音を大きく美しくする – 楽器の科学

日記・雑記
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”楽器の科学”を読んで、オーディオ演奏への落とし込みについての感想や考えをまとめた日記の4回目となります。

<目次>
プレリュード 音楽は「五線譜上のサイエンス」
第1楽章 作曲の「かけ算」を支える楽器たち
第2楽章 楽器の個性は「倍音」で決まる
第3楽章 楽器の音色は「共鳴」が美しくする ・・・今回日記
第4楽章 「楽器の最高性能」を引き出す空間とは?
第5楽章 演奏の極意

第3楽章 楽器の音色は「共鳴」が美しくするでは、楽器としての「器」には二つの機能があると繰り返されます。

①個々の楽器特有の美しい音色を生み出す
②聴衆にとって聴きごたえのある音量へと増幅する

この章では、②の機能「聴衆にとって聴きごたえのある音量へと増幅する」が、「共鳴」によってなされていることから始まります。
ですが、オーディオでは電気的な増幅で音量を変化させています。増幅については「オーディオが持つ特別な機能」があるため、深く考える必要はないと判断し、知識レベルで知っておくとよいことをピックアップしておくことにしました。その中で、オーディオにも応用が可能と感じたことを感想として記載しています。

3-1:共鳴とはなんだろう
・楽器の音が生まれる最初の時点では、小さな音しか作り出されない
・「共鳴」を使って音を大きくしている

3-2:楽器の音はどのように鳴るのか
・弦楽器の音は、弦をはじいたり叩いたりすることで発生する振動が音となって聞える
・管楽器の音は、管内の空気が振動することで音が鳴る
・打楽器の音は、張られた皮を叩くことで革全体が振動し、それが音となって伝わる

3-3:共鳴を作り出す構造としくみ
・楽器にはそれぞれ、「共鳴」を作り出す構造としくみが備わっている
・たとえば、弦楽器の共鳴胴、ピアノなどの響板が共鳴を作り出す構造の例である
・共鳴により増幅させた音の振動は、減衰する速度も速くなる(音を大きくするのと引き換えに、音の持続する時間が短くなる)

3-4:弦楽器の構造と仕組み
・ヴァイオリンは弦の振動をボディ(共鳴胴)で音の増幅を図る
・弓で弾かれた弦の振動はボディに対して平行となるため、ボディを振動させることが出来ない
・ボディに対して垂直な振動とするために、ブリッジ(駒)がある
・さらに表板から裏板に振動を伝達する役割が「魂柱」である

・ピアノや管楽器と打楽器の構造と仕組みも紹介されていますが、ここでは割愛します。

◇面白いと思ったのは「ピアノの響板のすごい性能」と書かれていることです。
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・ピアノの響板の役割として、「音を増幅させる」機能です。
・響板にはもうひとつの役割があり、「振動を止める」ことです。
・この相反する二つの役割りを担っているとはどういうことか?
・ピアノの弦は金属製だが、響板は木製である
・金属板はすべての周波数を増幅する性質がある
・これは極めて不都合な性質で、弾いた音が「わんわん」と響いて不明瞭な音になってしまう
・木製の板の場合は、弾かれた音の周波数の中央付近だけを増幅させ、高めの周波数は吸収する性質がある
・その結果、音の粒が綺麗に耳に届き、美しい音を奏でる
・木製は高い周波数の「振動を止める」からである
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◇オーディオでも同じことが言えると思います。金属製のボディやインシュレーターなどは、出したい音に金属の響きがのってしまうことがよくあります。これを防止するには、木製とすることや、高周波の響きをカットする様々な工夫が必要になりますね。

◇その他、気に留まったことをメモしておきます。
・管楽器においては、人体もまた楽器の一部である
・音板が木材で出来ているマリンバなどの楽器は、音板の材質中の粗密のおかげで有機的なムラと丸みのある音色を奏でることができ、それが心地よさを生み出している
・太鼓やティンパニーなどは、打つたびに異なる音の出る「無音程打楽器」と分類される

以上が、「第3楽章 楽器の音色は「共鳴」が美しくする」となりますが、生の楽器に無くてオーディオが有利なことは「電気的な増幅」だと思います。アコースティック楽器は、聴きごたえのある音量を出すために様々な工夫が施されています。逆に言えば、それが足かせとなることがあることもわかります。

好きな音量を自在に選べるオーディオのメリットは大きなものがありますね。

加えて、楽器の響かせ方や増幅の工夫もオーディオの参考になります。オーディオの場合は、響かせないようにするために「制振する」「減衰させる」という逆の特性が求められることが多いです。例えば、響く板の上にスピーカーや機器を載せると板の響きが音にのるなど、振動が音を濁らせるケースもあります。振動を0にすることは不可能なので、共振を分散させるなどの工夫も必要になりますね。楽器は「共鳴」させて、音を増幅し美しくする。オーディオは制振して濁りを減らす。「逆も真なり」「反面教師」などの視点で応用できることは多いと感じました。

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