「なぜ?」 – 生演奏の不満からオーディオを考える

日記・雑記
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久しぶりに神奈川県立音楽堂で聴きました。救済サイトに割引で出ていたので、「久しぶりに行ってみるか」という感覚で選んだ公演です。最初に記載すると、もう一つと感じた公演でしたので「なぜ?」という点をテーマに日記にしてみます。

 

神奈川県立音楽堂は、1954年に開館してから70年を経たホールです。当時としては、ロンドンのロイヤルフェスティバルホールをモデルに、最高の音響効果をあげるように設計されたホールで、壁面がすべて木で作られ、開館当時『東洋一の響き』と絶賛されていたとのことです。(HPより)定員が約1100名で、大ホールと小ホールの中間的な広さのホールです。これまでに自分が聴いた印象では、「ウォーム&ソリッド」な感覚で、木質系のあたたかみのある響きだが、残響が比較的少ないソリッドな音のホールと感じていました。

 

座ったのは、「6列目サブセンター」ですが、ステージが拡大されていましたので、実質4列目とオーケストラに近い位置です。

編成は、第1ヴァイオリン:10 第2ヴァイオリン:8 ビオラ:6 チェロ:4 コントラバス:4 の規模での演奏でした。

 

<演奏曲>

①モーツァルト/ディヴェルティメント 第1番ニ長調K.136

②山本和智/オーケストラのための「姿なき舟と航跡」 ※世界初演

③メンデルスゾーン/交響曲第3番イ短調Op.56”スコットランド”

アンコール:フィガロの結婚序曲

 

開演前に、指揮の沼尻氏のプレトークから始まりました。前日に小澤征爾氏が亡くなられていましたので、氏の話題となります。生前の小澤氏に指導を受けていた時の話。小澤氏がコンサートホールに入ってくると、それだけでオーケストラの音が変わる話。自身が「ピーターと狼」の指揮をしていた時に、狼が現れるシーンがどうしても上手くできなかった時に、小澤さんが「ちょっとやってみよう」と振ったところ、「おどろおどろしく狼が出てくる音になった」話など、興味深い話が聞けました。

 

プレトークの後、準備を整えて演奏は始まります。

①モーツァルト/ディヴェルティメント 第1番

この曲は、軽快で心が弾むような気分になれるのが楽しく、編成は弦楽四重奏~オーケストラまで幅広く演奏される曲です。オーディオではたびたび親しんでいて、小編成ではキレよく、大編成では重厚に感じていました。今回は、オーケストラの比較的大きな編成で演奏されたのですが、音量が上がらずにダイナミックさも不足する感覚です。同じ曲を昨年の8月にミューザ川崎で聴いたときは、大ホールの少し離れた位置で聴く5重奏でしたが、音量が上がらずともウキウキした感覚になったのを思い出しました。そんなことを思い出しながら、今回の印象が指揮のスタイルなのか?オーケストラの技量なのか?と半信半疑でいました。

 

②山本和智/オーケストラのための「姿なき舟と航跡」 ※世界初演

特殊な現代曲でしたので、感想は割愛とします。

 

③メンデルスゾーン/交響曲第3番”スコットランド”

メインの曲になります。この曲はこれまで親しんでこなかった曲でしたので、コンサートに合わせて音源を入手し予習をしていました。

ロンドン交響楽団 / メンデルスゾーン交響曲第3番(Live)

予習した音源と比較すると、ダイナミックさもキレも音量も不足していると感じます。この位置で聴いていても抑揚が感じにくく、ダイレクト感もありませんでした。音量を測ってみると、最大音圧で約80dBでした。帰宅後に聴き直すとともに音量を測ってみると最大で約90dBでした。好みの音量まで上がらないのです。海外オーケストラなど手慣れの演奏だと充分な音圧を感じますので、「音が小さく、同時にダイナミックさも不足する」のは否めないと思いました。また演奏の好みもオーディオ再生ならば選び放題ですね。

 

アンコールのフィガロの結婚序曲では、音量は上がらずとも楽しく聴けましたので、やはりオーケストラの技量がものを言っているのだろうと。「音量」「ダイナミックさ」「キレの良さ」「情感」など様々な要素はあるものの、「多少のミスは恐れずに、力いっぱい弾いてほしいと」思ったりします。

 

こうしてみると、(動機付けとして)生演奏を聴きに行くタイミングに合わせて好きな曲を増やしてしまえば、あとは通常はオーディオで楽しみ、特別な場合だけ生演奏を楽しむスタイルで十分と思えました。当面は好きな曲を増やしていくことと、生でしか味わえないような感動を求める活動を進めていこうと思います。

コメント ※編集/削除は管理者のみ

  1. ヒジヤンさん、こんにちは。

    過去にこのコンビや別のオケでこの指揮者を聴いた際の印象からすると、振幅の大きい演奏をする方ではなく、表面はやや地味ながら中身は綿密に丁寧なニュアンスの演奏をする指揮者だと思います。

    なので、スコアが複雑な曲や、取りまとめるのが大変な作品であればあるほど本領を発揮するタイプではないかと。
    実際、オペラを得意とされており、いくつか触れた実演はいずれも素晴らしいものでしたが、その中でもより新しい時代の作品のほうが感銘度が高かったです。

    逆に、今回聴かれたような曲はその長所が出にくいラインナップかなぁと思います。
    マーラーやショスタコーヴィチあたりの交響曲ならまた違った印象だったかもしれません。

  2. 眠り猫さん、コメントありがとうございます。

    なるほど、「指揮者のタイプと得手不得手」が原因ではないというご意見ですね。
    確かに自分の過去を振り返ると、国内オケを振った指揮者でよかったのが「大植英治」「アラン・ギルバート」「コバケン」など、ダイナミックな演奏をする指揮者の公演ですね。タイプが違ったということでしょうか。

    週末は、同じ指揮者同じオーケストラでみなとみらいホールのマーラー演奏を聴く予定ですので、そのあたりを留意して聴いて来ようと思います。

    話は飛ぶのですが、眠り猫さんは多くの生演奏を楽しむとともに、オーディオマニアでもありますので、ぜひ生とオーディオを対比した感想をお聞きしたいです。音楽マニア風のコンサート日記は読む気がしないのですが、オーディオマニア視点の生演奏の感想はほとんど見かけることもなく、参考にさせてもらいたいと思っています。

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