端子設計と純銅削り出し端子の謎

日記・雑記
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製造業で設計する場合、材料は別の部門で連携するという事がよくありますが、ワンマンの場合は勉強しないと設計が出来なかったり、作ったモノが機能しなかったりします。

ただ、勉強をすると、メーカーの製品WPやカタログで過剰広告だったり、ウソだったりする事に気が付いてきます。

さすがに不特定多数が参加するSNSで特定するのは止めますが、とあるメーカーで「純銅削り出し端子の採用」という謳い文句がよく使われます。

これが本当に純銅だった場合、オス端子を差し込んだら最後、二度と端子としては機能しなくなります

端子として求められるものに「バネ特性」がありますが、残念ながら純銅はバネ特性はほとんどないので、バネ端子に純銅は採用できません。

例えば、壁コンセントの内部に、3Pプラグオスのブレード刃を受けるバネ端子がありますが、これを純銅で作る事は出来ません。

なので、通常は真鍮を使いますが、オーディオ向けはバネ特性を持った銅で、ほとんどがリン青銅かベリリウムカッパーが使われます。

ただ、これらは純銅とは言わないので、”純銅”を謳うと過剰広告になりますが、内部端子に純銅を使いたかった理由で、バネ構造を変えたという正直なメーカーがあります。

これが出た時は画期的だと思いました(このメーカーの回し者ではないです)。

 

今回、仮想アースで図面を引いてみましたが、アース端子を如何するかで新たに設計をしてみました↓

加工コストと強度を加味するとこういう構造になりました。

設計は卓上で簡単に出来ますが、加工方法も考えないと、せっかく設計した図面が無駄になります。

また、銅製なのでメッキが必要になりますが、金メッキでは通常、下地ニッケルメッキに金メッキを掛けます。

ニッケルを下地に掛けないと、通常にオーディオ用として行われるの1μm程度の厚みのメッキでは、下地の銅が透けて「ピンクゴールド」に見えてしまいます。

ならば、「厚いメッキにすれば良い」と考えるかもしれませんんが、3μとかにすると、今度はネジ部の動きが渋くなったり、摩耗し易かったりという問題が起こります。

一部、下地ロジウムに金メッキという手法もありますが。

さらに金メッキも奥が深くて・・・・硬度が・・・と話してると止まらなくなるのでこの辺にしますが、設計は図面が引ければ良い訳ではないという事が分かるかと思います。

コメント ※編集/削除は管理者のみ

  1. へっぽこハム太郎さん、おはようございます。

    木工のときにも感じていたのですが、ハム太郎さんは細部にまで強いこだわりを持たれているのですね。

    ・仮想アースを自作するにあたって、アース端子を設計するとは・・・
    ・更にメッキ仕様も検討しているとは・・・

    自分は設計出身ですが、細かいことが得意でないため企画畑に移りまして大雑把な性格です。ですので、これほどの拘りは真似が出来ないです。

    楽器とか作らせたら、いい楽器を作りそうだな~なんて思いました。

    • ヒジヤンさん、こんにちは。

      > 細部にまで強いこだわりを持たれているのですね

      機材をバラすとよく分かりますが、既製品は所詮商売なので、100万円とか200万円とかでも、何かしら妥協しているところがあると私は感じてしまいます。

      なので、「やる気スイッチ?」が入ると、基板上の部品は高価なモノに全交換とかやったりします(20万円の機材に改造費40万円とか・・・)。

      “何か作る”ということは、私にとって可能な限り妥協をしない事です。

      なので、いざ売ろうかな?と思っても凄い値段になるので、自分で使うだけってのがほとんどです(笑)

      > 楽器とか作らせたら、いい楽器を作りそうだな~なんて思いました。

      ピアノの打鍵当てとか出来るので、絶対音感は得意な方ですが、楽器を作るには、更に才能が必要ですね。

      残念ながら、私には才能と呼ばれるものは微塵もないので。。。。。

  2. ハム太郎さん こんばんは!

    >バネ端子に純銅は採用できません
    そうなんですか「純銅」って聞くといかにも良い音がするという
    錯覚に陥ってしまいます
    オーディオ製品はこの種の誇大広告が多いので注意しないといけ
    ませんね

    • プリマさん、こんばんは。

      > オーディオ製品はこの種の誇大広告が多いので注意しないといけ
      ませんね

      全くその通りです。

      一例ですが、某、オーディオアクセサリーのメーカーの話で、超ジュラルミンである「A2017」を使っている事を主張したいのでしょうが、何故か「A2017S」と記述しています。

      まあ、特殊材を使用している事を謳いたいのでしょうが。

      最後の「S」は押出形状を指しますが、製品形状的に押出材ではないので間違いなのですが、未だに直してません。

      設計図には使用する素材名を書きますが、「A2017S」と書くと笑われるだけなのですがね。

  3. こんばんわ~♪

    オーディオ業界はどこまで信用してよいか分かりませんね。
    純銅を歌ってても磁石が付いてしまったり、非磁性真鍮と歌ってても鉄入りと鉄無しが有ったりで紛らわしいですし。
    金メッキにしても下地ニッケルの厚み次第で磁石が付きますからね(笑)
    理想はニッケルフリー金メッキかな~(AECOとかSteinMusicなど)

    純銅は確かにバネ性が無いので技術的には難しそうです。
    わたしが使ってるのはリン青銅、ベリリウム銅、テルル銅あたりです。

    • spcjpnorgさん、こんばんは。

      テルル銅はDAP関係で最近よく見掛けますが、以前は設計によっては材料歩止まりの観点などから難色を示す業者が結構ありました。
      丸棒はOKで板がダメだったり・・・・

      磁性の件ですが、SUS合金もいろいろ条件があるので難しいですね。

      磁性が低いSUSとしては、オーステナイト系の300系が挙げられますが、磁性が低いのは冷間で無加工状態なので、加工応力が掛かると面心立方格子化崩れ、途端に磁性化(マルテンサイト変態化)します。

      なので、ベンダーやプレスをする際には材料を変えるなり、熱処理をするなりが必要になりますが、この事象を理解していない加工会社が結構多いので、顧客に伝えられず、製品化されてしまう事がありますね。

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