戸田交響楽団第50回定期演奏会

日記・雑記
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低気圧の通過で大荒れだった土曜日からうって変わって快晴の日曜日。
JR錦糸町駅近くからは3.11の大震災にもびくともしない東京スカイツリーが見える。
今日は今年8回目のコンサート、すみだトリフォニーホールで開催される埼玉県戸田市のアマチュアオーケストラ、戸田交響楽団の創立35周年記念となる第50回定期演奏会にやってきた。

ブログの方もご覧ください。

普段は戸田市文化会館をホームグラウンドに活動しているが、創立35周年と50回目の定期演奏会ということで、都内屈指のホールであるすみだトリフォニーホールでコンサートを開いたという。

しかし、3.11の大震災とその後の余震や原発の問題で一時はコンサート中止を検討したというが、プログラムの冒頭にある団長挨拶、『団員一同、いかなる状況にも生きることの素晴らしさ、そして喜びを呼び戻すことのできる音楽という芸術、そして音楽の持つ力を信じて、ここ、すみだトリフォニーホールでの戸田交響楽団第50回定期演奏会を予定通り開催することに致しました。』で宣言され、入場料の一部と、開場での募金活動で集まった義捐金を、戸田市を通じて日本赤十字社に送るという。
これもまた、音楽を通じた立派な行為だと共感し小生も小額ながら寄付させていただいた。

さて、全席自由席なので、思い通り前列6列目真ん中のベストポジションに座ることができた。
こういうとき、自由席だと当日券でも良い席に座れる確立が高いので良い。
ステージの配置を見ると最後列には打楽器群が並び、金管楽器がその前でホルンはその右手側、コントラバスの横になっている。
今日の指揮者、笹崎榮一氏は戸田交響楽団の音楽監督を兼ねており、小生は初めての指揮者だがプロフィールを拝見すると、作曲、編曲もされているようだ。
今日のプログラムは、全てフランスの作曲家によるもので、先ずイベール:寄港地~3つの交響的絵画~、2曲目はラヴェル:ボレロ、休憩を挟んでベルリオーズ:幻想交曲。
いずれも大編成で多彩な楽器が登場する派手なオーケストレーションが聴きどころである。

開演となり、奏者がステージに揃ったところでコンサートマスターが登場する。
震災後の演奏会だからか演奏前の表情は心なしかやや硬いが、それも指揮者がにこやかな顔つきで登場すると、やや表情が和らいだようだ。

演奏が始まった。
指揮者の笹崎氏は大柄な体躯をダイナミックに動かして奏者をリードしていく。
最初のイベール:寄港地は、地中海の3つの港「ローマ」「チュニス」「バレンシア」をモチーフにした絵画的な音楽。
弦楽器群は下は高校生から上は還暦以上まで年齢層は広いが、まとまりのある綺麗なアンサンブルを聴かせる。
木管楽器のトップはそれぞれが高い演奏技術を持っているらしく、ゆとりのある叙情性タップリのソロを聴かせる。
戸田交響楽団の演奏水準は相当高く、しかも厚みのある弦楽の響きが素晴しい。

2曲目のボレロではスネアドラムが2台、中央の2ndVnとVc後に配置され、曲の冒頭から延々とリズムを刻んでいく。
管楽器が入れ代わり立ち代りソロを引き継ぎ延々とクレッシェンドされていく、この単純なリズムがこれほどダイナミックな演奏になるとは!
ここでも管楽器奏者の演奏レベルの高さが際立つ素晴しい演奏だった。

休憩後の幻想交響曲は、前半の2曲が素晴しい出来だったので期待していた。
テンポはやや遅めながら陰影をきっちり描き分ける弦楽器群に高度な演奏レベルの管楽器奏者がうまく絡み合う素晴しい演奏を聞かせた。
特に素晴しかったのは3楽章の終盤でティンパニが雷鳴を演奏するあたりの不安さを表現する場面から4楽章へ移る時の間合いの取り方。
4楽章から5楽章は一気呵成に駆け抜けていく豪快な演奏で、演奏終了後には不安から解き放たれた一種の爽快感に会場が包まれて、一気に華やいだ気分になった。

3.11後の一種の重苦しい気分を、音楽の力で解き放ってくれた今日の戸田交響楽団の演奏会。
会場からは惜しみない拍手が贈られていた。

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