですが、さすがに音圧(コンプレッサーとかリミッターを使ったマスタリング)操作はしません。。。 音量を上げずに音圧だけを上げる・・・ やってみれば、今まで聞き取れなかったような小さな音がハッキリと聞こえるようになって 面白いです。 これを経験していると、音圧戦争(ラウドネスウォー)に敏感な耳になりますので興味のある人は フリーソフト(例えば Audacityなど)で 遊んでみるのも良いでしょう。
図:動画の一コマ
コメント ※編集/削除は管理者のみ
nightwish-daisukiさん、こんばんは。
興味深い日記、ありがとうございます。
ところで1bitの違いもないAmazon MusicとリッピングファイルをWiim miniで再生すると音質は全く同じでしょうか?
Amazon Musicの方が音質が良い、というようなことはありませんか?
ミネルヴァさん こんばんは
WiiMの音(ニッケル水素電池駆動、TOSLINK にて marantz NR1711接続)は満足出来るものでした。ファイル再生との比較は拙宅にNAS(DLNA)が居ないので比較はコンナンですが、感触だけ書くと 余程優れたPCオーディオでなければ、WiiMのストリーミング再生に勝つのは容易でない と、妄想します。
最近、メインシステムのデジタル再生が 安価な中華SDトランスポートに敗北して、ちょっと立ち直れていません(笑) 高価なスイッチングハブやLANケーブルや諸悪の根元?のUSBケーブルが不要な最小システムに脅威を感じています。
nightwish_daisukiさん、こんにちは。
ご存知とは思いますが、Windowsパソコンだと簡単にDLNAサーバ化出来ます。
それで聞いてもAmazon Musicの優位性は変わらないのでしょうね。
ミネルヴァさん こんにちは
いえ、知らなかったです。そうなんですね(^^
情報ありがとうございます!!
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リッピングデータでは無いですが AmazonMusicでは音楽データをオフライン再生するために事前に音楽データをダウンロードしてPCに置いておくこともできます。当然、そっちの方がストリーミングしながら再生よりも音質が良さそうに思うところですが、実際の処、うちの耳では オフライン再生の “優位性を聴き取ることはできず”、ひと安心。そんな訳でいつもストリーミング再生で利用していますです。
そんな事もあって、NASとストリーミングの音質対決は・・・個人的にはそれほど興味がないので、やらないですが差があったとしても軽微と想像します。ソースとなる音源が日本国内正規版よりも優れる・・・日記の音圧戦争の問題のほかハイレゾ音源の取り揃えがある優位性を加味して考えると、CDの盤再生は する気が起きない、感じです。Amazon優位。
※あくまで自分の場合は・・・ です。皆さんほど熱心に音質を追求している訳ではないので細かな違いは分からないというか見えないフリして誤魔化してます(自爆) 期待されるような答えが出せずにスミマセン m(_ _)m
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nightwish_daisukiさま、音圧ネタに関する興味深い投稿ありがとうございます。
このサイトに出入りされる方々であれば昔の45回転ドーナツ盤時代から大音量収録が売上に直結する手段と理解されているでしょうが、音質イマイチのドーナツ盤時代ならいざ知らず、デジタルになってからもクオリティーを下げてまで音圧を上げる行為が横行しているようですね。
当方がデジタルの「音圧」で興味を持ったのはPerfumeの実質的なメジャーデビュー作となった「ポリリズム」で、たまたま自家用車に自作のスピーカーを搭載して「ポリリズム」を聴くと音量を上げれば上げるほど、やたらワイドレンジで「気持ち良く」聴こえるのです。
PCで波形を分析するとピークが真っ平らなオーバーレベル録音ですが、音の歪をコントロールして音作りをしているのだけは分かりました。
それまでの他のアーティストでは音圧が高過ぎる「汚い音」の「売らんかな」的楽曲は掃いて捨てるほどありましたが、音圧を上手に制御して他の楽曲より目立つのとオーディオ的な高音質とは異なりますがサウンドのクオリティーを現時点でも両立させているのが感心しています。
その後もお気に入りの楽曲はアナログ・レコードも含めて自家用車で聴くためにリッピングしまくり、その過程で各アーティストのエンジニアの音作りにも関心を持ち続け、感心したり残念がったりと様々です。
その中でちょっと残念だったのは、八神純子さんの「YAGAMANIA」でアナログ盤であれほど起伏の多い素晴らしいサウンドだったのが、24bitマスターリングで再発されたCDは音圧の高いいわゆる「海苔波形」でS/Nではないサウンド自体のダイナミックレンジについてはアナログ盤よりも小さくなってサウンドが死んでいました。(そもそも中の2曲が差し替えられていたし・・)
それから、CD黎明期にはダイナミックレンジギリギリまで収録すると無音部分や演奏の音量が小さい箇所でテープのヒスノイズが目立ってしまい当時「ノイズ皆無」とアピールしていたことから、最初から10dBほど音量を下げて収録した作品も多く(特にCBS/SONY系の洋盤のサウンドが死んでいた。)、リッピングしてから音量を10dBほど上げて戻してやると音が活き活きとしてきます。
そんなこんなで受け取る側としては有難迷惑な「音圧戦争」については、即座にやめていただき、ユーザーには無加工の良質な楽曲を提供して欲しいと思っていますが、音質の悪い「商品」でも売れてナンボですから戦争は無くならないのかもしれませんね・・(汗)
たかけんさん こんにちは
沢山ありがとうございます。PERFUMEのように音圧が見た目に異様に高くてもちゃんとしている製作もあるんですね。 日記中では自虐的に書いている Epica も そうかもしれません。シンフォニックメタルはただでさえ楽器の数が増えるのですが、どれも音のまとめ方が上手です。(とくに ディム・ボルギル(英: DIMMU BORGIR)参考にhttps://youtu.be/6HCbqLB-ZmM)
テープヒス隠しの -10dB は何て事を・・・ な感じです。 ビット落ち必至、案外分からないものとはいえ。。。
売れるため?用のコンビニで延々再生するための音圧アゲアゲと、販売CD用のアゲ過ぎないマスタリング版と2種類配信することは出来ないものかなぁ。と独り言を言っているうちに、AmazonにはCD Album版と Re マスタリング版 と 謎の UltraHDハイレゾ版と、一つのアルバムでも何種類も取り揃えがあるので初期版と音圧アゲ? な リマスタリング版を分けて聴けるなぁ。それで十分な気がしてきたので自爆。
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