慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ 第202回定期演奏会

日記・雑記
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10月10日は体育の日で祝日。
秋晴れの横浜桜木町にある、横浜みなとみらい21地区。
係留されている帆船日本丸

横浜ランドマークタワーも、雲ひとつない秋の青空に輝いている。
みなとみらい地区の中を歩いてクイーンズスクエアへ向かう。
ブログの方もご覧ください。

途中には横浜美術館がある。
今はちょうど、フランスの印象派画家、ドガ展が開催されていた。

しばし印象派の絵画を鑑賞した後に到着したのは、横浜みなとみらいホール
今日は、3連休のコンサート三昧の締めくくり。
今年40回目のコンサートとなる、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラの第202回定期演奏会だ。
慶應ワグネルは、年3回の定期演奏会を開催しており、小生は昨年、ここみなとみらいホールで開催された第198回定期演奏会と、今年春にサントリーホールで開催された第200回記念演奏会も聴きに行ってるので、これで3回目のコンサートとなる。

本日のチケットは当日券で買い求めたのでA席1500円。
大ホールは2,020席、シューボックス型をベースにステージを囲むアリーナ型の客席配置を取り入れた「囲み型 シューボックス形式」。
このように大型のパイプオルガンが設置されており、天井高も20メートルあり残響時間は満席で2.1秒を確保しているというから響きは十分である。
このように大型のホールであるから2階席、3階席でも音響は良いとはいえ少しは遠く感じるので、選んだ座席は1階席の前から8列目の右手側から5番目になる33番という席。

今日の指揮者は1995年ブダペスト国際指揮者コンクールで優勝後、ハンガリーや欧州で活躍する井﨑正浩氏を迎え、東欧色の色濃いプログラムが組まれている。
最初は、ルーマニアの名ヴァイオリニストにして作曲家のエネスコ:ルーマニア狂詩曲第1番イ長調Op.11-1、2曲目は超絶技巧のピアニストにして作曲家のリスト:交響詩「前奏曲(レ・プレリュード)」S.97、休憩をはさんでスラブ音楽を取り入れた楽曲で有名なチェコの作曲家であるドヴォルザーク:交響曲第6番ト長調Op.60というもの。

総勢200余名という大所帯のオケであるが、ステージに上がるのはその半分弱の90~100名くらいだろうか。
それでも大きなみなとみらい大ホールのステージ一杯に団員が並ぶ様は壮観である、名簿を見ると他の楽団では客演となるハープ奏者2名も慶應の学生であるから団員の層の厚さには恐れ入る。
コンサートミストレスが登場すると満員の観客からは大きな拍手が送られ、チューニングが始まるとざわついていた客席も徐々に静まりかえってきた。
最初の1曲目ははじめて聴く曲だったが、全体を通して東欧の民族色が強くジプシー音楽を彷彿させる楽想やメロディ、そして草原を疾走するようにクレッシェンド、ディクレッシェンドを延々と繰り返しつつ、特徴的な4分の2拍子のリズムが刻まれていく。
なかなか演奏テクニックを要する難曲の部類になると思えるが、木管パート、金管パート、そして弦楽セクションそれぞれが一糸乱れぬ演奏を繰り広げ、スラブ民族音楽独特の重厚な響きも綺麗にホール内に充満させる。
この春からのコンサートの中でも一級の演奏レベルで、音楽性もプロオケ並に優れていると思える。
この印象は、聴く機会も多いリストの「前奏曲」でも変らない。
艶やかでしかも厚みのある弦楽合奏に技巧派揃いの木管パート、ブラスの輝きを持つ金管パート、炸裂するパーカッション。
硬軟取り混ぜた技巧を要求するリストの難曲を、これだけ悠然と演奏してのけた慶應ワグネルに対し、演奏終了後には万雷の拍手とブラボーのコールが贈られていた。

休憩をはさんでメインはドボルザークの交響曲第6番。
この曲は1880年の作曲で、後半の第8番、第9番に比べると、民族色が強いスラブ舞曲を思わせるリズムと旋律を持った曲である。
ドボルザークの交響曲では木管楽器、とりわけフルートやピッコロが重用され、テューバやバストロンボーンの東欧的で重厚なサウンドが渋い輝きを演出するが、この6番でもこれらのパートは大活躍であった。
本当にこのオケの木管パートは巧者揃いと見えて、技巧的な旋律や聞かせどころを難なく吹き切るばかりか大見得を切る場面では「どうだっ!」と聴くものを唸らせる。

このような素晴しい演奏を指揮する井﨑正浩のタクトさばきは、曲想を団員に余すところなく伝えるもので、客席に座っている小生のようなオケ経験者なら、「指揮者が何を要求しているのか、どのように演奏して欲しいのか」が瞬時に理解でき、タクトに従っているだけで、「自然とそのような演奏になる」という極めて自然な指揮ぶりであった。
このような素晴しい指揮者に指導を受けている慶應ワグネルは幸せだろう。

どんな場面でも破綻することなく、ワグネル独特の渋い輝きあるサウンドを放射し続ける演奏に聴衆は完全に引き込まれ、スラブのリズムに知らず知らず体が揺れている。
この感覚が永遠に続けばいいのにと思った頃にフィナーレとなったものだから、感動も最高潮の面持ちで万雷の拍手とブラボーの連続。
指揮者は小さくガッツポーズをとって各パートトップと握手をして回り、学生達の演奏を褒め称える。
有名曲ではない演奏会でこれだけ体が熱くなる感動を覚えたのは、今年聴いた演奏会の中でも今回が一番ではないだろうか。
とにかく口の中がカラカラになるほどで、会場を出たあとにミネラルウオーターを1本がぶ飲みしたほどだった。

次回演奏会は来年2月27日にサントリーホールで、6月16日にみなとみらいで、そして秋には創立110周年記念演奏会が10月30日にミューザ川崎シンフォニーホールで開催されるというから、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラの演奏会は万難を排してでも聴きに行きたい。

そう思わせる、素晴しい演奏会だった。

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