これまで自宅では、クラシックの大編成再生を優先して来ました。おのずと、再生空間を可能な限り広く大きくすることを求めています。この延長上で音響パネルを追加し「ボン・キュ・ボン」などとして音作りを進めたところ、音場は更に拡大した反面、小編成の音像に不満が出て来ました。そこで何とか、「音像と音場が両立出来ないか」と考えたものです。
イメージはモニター再生的な「音像再生」と大編成鑑賞的な「音場再生」の融合です。
・音像は主に直接音に形成させる
・音場は主に反射音に形成させる
・音像と音場両立のためには、直接音は部屋の影響を極力避けて、反射音を部屋中に回すこと
前回までの日記をおさらいしておきます。音を重ね合わせると混濁するのが一般的ですので、「音像」は直接音をモニター的に再生し、「音場」は反射音を部屋中に回し、リスナーは両方を重ね合わせて聴くことにより両立出来ないかと考えました。実施のイメージは下記となります。
実行のスタートは、音響パネルの追い込み – 指標は「ボン・キュ・ボン」日記の状態からとなります。
この状態で、ボーカルや小編成の「音像」に不満が出たため「直接音をモニター的に再生させる」ことから始めました。
調整用の音源は、いつものに加えてその場に応じて適したものを選んでいます。
アクション8:部屋の影響を減らすために側壁の1次反射部に吸音材の設置
これまでは医療用のガーゼで1次反射音を軽減していた部分を、ポリエステル吸音材に変更してサイドからの1次反射音を更に低減させました。一旦医療用のガーゼは外して、スピーカー側から吸音材を設置します。段階的な吸音材取付で「音像は際立って」きた。反面、「音色が沈み」「音やせ」してしまった。
・・・側壁部の1次反射部のスピーカー側に吸音材を1枚、リスナー側に吸音材を2枚重ね貼り (これに至った経過は別日記で明記する予定)
アクション9:音色と音やせのリカバリーとして、窓上部の拡散パネルの増加
耳の高さの1次反射部を吸音したことで、「音色が沈み」「音やせ」してしまった対策として、窓上部に設置した拡散パネルを増やしました。自宅は部屋が狭いので、短絡的な1次反射音は音像形成に不利となります。だから、短い経路の1次反射音を軽減し、長い経路の1次反射音を増やす考え方です。窓とクローゼット上の拡散パネルを1枚追加することで、音色も復活させることが出来ました。仮説が検証できたと思います。
アクション10:天井の1次反射部に吸音材の設置
次の検証は天井の1次反射部分の追い込みです。天井には拡散の対策を行っていましたが、追加で1次反射部分に吸音材を設置してみました。
ですが、これはNGでした。音像形成に効果がなく、音色も沈んでしまいよい面がありません。仮説は外れました。天井に手を入れるのは中止とします。
ここまで来ると欲が出て来ました。更に音場を維持しつつ、音像を際立たせられないかと考えました。
アクション11:スピーカーの位置調整
以前から、スピーカーの位置をリスナー側に寄せると音像型となることがわかっていました。この位置調整はかなり敏感です。左右共に5mmくらいリスナー側に寄せてから左右のスピーカーの焦点合わせを実施しました。5㎜寄せただけでも音像はクリアになります。ですが、音像の位置が500㎜くらいリスナーに近づいてしまいました。いろいろな音源を聴いて確認したのですが、我慢が出来なくて元に戻しました。部屋に対するスピーカーの位置は繊細で特に大事です。
ここまでか?と思っていた時に浮かんだのが、リスナー側の天井と壁が交差する部分です。角部は音が集まりやすく、音響的に影響が大きいものです。ここに手を入れてみることにしました。
アクション12:リスナー側の天井と壁が交差する部分に吸音材の設置
最初は、左右のコーナーに近い部分が効果的かと想像しながら試したのですが、この部分は面白い変化をしますね。そして効果が大きいです。面白くていろいろと試していました。
効果は、音像と音場にも影響しますが、聴感上の帯域バランスにも影響します。もやもやからキレキレまで選び放題です。クウォリティの変化ではなくて、音質傾向の変化なので決め切るのが難しいです。この状態は少し前の状態を撮ったもので、今は少し変わっています。少し変えるだけで音がコロコロと変わりますので、落ち着くまでに1か月くらいかかりそうです。
◇ここまでの取り組みで、「音像」と「音場」の両立は概ね満足しました。取組前の仮説状態から、検証結果は下記です。
テクニカルな面やここに至った経過や音の変化などは、別日記にしたいと思います。オーディオは本当に面白くて止めやれません。
音の効果は、もう少し練り上げてからオフ会で披露したいと思います。
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ヒジヤンさん、こんにちは。
天井と壁の境ですが、仰る通り、本当に面白いくらいにアコースティックが変わります。
私は、音圧で筐体が「カーン!」と胴鳴りする130インチスクリーンがあるのでスピーカー側の天井も行っていますが、間に余っているNBR貼り付け拡散板を入れてみたら如何なのか?試してみるつもりです。
へっぽこハム太郎さん、コメントありがとうございます。
ハム太郎邸でも、天井と壁が交差する部分の感度が高いんですね。室内音響はセオリーはあるもののお宅ごとで固有なものなので一概に言えないと思っていたのですが、共感していただける方がいてよかったです。
>私は、音圧で筐体が「カーン!」と胴鳴りする130インチスクリーンがあるのでスピーカー側の天井も行っていますが、間に余っているNBR貼り付け拡散板を入れてみたら如何なのか?試してみるつもりです
自分はインテリアを気にする方なので、いつも視界に入る部分には手をつけたくないな~という感じです。感じのよい塗装が出来れば話は変わるのですが、今後の課題にしてみようと思います。
ヒジヤンさん、こんばんは。
音像と音場の両立。
目指すはコレですよね〜、という事で私も私なりに考えまくってやって来ました。
私の場合、音像はもともとシェイプアップして良い感じだったので音場を拡げる方向でスピーカー『エロナーデ』を作りました。
それで横方向の音場拡大は間違いなく進みました。
私のアプローチは「音の出し方」で音場を拡げようとするのに対して、ヒジヤンさんのアプローチは「音の受け方」を工夫する事で目指されているので、私としては川越ベースに移った際にヒジヤンさんのアプローチを取り入れて出す方と受ける方の両面から高みを目指したいと思います。
ヒジヤンさんのこの一連の日記はめちゃくちゃ勉強になります。
ありがとうございます!
CENYAさん、おはとうございます。
同じく、音像と音場の両立を目指しておられるのですね。この両立はかなりハードルが高いです。
クラシックの大編成を広く大きく再生すると、どうしても音像が犠牲になるボーカルや小編成の音像を濃くシャープに再生すると、今度は音場が狭くなる痛し痒しなのですが、自分にぴったりのポイントを見つけることが大事のようです。錬金術はない!のだろうと。
コンサートホールでも、近くで聴けば濃くシャープになるが雄大な音場は聴けないですし、離れて聴けば雄大な音場が聴けても音像は薄くボケてくる「このバランスが私の音です!」と言えるポイントを高次なレベルで示すことを目指したいですね。
東京文化小ホールのベルリンフィルメンバーのコンサートでは、近くで聴いたのにダイレクト感がないから不満が出てしまいました。
簡単にはいかないと思いますが、川越ベースのサウンドを楽しみにしています。