ハーゲン・クァルテット@トッパンホール

日記・雑記
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以前から気になっていたザルツブルク出身のクァルテットの来日公演です。音がよいと評判のトッパンホールで、演奏曲も好きな演目でしたので、チケット救済サイトの出物に飛び付きました。

 

トッパンホールは400席程度の小さ目のホールですが、小編成を聴くのに適していると評判が高いです。20年ほど前に一度だけ聴きに来ましたが、自宅から行きにくい場所と言うこともあり、その後は足が遠のいていました。今回はハーゲン・クァルテットが目の前で聴ける機会を得たので聴きに来たのです。

 

座ったのは1列目のセンターです。400席あるホールで弦楽四重奏を聴くなら「かぶりつきに限る」というのは、自分の経験値からです。仕事帰りのスーツ姿のおやじ軍団が第1列目にずらりと並んでいる様子が、異様感を放っていました。

 

〈ハーゲン プロジェクト 2023〉ハーゲン・クァルテット 第2夜

<プログラム>

・モーツァルト 弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K421(417b)

・ドビュッシー 弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10

・ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第8番 ホ短調 Op.59-2《ラズモフスキー第2番》

 

昨日に感じたトッパンホールの音の印象は、

・柔らかい音色で、響きはシルキータッチな、やや混濁感がある癒しサウンド というものでした。

 

モーツァルト 弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K421(417b) 感動度★★☆☆☆

演奏が始まっての第1印象は、「音が小さい」です。100席のサルビア音楽ホールと比較すると、400席のホールで聞こえてくる音量は半分程度?と感じます。この印象は、後にホールの要素だけでなくハーゲン・クァルテットの演奏の要素も含んでのことだと気づきましたが、とにかく丁寧で美しい音を奏でるクァルテットでした。

ハーゲン一家の兄弟たちで結成して40年、現在は第2ヴァイオリンのシュミットだけが外部からの参加とのことですがすでに20年経過していますし、メンバー交代した当初は、ハーゲン家に下宿生活をして一体感を養ったとのことです。個々の音色の美しさ、4人の音色の統一感、そして繊細で一糸乱れぬハーモニー、これが世界第1級と称される所以と感じました。自分が好きな第2楽章のメロディが帰宅する途中に頭の中を流れていましたので、鼻歌交じりで帰宅しました。

 

ドビュッシー 弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10 感動度★★☆☆☆

ドビュッシーでは、美しさ 繊細さが際立ちます。第3楽章の、4声が織りなすソロとハーモニーでは、触ると崩れてしまいそうな雪で出来たものに触れるように眉を上げながら聴き入っていました。

 

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第8番 ホ短調 Op.59-2《ラズモフスキー第2番》 感動度★★☆☆☆

ベートーヴェンでは、少し印象が変わりました。第1楽章の冒頭や第4楽章の激しい部分では、かなりの音量で弾き込んできます。このくらいの音量が自分好みと感じたのですが、ハーゲン・クァルテットのよさは美しさ繊細さにあると思いました。第2楽章の儚さを感じる美しさに聴き惚れます。そして、第4楽章のリズミカルな旋律に心弾ませながら最後は静かに終わりました。

 

今回の演奏曲は短調の曲ばかりでした。その意味からは、ハーゲン・クァルテットの一面しか見ていないのだと思います。第1夜から第3夜まで通して組まれたプログラムなのでしょう。第2夜は、「モーツァルトでやさしく始まり、ドビュッシーで美しさを際立たせて、最後のベートーヴェンで激しい一面も見せながら美しく盛り上げる」という意図で組んだ、心に染みるようなプログラムではないかと想像します。

 

このようなコンサートの後でのオーディオとの比較は無粋なので、じっくりと聴き込んでからのまたの機会にします。弦楽四重奏曲の味わい方を、もう一度考えさせられるようなコンサートだったと思います。

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