憧れ 弦楽四重奏と共に – 赤坂ストラドホール

日記・雑記
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「室内楽は室内で聴け!」これは、聴く側からも演奏する側からも感じることであると意見は一致した。

 

コンサート会場は赤坂のストラドホール。紗絵姫がコンサートをやるというので向ったもの。赤坂らしくおしゃれな建物が多い。ストラドホールも風情のある建物の地下にあった。少しわかりにくいが、写真の女性がいるところから入っていく。

 

扉を開けて中に入ると赤い絨毯が敷かれた階段があるので下に下りる。その気にさせてくれる演出だ。

 

ホールと言ってもサロン風の広い部屋という感じの場所。椅子もゆったりとしていて高級感がある。全景はHPの写真がわかりやすいのでお借りした。

 

座ったのは、第2ヴァイオリン奏者である姫が一番よく見える、前列の斜め右側の座席。第2ヴァイオリンの真正面となる位置だ。

 

コンサートは表題の「憧れ 弦楽四重奏と共に」をテーマにしたもの。休憩なしで一気に駆け抜ける。

 

<演奏者>

第1ヴァイオリン :植村太郎

第2ヴァイオリン :丹羽紗絵

ビオラ     :朴梨恵

チェロ :門脇大樹

<演奏曲>

・モーツァルト: 弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調K.458 ⦅狩⦆

・スメタナ:弦楽四重奏曲第1番ホ短調⦅我が生涯より⦆

 

47席というサロンコンサート、受付には3番目に到着した。開場前で受付してロビーで待った。すぐに開場となったので、一番に入場した。自由席だったので、狙いの席を是非とも確保したかったからだ。席について30分ほどしてから演奏は始まった。

 

①モーツァルト: 弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調K.458 ⦅狩⦆

ハイドンセットの中の曲で、モーツァルトの弦楽四重奏曲の中でも有名な曲。聴きなれたメロディが流れる。さすがにこの空間で聴く室内楽は音量が大きく、濃密である。モーツァルトの曲は軽快で明るい部分が多い。ミューザで聴いたディヴェルティメントのときもそうだったが、笑顔で演奏する姿が、心地よい音楽の中で幸せな気持ちにさせてくれる。

 

②スメタナ:弦楽四重奏曲第1番ホ短調⦅我が生涯より⦆

この曲はコンサートに行くと決める前には聴いたことがなかったので、事前に予習をしてきていた。スメタナが自己の生涯を弦楽四重奏曲の四楽章に音楽で表現した曲である。予習の段階ではこの曲のよさがもう一つつかめないでいた。だが、最初の全員での音出しで目は見開いた、つづくビオラが奏でる不吉な予感を感じさせるような主題を奏でるところまででノックアウトだった。完全に気持ちが持っていかれてしまった。その後は曲のながれに乗るままだった。

 

スメタナは<我が生涯>をどのように表したのか。作曲活動をする中で完全な失聴となり、最後は精神病から病院で生涯を終えた人生である。解説によると、「時折不安を感じさせながらも音楽家として歩み始めた情熱」「楽しかった青春時代」「亡き先妻との優しい時間」そして第4楽章で「作曲家として軌道に乗り人生の絶頂を謳歌するが、失聴に冒され失意虚しく幕を閉じる」こんな人生を描いた曲であるとのこと。予習の時点ではよくわからなかったが、コンサートでは、そんな作者の意図をひしひしと感じるものだった。

 

作者の意図の理解の助けになったのが、姫の表情だった。表情豊で情感がそのまま顔に表れる。普通の演奏者は大抵の場合は無表情で演奏しているのだが、情感は顔に表れ、他の奏者との合わせなどは顔も身体も全身で表現している。ははん、ここにほれ込んでしまったのだと、今さらながら気付いた。

 

 

終演後は少しだけお話させてもらった。そこで、「室内楽は聴く側からも演奏する側からも、普通の室内空間が最高なこと」「コンサートに焦点を合わせて練ってきた曲が感動しやすいこと」など会話が出来たのだが、この際にも内面が表情に表れていた。どうも「警戒されているらしい」と感じた。まあ、当然と言えば当然だ。見知らぬ人から、「演奏がとてもよかったので少しお話させてもらいたい」などと言われたら「何だろう?」と警戒するのが普通のこと。演奏がわかりやすいのはよかったのだが、少しショックだった。まあ、少しづつ雪解けするのを待つしかないのかもしれない。

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