TMU管弦楽団第38回定期演奏会

日記・雑記
日記・雑記
Sponsored Link

10月初めての日曜日の昼、小生の単身赴任の住いからはJRと京王を乗り継いで着いたのは、京王多摩センター駅前にあるパルテノン多摩
多摩中央公園の入り口に1987年に開館した多摩市立の複合文化施設で、客席数1,414席の大ホールと客席数304席の小ホールをを備えている。
大ホールのホワイエにはパルテノンのシンボル天馬が飾られている。

今日は今年21回目のコンサートで、アマチュアオーケストラ、TMU管弦楽団の第38回定期演奏会にやってきた。
TMUとは”Tokyo Metropolitan University’の略。
つまり、東京都立大学(現在は首都大学東京)の英訳であり、1973年、東京都立大学管弦楽団のOB、OGを中心に発足して以来演奏会を重ねている。

今日のプログラムは、指揮者に増井信貴氏、Vn独奏にNHK交響楽団の第1コンサートマスターの山口裕之氏を迎えたプログラム。
フンパーディンク:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より前奏曲、ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77、休憩を挟んでメインはブラームス:交響曲第3番ヘ長調Op.90というもの。
山口氏はこのオケの指導を長らくされている関係で今回のVn独奏を引き受けられたのだろう。

90名余りのプレイヤーがステージに並び、演奏会が始まった。
首都圏にあるマンモス私立大学の学生オケやそのOBオケとは違い、現役生や賛助出演を10数名受け入れて漸くオケが成り立っているし、入場料も小学生以下と60歳以上は無料とされていたので、もしや演奏レベルは???と心配していたが、ヘンゼルとグレーテルが始まって直ぐに、それは杞憂であったことを嬉しく思った。

指揮者の増井信貴氏のタクトさばきは非常にわかり易い。

管楽器は輝かしく煌くような音色をホールに充満させ、音量も十分な弦楽器群がコミカルなメロディを紡ぎ出す。
ややデッドな会場なので、響きはどうかと心配していたが、ステージに近い席で聴いていたからか、音量や響きにも不満はない。

山口氏のVnコンチェルトは、前列から5列目真ん中という絶好の位置で聴いたからか、楽器全体から球面波のように音楽が放射されるのが目に見あるような素晴しい演奏だった。
白髪に大きめのメタルフレームの眼鏡と、芸術家というより学者といった風貌からは、失礼ながら想像できなかったが、演奏を始めたとたんに、天上から吊り下がった蜘蛛の糸のようにピンと張り光り輝くヴァイオリンソロに思わず唸る。
伴奏のオケもブラームスの重厚な響きで支え、1楽章終盤のカデンツァでは華麗なテクニックと重奏の響きが永遠に続くかと思えるような素晴しい演奏、終楽章では流石にやや疲れを見せ、運指の指がツリそうになって指の運動をしたりとヒヤッとする場面もあったが、そこは流石にN響の現役第1コンサートマスター。
フィナーレの最後まで華麗に弾ききったら、会場からはブラヴォーのコールと割れんばかりの拍手。

休憩を挟んだブラ3は、ブラームスの交響曲の中でも特に秋に相応しい。
プログラム前半と管楽器トップが交代して演奏が始まった。
Vnコンチェルトで、ブラームスらしい重厚な響きを聴かせてくれたので安心していたが、この第3シンフォニーではややゆったりとしたテンポと、特徴的なシンコペーションのリズムがブラームスシンフォニーの世界に聴衆をいざなっていく。
木管トップにやや硬さが垣間見えたりする場面もあったが、楽器を共鳴させホールに響かせるような演奏を心がけていたからか、とても芳醇な響きが聴衆に心地よい。
決して完璧な演奏ではないが、音楽を愛して演奏を心底楽しんでいるその姿が、アマチュアオケならではの魅力である。
終楽章のフィナーレが穏やかに終了し、木管のハーモニーがステージ上空に消え入って暫しの沈黙の後には、万雷の拍手が沸き起こった。

この日記はブログでも。

コメント ※編集/削除は管理者のみ

タイトルとURLをコピーしました